ハート・ロッカーのレビュー・感想・評価
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アカデミー賞らしい
戦地取材時を連想した。
女性監督のオスカー受賞を取り上げる前に、低予算で仕上げた品質高さに
感動する。自分でも戦場取材経験ありリアルさを感じて見た、時として
映画はジャーナリズムになる。改めてその重要さを伝えた作品でありCG
等使用しないという撮影手法も鑑賞者は心しておくべき作品では?と
思わせる。
戦場という名の職場 爆弾処理という名の仕事
人は様々な職場で様々な仕事をします。もちろん、その仕事を好きになってしまう人と嫌いになってしまう人がいます。本編ではその仕事を好きになってしまったというより仕事という名のウィルスのようなものに感染してしまった男を描いたものだと私は思います。
イラクでEODという名の爆弾処理を専門とする特殊部隊の新リーダーとなったジェームズ。彼の周りには、あと30数日間で家に帰れる部下がいるのですが、ジェームズのムチャクチャな爆弾処理方に戸惑い始めます。
注目は監督のキャサリン ビガロウが作り出すリアルなイラク戦争の現状と世界観。爆弾処理や銃撃戦の時の静かなテンションそして、最後まで観ないとわからないこの作品のメッセージです。特にドキュメンタリーに程近いリアルなバグダッドの映像は見事でした。それから、爆弾処理シーンや静かな銃撃戦は緊張感があり好きでした。そして、最終的なメッセージはストレートに伝わってくるのが実情です。“1度一つの仕事に感染してしまったら人はそれをやめられなくなる“というのがメッセージだと思います。
この作品に弱点というか欠点があるとすれば,ちょっと無駄に長いことくらいですかね。それ以外は問題ありません。
この作品は82回アカデミー賞で話題となった「アバター」よりは特にストーリー面のオリジナルさという点からより優れた作品だと思います。個人的には「マイレージ マイライフ」の方が受賞すべきだったと思いますが、本作も受賞しても納得の行く映画だと思います。
皆さんも是非、もう一度見比べてみてはいかがでしょうか?
手放しで絶賛したくもないし、批判したくもない作品
2008年アメリカ映画。130分。2010年51本目の作品。言わずとしれた昨年のアカデミー賞作品で、題材はイラク戦争で爆弾処理の任務を負った男の話。
内容は;
1,イラク駐在の米軍で爆弾処理をしている男。
2,そんな彼も家族の待つ米国に帰れるまであと39日。
3,そんな彼のチームに新しいリーダーが赴任してくる。
本作にコメントをつけること自体がとても難しい。作品全体がとにかく張り詰めていて、重苦しく、そして何をこちらが考えてみても映画はひたすら沈黙している。そう、本作はとにかくメッセージ性やテーマといったものが見えてこない、まるでスクリーンの向こうで静かに沈黙しているのです。
作品としての完成度は極めて高いと思う。というのも、ここまで一貫して緊張感を持続し、そしてひたすら何も語りかけてこないのだから。一糸乱れないような張り詰めた作品。
この映画を正当に評価するにはある程度の時間をおかないと分からないと思う。それは、つまりイラク戦争というものが実質的に決着がつくまで。
ただし、戦争というものをどこかCoolなものとして扱っているきらいがあるのが唯一の不満点。この映画を観て、戦争を分かった気でいるような人がたくさんでてしまうような気がする。
とにかく、メッセージ性が見えてこないのが本作の一番の魅力であり、危険な所です。
DVDをPCではだめかな
文句なし。
とても正気ではいられない・・・
しんどい。。。
映画というより、ドキュメンタリーぽい。
ハートロッカーとは、「棺桶」と呼ばれる、爆発物処理班のこととは、後から知った。
戦争とは、こんなにもしんどいものなのですね。
当事者でもないのに。
その場にいるわけでもないのに。
ただ、「こんなことがあったよ」という映像を見ただけなのに。
いつ爆発するかも知れないとの、不安で胸がいっぱいになり、とてもしんどい。
一つ終わっては、また一つ見つかる。
また一つ見つかる。
限りない。
何だか息苦しいなと思ったら、いつの間にか、息をひそめて見守っていた。
兵士達から、「隣に友人がいるからこそ戦える」なんて言葉を耳にするけれど、その通り。
爆発物処理のプロとして、危険な場所にばかり赴くジェームス。
何も感じないのではない。
感じていては、できないのだ。
ただ、自分を必要としている人々のために動きたい。
それだけ。
愛する家族とも離れて。
アカデミー賞、9部門ノミネート、2010年3月、6部門受賞作品。
アカデミー賞らしいと言えば、「らしい」作品だと思った。
戦争というドラッグをふんだんに吸い込む
人を銃で撃って殺すということは、肉が裂けて内臓と血液が飛び出すことを言う。そこに嘘をついてはいけない。それをきちんと描いているから、この作品には大きな力が宿っている。
キャストは大いに地味。レイフ・ファインズやガイ・ピアースといったベテランは、出てはいるものの脇に徹している。主演ジェレミー・レナー演じるクレイジーな兵士には、戦争というドラッグをふんだんに吸い込んだ空気感が漂っている。歩き方から眼差し、話し方、息のつき方、それらひとつひとつで丁寧に命がけの傭兵を体現してる。
