劇場公開日 2009年6月13日

「「派手さはない。でも、心に残る余韻がある」」真夏のオリオン 林文臣さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「派手さはない。でも、心に残る余韻がある」

2025年7月10日
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第二次世界大戦末期、架空の潜水艦「イ‑77」が米駆逐艦“パーシバル”と一騎打ちを繰り広げる戦記ドラマ。艦長・倉本孝行(玉木宏)は、「人間魚雷」回天を敢えて使わず、部下の命を尊重する姿勢を貫く—この姿勢に深い共感を覚えました。 

玉木宏は「美声すぎる」との指摘もありましたが、艦長としての芯の強さを滲ませていて魅力的。対する米艦長との友情めいた関係、「オリオン」の楽譜を通じて戦場を越える絆が描かれる展開には、静かに胸を打たれます。

しかし一方で、全体的に“静かすぎる”との声も。艦内の緊張感や緻密な演出を期待すると、物足りなさを感じる人もいるでしょう。 特に潜水艦内の閉塞感や緊迫感が薄く、盛り上がりに欠けると感じました。

それでも、命と尊厳、人間同士の繋がりを丁寧に描き出そうという意図が伝わり、ラストにはじんわりとした感動がありました。派手な戦闘シーンを期待しない“戦争知らない世代”にも刺さる平和へのメッセージがここにはあります。

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林文臣
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