劇場公開日 2009年7月10日

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ノウイング : インタビュー

2009年7月7日更新

アイ,ロボット」「ダークシティ」のアレックス・プロヤス監督が、ニコラス・ケイジを主演に作り上げた21世紀のディザスター・ムービー「ノウイング」。1枚のメモに書き込まれた予言が次々と現実化していく恐怖のスペクタクルと、メモに隠された秘密を解きほぐしながら展開するミステリーが融合し、よくあるディザスター映画とは一線を画す異色作となっている。eiga.comでは本作で宇宙物理学者ジョン・ケストラーに扮したニコラス・ケイジにインタビューを行った。(文・構成:編集部)

ニコラス・ケイジ インタビュー
「世界の終わりというのは、実際に起きることだと思う」

「ナショナル・トレジャー」の歴史学者に続いて、本作でも宇宙物理学者とインテリ役が続いている
「ナショナル・トレジャー」の歴史学者に続いて、本作でも宇宙物理学者とインテリ役が続いている

──ベストセラー小説の映画化が当たり前の昨今、本作は約8年の歳月をかけて脚本が練られました。そのオリジナル脚本で演じることは、やはり役者として魅力を感じていたのでしょうか?

「ああ、それは間違いないね。オリジナリティというのは、役者として最も重要だと思っている部分だからね。僕らが生きている今の時代、人々は、これまであったような古い形にはまったアクション映画よりも、より新鮮かつまったく新しい方法でエンターテインメントしてくれる作品を求めていると思うからね。

世の中のシングル・ファーザーを応援する 気持ちで本作にも出演
世の中のシングル・ファーザーを応援する 気持ちで本作にも出演

僕がこの作品に惹かれた理由のひとつは、拳銃を持ったり、人を殺したりしなくてもいいような映画に出演したいと思っていたからなんだ。より抽象的で、想像の世界に身を置きながら、人を銃で殺したりしなくてもよい、しかも大勢の観客に楽しんでもらえるジャンルと言ったら一体何があるだろうと考えた時、サイエンス・フィクションは、唯一とは言わないまでも、それが実現できる数少ないジャンルだと思ったんだ。

他には、父親としての自分が日頃感じていることをこの役を通して表現できると思ったことだね。父親と息子の関係性が表現できると思ったし、特に、彼がシングル・ファーザーであるという点に惹かれたんだ。シングル・マザーというのは、映画の中でも多く描かれてきたテーマだと思うんだけどシングル・ファーザーを描いた作品というのは思いのほか少ない。僕は自分がそうだった時期があるから、世の中のシングル・ファーザーを応援したいとも思ったんだよね」

──本作の役柄と、父親としてのあなた自身に重なる部分はありましたか?

「間違いなく重なる部分はあるよ。自分の経験や思い出を元にして演じたところもあったからね。それが映画の台詞として実際に起用された部分もあったんだ。僕の長男が病院に担ぎ込まれたことがあってその時に息子が僕に『僕は死んじゃうの? 死んだらどうなるの?』って言い続けたことがあったんだけど、その時僕は『お前は絶対に死なないよ』って言ったんだ。それを、映画の中でも実際に台詞として使ったんだ」

──本作の監督は「アイ,ロボット」のアレックス・プロヤスでしたが、彼の演出方法で印象に残ったところは?

来日時には秋葉原を よく訪れるという
来日時には秋葉原を よく訪れるという

「アレックスの素晴らしいところは、彼のビジュアル・スタイルが確立されているということ。だから観た瞬間に、それが彼の作品であるとわかるんだ。それ以外に、僕がアレックスを監督として最も尊敬する部分は、俳優が現場で演じやすいような環境を作ってくれるところなんだ。おかげで、俳優達はすごく安心できる。僕らが演じるシーンには、感情をむき出しにしなくてはいけないことが多くある。ほとんど自分達の魂を人前で曝け出しているような気分になるくらいね。俳優として、それをやるためには、監督を心から信頼しなくてはいけないし、彼にしっかりと守られているという気分にならないとできない。アレックスはその能力に長けている。みんなをリラックスさせてくれるし安心させてくれる。

それは、もしかしたらオーストラリアで撮影できたということも関係していたのかもしれない。アメリカのクルーとはどう違うのかという質問を何回かされて改めて思ったのだけど、オーストラリアのクルーは、リラックスという点においてアメリカのクルーとはちょっと違った考え方を持っているような気がしたんだよね。いや、厳密に言えば、クルーという意味では、アメリカのクルーもリラックスした人達が多いと思うけど、プロデューサー・レベルの人達が、アメリカの場合はもっと、厳しく取り締まるタイプの人達が多いんだ。オーストラリアの場合は、それほどでもないような気がする。強いて言えば、それが大きく違った点だと思う」

──本作では、いわゆる終末思想(終末論)を反映させたシーンが出てきますが、自分では終末思想を信じていますか?

「終末論、つまり世界の終わりというのは、実際に起きることだと思う。今から100億年後くらいにね。天文学の権威によると、地球を温め、命を授ける太陽の炎が、いつの日か燃え尽きてしまうそうだからね。僕は天文学者じゃないから本当に何が起きるのかわからないし、彼らが言っていることが間違っている可能性だってある。でも今のところは天文学者達はそう思っているようだ。ただ、僕は地球上にはさらに多くの側面があると思う。物理的な存在があり、そしてスピリチュアルな存在がある。スピリチュアルな面についてどう思うかは、僕はこれまで公に多くは語ってこなかったし、それはすごくプライベートで、パーソナルなことだと思っているんだけど、でも、僕の作品を通じて、観客は僕が信じるスピリチュアルなものを感じることができるんじゃないかと思っているんだ」

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