劇場公開日 2009年5月23日

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「【温ーいが、ポップでキッチュな三木ワールド全開作。何が面白いかと問われると答えに窮するが、一時代を築いた作品である。】」インスタント沼 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【温ーいが、ポップでキッチュな三木ワールド全開作。何が面白いかと問われると答えに窮するが、一時代を築いた作品である。】

2022年8月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■雑誌が休刊になり、出版社を辞めることになった沈丁花ハナメ(麻生久美子)。
 男にも振られ、泥沼のようなジリ貧人生をやり直そうと身の回りの荷物を処分した矢先、衝撃の手紙を発見。そこには、実の父親が“沈丁花ノブロウ”という全く知らない男(風間杜夫)だと書かれていて…。

◆感想

・今作は、とりわけ大仰な物語が語られる訳ではない。
 主人公の沈丁花ハナメ(麻生久美子)の生き方自体も、行き当たりばったりで、共感できる部分は少ない。
 だが、今作が公開された2009年というのは、バブル崩壊後、徐々に経済が復活している時代でありながら、虚無感が漂っていた時代である。
 今作が受け入れられた状況が良く分かる。

<三木監督の今作を含め、私が非常に好きな「転々」はその様な時代背景を意識しながらも、ポップで、キッチュな世界観を上手く映像化していたと思う。
 三木監督が、その後超低評価映画を立て続けに公開し、(特に記載しない)私の居住区の映画館では、一番大きなシアターで鑑賞した際の、殆ど観客が入っておらず、笑いも全く起こらなかった事は良く覚えている。
 今週末、三木監督の最新作が公開されるが、上映館は異常に少ない。
 だが、私は一縷の想いを込めて、わざわざ一時間駆けて車を走らせて鑑賞予定である。
 頼むよ!三木監督!と思ってしまうのである。>

NOBU