「前半はあまり難解さながら、後半はヒーローものとして普通に楽しめました」ウォッチメン 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
前半はあまり難解さながら、後半はヒーローものとして普通に楽しめました
雰囲気は『ダークナイト』に似ていて、ストーリーは、『ファンタステック4』ぽいのですが、これまでのヒーローものと違って人の殺され方が、えぐい!スプラッター映画に近いノリです。
冒頭にヒーローの一人が殺されて、そいつがつけていたピースバッチに血がつき、地面に落ちるシーンが登場しますが、一切説明するシーンかはなし。ストーリーの前半は何のことか分からないまま、ヒーロー同士が監視し合い、戦うまでのエピソードと背景として同時進行しているニクソン大統領時代の冷戦による対ソ連との核戦争の危機が散りばめられます。
なかでも異様なのが、突如登場するブルーの皮膚で覆われた巨人。ベトナム戦争で無敵の強さで、戦っていました。
とにかく前半は、何の映画だろうと全くつかめませんでしたね。
あまり難解さで、パンフレットも細かく登場人物を紹介した小冊子風のものが用意されているので目を通されておいた方がいいと思います。
結局原作に忠実な余り、映画としては説明不足になってしまったのです。
言わんとするところは、ヒーローを現実社会に投じたらどんなことてになるのか。そして、『ダークナイト』でバットマンが悩んだように、もしヒーローが行き過ぎた暴力や監視活動を行った場合、「誰が監視者を監視するんだ?」というこの作品のキャッチコピーとなるわけです。
その暴走ぶりは、地球レベルの危機を招くものでした。
そこで本作のストーリーは味な問題提起をします。彼らの暴走で、米ソの冷戦が緩和し、地球が一つにまとまって平和へと歩み始めるのであれば、彼らの暴挙は許されるべきことかということです。
後半は、『ファンタステック4』ふうの展開で、ヒーローの活躍が楽しめます。そして混乱の黒幕が明らかになったとき、黒幕がのたまうそんなへ理屈で地球を救おうとするなんて!ときっと思われるでしょう。
最初に登場するロールシャッハというヒーローの白黒模様がうごめく覆面姿が不気味でした。あれは心理テストに登場するロールシャッハテストからきているものなんですね。
最後に原作からの唯一の変更点と言えるのがラストに出てくる新聞のタイトル。新聞販売機で売られている新聞の見出しの内容が何だったか教えてください。そこに監督の意図が隠されているはずです。
またエンドロール終了まで映像がありますので、最後までご覧になってください。