「女優陣が素晴らしい」ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
女優陣が素晴らしい
とにかくキャスティングがいい。無駄がない。中でも女優陣が素晴らしい。室井滋(椿屋の女将)は戦後のどさくさを逞しく生きる女に見えるし、広末涼子は昭和20年代の女優を連想させる。松たか子は、持ち前の明るさを発揮しつつ、弁護士の辻(堤真一)を訪ねた際には、口紅一本と階段を下りる遠目の姿だけで何があったのかを連想させる。
破滅の道を進むネガティブな男に対し、妻は単にポジティブなだけでなく、愛する男のためには開き直った強さを併せ持つ。まさに女の作品だが、タイトルが欲張り過ぎ。「ヴィヨンの妻」だけでいいではないか。インパクトがある。
終戦直後の居酒屋周りの街の風情がよく出ていた。エキストラの服装や壁に貼られたビラ1枚にまで気が配られている。列車の中の雰囲気もよく出ていた。
佐知の最後の台詞「生きてればいいのよ」が印象的。
地味な作品だが、カメラと音響設計がうまい。
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