「心地いいかったるさ」引き出しの中のラブレター マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
心地いいかったるさ
ラジオというのは不思議な魅力がある。何をしてても耳を傾けることができる。テレビと違って、映像が無い分、聞こえてくる言葉に集中できる。言葉の持つ意味を理解しようという意志が働く。そんなラジオの力で、人の離れた心と心を再び繋ぐことができるのか、主人公の過去と聴取者の人間模様を絡めて気負うことなく話を進めていく。
函館の漁港を取り入れてはいるが、東京という大都会の中で暮らす人々を小さな輪の中にくくった群像劇は、人物設定といい話の展開といい、常套なのだがホロッとさせられる。思い出すのは「大停電の夜に」(2005/豊川悦司主演)だ。どちらも過去を振り切るのではなく、今の自分に未来を上乗せしていく力みのない人生を描いた佳作だ。共通する魅力は、心地いいかったるさ。
伊東四朗・・・情に流されまいと必死に任務にあたる刑事役もいいけど、好々爺もイヤミがなくていいね。
ポスターは常磐貴子が一人だけ写った初期の方がいい。夜の都会、夜のひとときというムードがある。現行のは散漫で焦点がボケてしまった。
コメントする