カメラもとても効果的なアングルとタイミングを押さえている。この映画は“爆破”自体かなりのキーポイントとなっているのだが、その破壊行為が戦場の麻薬として観客を惑わせるのだ。正義か悪かを問わない戦争映画だからこそ、見ているものは自分で何を見ているのか考えないといけない。そこにはただひたすら、弾丸、肉、スイッチ、血、ワイヤー、人間。それしかないのだから。
戦意高揚映画
ヒリヒリと…神経焦げ付く緊張感。
ご多聞に漏れずの面白さでした。
いや…「面白い」と表現して良いものか…扱ってる内容が内容だけに、不謹慎な気もしますが。
ネタやトリック等を持ち得ないのに、サスペンス要素満載の緊迫感。
やたらとリアルなバグダッド市街地場景。
爆発する、爆発しない…テーブルに置かれた2枚のカード。どっちを引いてしまうのか…任務期間中に延々と繰り返される爆弾ゲーム。
爆弾処理班、主要キャラ三名の現場に於ける様々な反応と対応にも、緊迫感漲っています。まさに爆発寸前の精神状態。
彼らの誰にも納得できるし、誰にも納得できない。当事者じゃないから。
神経磨り減らし、まともな精神状態じゃ生きていけない状況。
前述した様な、爆弾ゲームを楽しむ主人公ジェームズの精神も、また或る意味で磨り減っている。
そして訪れるラスト。
不思議だったのは、ラストカットに訪れた、あの奇妙な恍惚感?高揚感?を自分が感じてることでした。
仰々しい音楽に乗せての、ジェームズの勇ましい後姿。
頭にこびり付いて、暫くは離れてくれないでしょう。
サハラとディア・ハンター
賛否両論の他の方のレビューで言い尽くされているようなので、
内容については触れない。
この映画を見終わって思い出したのは「ディア・ハンター」と、
昔ビッグコミックに連載されていた、小池一夫原作・平野仁作画の漫画
「女外人部隊サハラ」だった。
「ディア・ハンター」で、クリストファー・ウォーケンが演じたロシアンルーレットの
悲惨さは、戦争が人間の心にどれ程の苦痛を与え精神を歪めてしまうかを
まざまざと見せつけてくれた。
「サハラ」の中に、地雷に処女を奪われた修道女が、地雷処理任務となり、
仲間の命を救うべく地雷を処理していく話があった。
彼女は恐るべき集中力と勘で、地雷を捜し出していく。
なぜなら地雷は彼女の愛しい恋人であり、いつ爆発するかわからない恋人と
彼女はまぐわうのだった。
「ハート・ロッカー」のジェームズ二等軍曹が、
ゲームを楽しむかのように爆発物を処理していく様と、
喜々として戦場に降り立つ表情に
「戦争=麻薬」の恐ろしさ・虚しさ・悲惨さを痛感した。
一般市民に驚く
考え込んでしまいました
何というか、レビューを書きづらい映画だと思います。
爆発物処理の話なのに、ほとんどドキドキしなかったし、
ストーリーも、主人公と周囲の人(軍人仲間や現地の人たち)との
間に何やかにやとあるにはあるのだけれど、取り立てて、という
ほどではないように思いました。
だから評価が低いかというと、そんなことは全くなくて。
そういう内容なのに、あるいは、だからこそなのか
戦場が日常であるということについて、そして私たちはそれを彼らに
押しつけているんじゃないかと、すごーくすごーく考えてしまいました。
もちろんドキュメンタリーではないのだけれど
おそらく同じような境遇にいるアメリカ兵の人たちがいて、
私たちはどれだけ彼らのことを思っているの?
米兵の存在によって生かされたり、傷つけられたりしながらも
受け入れるしかない現地の人たちのやりきれないような気持ちと、
またそれを感じているであろう米兵。それでも仕事をしなければならない
彼ら。
正常な精神状態でいられなくなるのも当然かなと。
「無事で帰ってきて」という、監督のアカデミー賞での言葉に納得しました。
気軽に見られる映画ではないけれど、私はほんとうに秀逸な映画だと
思います。
戦争中毒
また新たな戦争の定義が誕生した…
「戦争=ドラッグ」という。
『戦場のワルツ』を見ても感じた。明らかに“戦争”が変わってきている、と。あくまでも戦争は日常の一部であって、私達の描く戦争のイメージよりも、もっと軽いのだ。
この『ハート・ロッカー』は最初から最後までほぼ戦場が舞台であり、緊迫した雰囲気が一貫して流れている。しかし、それでもどこか、見ていてわくわくしてしまったり、痛快な感情を抱いたりしてしまうのは、やはり、この映画の「戦争は麻薬である」というテーマのせいなのかもしれない。
第二次世界大戦から、武器は驚くほど発達し、戦争技術は高まるばかりだ。そして、高まれば高まるほど、戦争は間接的でゲーム感覚になっているのではないだろうか。
女性監督が作ったとは思えないハードボイルドさで、終始圧倒されてしまった。
しかしながら、この作品の持つ軽さと見易さが戦争を肯定するようにも見えて、これがアカデミー賞受賞の理由かもしれない…とも考えてしまった。
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