インスタント沼 : インタビュー
深夜の人気ドラマ「時効警察」の三木聡監督&麻生久美子が再タッグを組んだ「インスタント沼」は、ジリ貧のヒロイン・沈丁花ハナメがトラブルに巻き込まれながらも幸せを見つけていく姿を描く。ハイテンションなヒロインを演じた麻生久美子にインタビューを行った。(取材・文:編集部)
麻生久美子インタビュー
「『時効警察』の三日月しずかとは変えたいと思っていました」
――三木監督はリハーサルの鬼と言われているそうですが、さらに今回は天気の問題もあって大変な撮影になったのではないでしょうか?
「キツかったですね(苦笑)。特に最初の方は体力的にかなりキツかったです。でもそういうのはすぐに慣れていくし、お芝居でやっていることがすごく楽しかったので、ハナメのように元気をもらって乗り切れました。厳しい現場で緊張感もあったんですが、撮影は楽しかったです」
――これほどハチャメチャなコメディに出ずっぱりで演じるのは初めてだったのでは。演じるにあたり何か気をつけたことはありますか?
「以前三木さんと仕事したときの(『時効警察』のヒロイン)三日月しずかとは変えたいと思っていました。あとはセリフの言い方や間の取り方などもいろいろ考えていたんですが、考えて演じているのが見えるとつまらなくなっちゃうんです。だからいろいろ考えていたことは一旦リセットして、現場の雰囲気で面白くなっていけばいいなという感じで、あまり考えずに身を任せていました。監督からは特に何も言われませんでしたが、『三日月とは違ったテンションの上げ方をどうやるかだね』と言われたのは少しプレッシャーでした」
――オープニングシーンがとても面白い作りになっていますが、ゲリラ撮影で苦労も多かったとか。具体的にどのシーンが大変でしたか?
「背中に“バカ”という張り紙をされて歩いているシーンが一番大変でした。あれは駅で撮影しているんですが、少人数なのに駅の警備員らしき人にすぐ見つかってしまうんです。注意されたら一旦待機して、ちょっと時間が経ってからまた撮影するんですが、それでも見つかってしまう。撮ろうとする度に『(撮影は)ダメだよ!』って怒られるので、何度も撮り直す羽目になりました(笑)」
――結局、撮影期間内では終わらず、ほかのシーンの撮影の合間に撮ったそうですね。
「そうなんです。だから全体で何日かかっているのかは分かりません。撮っても撮っても終わらなくて、結局最後にあのシーンが残ってしまい、オープニングの撮影でクランクアップすることになりました」
――ハナメは幽霊の存在など目に見えないものは一切信じていませんが、ご自身は信じる方ですか?
「ものすごく信じるタイプです! 実際に幽霊の声を聞いたこともあるし、UFOも宇宙人も絶対いると思います。むしろいない訳がない!(笑)。というのも、実家の私の部屋が霊の通り道になっているのか、よく金縛りにあったり何かに踏まれたりするんです。ある日、自分の上で足踏みしている何かに首を絞められたことがありました。……なんで今こんな話をしてるんでしょうね(笑)。とにかくその点ではハナメと正反対ですね」
――ハナメのように雑誌の編集長だったとしたら、どんな内容にしますか?
「変な雑誌がいいですね。ファッション誌はまず作らないと思います。おススメの家電とマンガと不動産を紹介するよく分からない雑誌にしたいです」
――そういえば麻生さんは不動産通だそうですね。
「単に見るのが好きなだけなんですけどね。友達の部屋を探すと自分もその物件が見られるので、一緒にくっついて見に行ったりしています。知識が増えると自分が引っ越すときに役立つなあと思って。私は将来家を建てるのが夢なのでいろんな物件を見たいというのがあります」
――ファッション誌は作らないとのことですが、ハナメの衣装はどれも可愛いですよね。衣装が役作りのプラスになったことはありますか?
「大いにあります。服に随分助けられたと思います。やっぱり女の子は服装で気分も全然変わってきますよね。特に私は普段地味な格好ばかりしているので、カラフルな色をまとうだけでかなりテンションが上がりました」
――ハナメはジリ貧人生から脱出して前に進んでいく役ですが、ジリ貧から脱出するためにはどんなことが重要だと思いますか?
「今までやったことのないジャンルのお仕事に挑戦したり、習い事をやってみたりとか。でも私は飽きっぽい性格なので、いつか相性のいい習い事に出会えるといいんですけど。今はダンスを習ってみたいです。バレエ、ベリー、フラメンコ、タップ……言ってるだけでこんなにあるので、絶対続かないですね(笑)」
――ハナメは「困ったときは水道の蛇口をひねるといい」という電球(風間杜夫)のアドバイスで視界が開けていきます。麻生さん独自の気分転換の方法はありますか?
「いきなり踊ることと、無理矢理笑うこと。これはすごく効果的です。落ち込んでいるときや心配事があって胸が痛いときに、無理にでも笑ってみると身体に良い作用が働くと思います。踊るのは家の外ではできませんけどね(笑)」