劇場公開日 2009年2月7日

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「出来として平均60点。ミュージカルとしては90点くらい。映画としては、ストーリー面が厳しい。」ハイスクール・ミュージカル ザ・ムービー 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

1.0出来として平均60点。ミュージカルとしては90点くらい。映画としては、ストーリー面が厳しい。

2009年2月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ハイスクール・ミュージカルというだけに高校生向けの作品かと思いきや、結構大人の鑑賞にに耐えるだけのクオリティを持っていました。

 特に良かったのは、冒頭のバスケのシーン。残りされた16分で逆転を仕掛けていくときの緊迫したゲームと、ミュージカルが見事にシンクロして、ノリノリの展開になったのです。
 もう少しバスケネタを長くしても良かったのではないかと惜しい気がします。

 ただストーリーの軸は、卒業と同時に1600キロも離れた別々の大学に進学してしまうトロイとガブリエラの恋の行方。その描き方は、どうも先が見えていてイマイチでしたね。
 ガブリエラの割り切り方は、徹底していて、どうせ別れて会えないのならと卒業式を待たず、しかもプロムで決まっていたミュージカルの主役も放棄。住んでいた家まで売り飛ばして、進学先の大学がある街へ引っ越してしまうのでした。
 もう二度と会えないことを悟ったトロイは、思いがけない行動に出ます。どうなるかは画面で見ていただくこととして、結論からいえば、そんな選択するならさっさと最初から決めたら良かったのにといいたくなるものでした。
 そういう先が見える決着の仕方だけに、中盤からのストーリーは、はっきり言ってつまらなかったです。ミュージカルの割には、セリフパートも長かったし。
 プロムのミュージカルの位置づけも中途半端です。ホントはもっと二人の恋の行く末にフォーカスすべきなのに、まるで「コーラスライン」のようにミュージカル自体が映画のメインになっているかのように幅をきかしています。
 映画自体がミュージカルのため、劇中劇のミュージカルも高校生のプロムでの出し物とは思えないほどの本格派。こんなミュージカルを本当にアメリカの高校では、演じているなら、さすがショウビジネスの本場と言うべきでしょう。
 日本の高校生だったらは、チェーホフの『櫻の園』を演じるのが精一杯というところでしょう。とてもこんなエンタなミュージカルは無理というもの。
 すごいステータスのあるジュリアード音楽院の奨学生の選考審査というのも、余り意味がなかったですね。

 それでも映画自体がヒットしたのは、ミュージカルとしての楽曲の良さと、ザック・エフロンの魅力に尽きます。セリフパートを除き、ミュージカルの部分では、やはり魅せてくれます。
 トロイの熱い視線、そしてガブリエラとラブラブでツーショットで愛を歌い上げるシーンは、女性のシネマファンなら納得の1本になることは確実でしょう。

流山の小地蔵