ディファイアンスのレビュー・感想・評価
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組織の運営と、人間の知性
パルチザンに参加する者が増えれば増えるほど、規律を乱す者がいたり意見の対立が起こったりする。そして組織の長は、下の人間からの無理解で無責任な批判にさらされる。それでも言うことを聞かせ、決断を下さねばならない。そんな組織運営の難しさが描かれている。
また、人間は一人では大したことはできないが、協力してこそ「知性」という最大の強みを発揮できる生き物だと思わされる。銃を修理できる者、ユダヤ教の戒律に詳しい者、医療に関する知識を持つ者。各々にできることがある。そういった知識や技術を活用し協力しあうことで、組織として大きなことができる。その結果が、ラストシーンで言及されていたように、コミュニティの中での学校や病院の運営だろう。
このように「組織」について考えさせられる映画だった。
生きて抗え
去年観た映画で「生きて抗え」という宣伝コピーがあったか、この映画もまさに「生きて抗え」だ。
脚色もたくさんあるとは思うが、これ実話なんだよなぁ~。
映像もキャストの演技もリアリティがあって素晴らしかったです。
監督の想いにも、このタイミングでのテレビ放映にも…
「ラストサムライ」では渡辺謙の役を真田広之
がやってくれていたらとの想いがあり
少し残念だったとか、
また、「グローリー」での主人公が己の決断を
神に確かめるような仕草が印象的だった
記憶が残る中、
エドワード・ズウィック監督作品として、
また、ナチスに抵抗する場所が、
今回のロシアによるウクライナ侵攻の
片棒を担いでいるベラルーシが舞台という
設定に興味をそそられ鑑賞した。
ストーリー自体は、困難の中、
お互いに成長して、また相互理解を遂げる
友情(ここでは兄弟)物という
ありがちな話で目新しさはなかったが、
600~700万人が虐殺されたと言われる中、
森の中にコミュニティを作って生き延びた
ユダヤ人がいたことや、
ソ連の正規軍とは異なる赤軍パルチザン部隊
が各地に展開していたことを
初めて知ることが出来た。
解説を読むと、映画冒頭の
“これは真実の物語”との表示にも関わらず、
何かと史実との相違はありそうだが、
エンターテインメントに仕上げる手法と理解
出来て鑑賞の妨げにはならなかった。
それにしても、戦争は酷い。
ドイツ側だけに留まらず、
ユダヤ人側の虐殺シーンも酷く、
これらの殺戮の応酬が、まさに
監督が描きたかった戦争の実態・悲劇
なのだろうと思うと共に、
このタイミングでNHKがこの作品を放映
したことにも同じような想いが
あったのではないだろうか。
ウクライナやガザ地区で、
これ映画と同じようなことが行われている
と想像すると、現代への警鐘としても、
こうした過去に行われた負の歴史を
映画の世界でなぞる行為が
今更ながら貴重に思えた。
特徴はあるが
ベラルーシに侵攻したナチスから逃れたビエルスキ兄弟は、森で同様のユダヤ人たちと共同生活をする。銃を手に入れ、長兄トゥヴィアらを中心にナチスへの抵抗を始める一方、各地からユダヤ人が集まってくる。その後トゥヴィアと対立した次兄ズシュは、ソ連の赤軍パルチザンに参加してナチスへ抵抗する。
実話をもとにした物語。タイトルの意味は、果敢な抵抗。ユダヤ人はただ狩られるばかり映画が多いですが、これは武装し戦ったユダヤ人を描いたのが特徴。やっぱりそういう人たちもいたんだと知りました。特徴はあるけど、邦題は何も工夫してないし、内容もあまり印象に残らなそう。ゲットーからの脱走の部分がやけにあっさりしています。もっと困難があったのでは。
生き残ることが復讐
1941年、ナチスがベラルーシを占領しユダヤ人狩りを 始めた。ダニエルクレイグ扮するトゥビアビエルスキら兄弟は父親を殺され森へ逃げ込んだ。弾丸は4発しかなかったが恨みを晴らした。
