「カンジンなところがわからない、のがこの映画のみそ、です」THE 4TH KIND フォース・カインド こもねこさんの映画レビュー(感想・評価)
カンジンなところがわからない、のがこの映画のみそ、です
アラスカの田舎町で現実に起きたことを、実際に撮られた映像をおりまぜながら見せるセミ・ドキュメントドラマ。町の住人たちが、なぜ睡眠障害にかかり、恐怖を感じるのかが、リアルに描かれている。
この映画のポイントは、恐怖のものは何なのか、それが最後までよくわからないところだ。主人公の女性心理学者も、夫がその恐怖のモノに殺される、という経験をするのだが、自分のとなりで起きた殺人にもかかわらず、どんなものに襲われたのかが見えてない。睡眠障害にかかった者たちも、自分を襲う恐怖のモノに脅えるのだが、それが何なのか皆目見えてこない。だから、観客にもどれほどの恐ろしいものなのか、ドキドキしながら最後まで見届ける、のだが、結局、わからない。しかし、わからないからこそ、恐怖におののく画面の人たちと恐ろしさを共有しているように感じられる。そこが、この映画の面白さなのである。
恐怖を共有できるのは、睡眠障害にかかった者たちの実際の映像が本当に怖いと感じるからだ。まるで発狂したかのような、恐怖と出会った瞬間の様子は、並の恐怖映画よりも恐ろしいものだった。恐怖映画ファンには、ぜひおすすめしたい作品だ。
実は物語の中ほどで、恐怖のモノとは何かというのが、おぼろげながらわかってくるのだが、それはネタバレにつながるのでここではやめておく。ただ、ヒントだけ言っておくと、
この作品をめぐって、懐かしの矢追純一氏と大槻教授のバトルを、ぜひ見てみたいものだと、見終わったあとに思った。吉村作治教授にも論戦に加わってくれれば、かなり面白い舌戦が展開されるだろう。
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