劇場公開日 2009年4月11日

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ニセ札 : 映画評論・批評

2009年4月7日更新

2009年4月11日よりテアトル新宿、シネカノン有楽町ほかにてロードショー

かたちだけの民主主義に対する痛烈な風刺

木村祐一の初監督作品は、小学校教頭のかげ子が軍国主義の書物を焼却する場面から始まる。戦争は終わったものの、図書室の書架に本はなく、村は貧しく、上からもたらされる民主主義が空白を埋めることはない。

この映画では、ニセ札を作ることが、そんな戦後をどう受け入れ、どう生きるかということと結びつけられている。計画を思いついたブローカーは、人を騙してでも金を儲けようとする。軍国主義から抜けきれない元軍人は、戦時中の任務のようにニセ札作りに打ち込む。しかし最終的に主導権を握るのは、犯罪の片棒を担ぐのを拒んでいたかげ子だ。

彼女の覚醒は、ホンモノとニセモノをめぐる独特のユーモアを絡めて表現される。知的障害を持つかげ子の息子は、生きた亀と木彫りの亀をすり替えてみせる。彼女はそれをヒントに、ホンモノの札を試作品として見せてまわり、資金集めに成功する。そして、刷り上ったニセ札を平等に分配する。

かげ子のなかでニセ札を作ることは、疲弊した地域を活性化する事業を興すこと、さらには自分の手で民主主義を実現することへとすり替わっていく。そんなドラマは、かたちだけの民主主義に対する痛烈な風刺になっている。

(大場正明)

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