「怪盗映画を期待したら、なんと『ライアーゲーム』のような複雑な騙しあいの作品でした。」ザ・エッグ ロマノフの秘宝を狙え 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
怪盗映画を期待したら、なんと『ライアーゲーム』のような複雑な騙しあいの作品でした。
『オーシャン12』のよう怪盗映画を期待したら、なんと『ライアーゲーム』のような複雑な騙しあいの作品でした。
1回見ただけでは理解不能なほど、登場人物のそれぞれが訳ありで、嘘をついているのです。余りに裏の裏がありすぎて最後は、訳が分からなくなりました。
なん言っても極めつけは、お宝のイースター・エッグすら、訳ありだったのです。緊迫した金庫破りシーンの果てが、飛んだ茶番になろうとは、ガクリときましたよ。
余りに、裏の裏をこだわると、無理な設定や都合のいい解釈とも思えるシーンになりがちです。特に黒幕として暗躍するロシアン・マフィアのボスとリプリーとの関係はあり得ないでしょ!と言いたいですね。
加えて、大泥棒リプリーは何のために、イースターエッグを盗もうとしたのか、最後には分からなくなりました。ガブリエルの正体を早くから見抜き、彼を弄び、泥棒引退記念ための「ゲーム」を楽しんでいるかのような真相だったのです。
ということで、本格アクションにこだわらない人なら、そこそこ楽しめる作品でしょう。
騙しあいは置いておき、肝心の金庫破りシーンは迫力満点。そこに行き着く周到な準備も納得させるものがありました。その他ガンアクションも充実していて、エンタティメント作品としては、見所沢山用意したサービス精神旺盛な作品です。
なかでも、ラテン系のイケメン泥棒ガブリエルとセクシーな女弁護士アレクサンドラのベッドシーンは、色気たっぷりの描写。
金庫破りシーンの後が、ネタバレに急ぎ駆け足となるなかで、ストーリーがガブリエルとアレクサンドラのラブストーリーに傾斜していくのが、ちょっと安直な幕引きだなぁと思えました。アレクサンドラの気持ちが、嘘かホントかどっちでもいいではありませんか。
それにしても本作でのニューヨーク市警の刑事たちは揃いも揃って、アホなんですね。イースターエッグを展示している展示場の目の前に、リプリーが現れているのにもかかわらず逮捕できないのです。但し捕まえても、相棒の辣腕弁護士によってすぐに釈放になってしまうので、しっかり裏を取らないと逮捕の意味がないという事情もありました。
リプリーの大胆さと彼を追いかける刑事の様は、まるで『怪盗ルパン三世』のルパンと銭形刑事にそっくりです。ついでに富士子に似たセクシーなアレクサンドラもいて、ホント役者が揃っておりました。
ということで本作は、何処かシリアスなのか、ギャグなのか掴めないところのある作品です。
まぁ、それでもモーガン・フリーマンの貫禄充分。百戦錬磨のベテラン泥棒がドンピシャ填っています。リプリーとは親子ほど年の離れたガブリエルでしたが、クールなリプリーとは対照的に情熱的なガブリエルとのコンビは、相棒として息がぴったり。
ガブリエルにも隠された秘密を持っているところから、難しい役柄ですが、アントニオ・バンデラスは巧みにネタバレ前とネタバレ後の表情の違いを演じ分けていました。でもやっぱり、そんなガブリエルの秘密を知っていて、知らぬフリをしていたリプリーのポーカーフェイスに、してやられましたね。終始一貫、リプリーは涼しい顔をしていましたから。さすがフリーマンです。