非常に重々しい展開で、暗黒の歴史を物語る。ドイツ人狩りをためらうジェームズボンドも苦しんでいたね。生き残ることが復讐だ。途中で以前観たことがあるのを思い出したよ。
うん、よかったが、
しかし、当時のドイツ(ナチス)の映画はたくさんあれど、いつも「よくあんなことができたなあ」という残念かつ憤るような気持ちにもなってしまう。
この映画もそのひとつ、でも歴史で大々的に語られないこういう史実もあったわけで、これまたナチスに対して「なんでそこまでするのか」と、そこに戻る気持ちになる。
そこまでのひどいことだからそんな映画もたくさんあるんだろうけど、ホント、それから80年たっても違う地域でまだ似たようなことがあり、それも残念かつ憤りを感じる。
国の方針や命令とはいえ、従う連中も「人としてよくそんなことができるなあ」と。
こういう過去から学んでこんなひどいメにあう人がいなくならないとなー。
重いけど必要な作品
冒頭のtrue storyで重い作品だと覚悟して観始めましたが、その想像よりズシリときました
ドイツ国内だけでなくいろんな場所でユダヤ人がひどい目に合っていた事をこの作品で知りました
その辛い事実をずっと伝え続けていくためにこういう作品は必要と思います
みんなを守って引っ張るリーダーの存在の大きさ、完璧な善人ではないけど、牧師さん?の言葉のように本当に彼は神が遣わせた人なのかもと思わされる作品でした
主演のダニエル・クレイグ、脇を固めるリーブ・シュレイバーなどキャストの演技が素晴らしかったです
特にダニエル・クレイグのセリフなしでも伝わってくる苦悩の演技は007より良かったように思います
人間として、生きるための[抵抗]だった
2019年10月14日
#ディファイアンス 鑑賞
キャッチ・コピーは、「人間として、生きるための[抵抗]だった」
ナチスからの迫害を逃れて森の中で数年間も生き延びたユダヤ人グループのお話。最後は1200人規模にもなって、学校やら病院やらもあったらしい。日本ではあまり想像できない規模ですね。
#ダニエル・クレイグ#リーヴ・シュレイバー#ジェイミー・ベル#ミア・ワシコウスカ
もう一人のオスカー・シンドラー
さすがエドワード・ズウィック監督の作品なだけあって、ヒトラー征伐時代のユダヤ人迫害を緊迫感ある人間ドラマに描いている。実話なだけあって、とても考えさせられる。みんなに見てもらいたい。
ピエルスキ3兄弟それぞれの価値観と生き様
否応なしに戦争に巻き込まれていく民族が、徐々に生を賭けて戦うことを余儀なくされる過程が刻々と描かれていく。
戦いを通して、決して英雄などではなかった長男トゥヴィア(ダニエル・クレイグ)は、人を束ねることに目覚め、来るものは拒まず、森のキャンプはどんどん肥大化してしまう。腕力では負けない次男ズシュ(リーヴ・シュレイバー)は、トゥヴィアひとりが人々の信任を得るのが面白くない。三男のアザエル(ジェイミー・ベル)は、トゥビアの弱さを知りつつも、愛するハイア(ミア・ワシコウスカ)とともに森の生活を続ける。
1200人ものユダヤ人を救った事実は賞賛に値するが、この作品は、ピエルスキ3兄弟の、それぞれ違った価値観と、その生き様を描いたものである。
p.s. ダニエル・クレイグ・・・いまもっとも輝いている男優かもしれない。シャープな風貌と行動力の陰に、人が持つ脆さを漂わせる。
良かったけどちょっと長い!かな?
かっこいいダニエル・クレイグ主演!
・・・っつ~ことで観に行ったんですが
はっきり言って私的に、
彼にはこのキャラが似合ってなかったよ~な感じです^^;
いつも死と背中合わせで生き抜くユダヤ人。
ダニエルだと何だか全てが綺麗過ぎてしまう・・・・
深刻な実話なだけに
もっと切羽詰った緊迫感が欲しかった。
ユダヤ人虐殺の話なのでとても重たい映画です。
でもちょっと長すぎっ!!!
そこも私の評価を下げた原因の1つかな。
結構有名な俳優さんがわきを囲んでいるので見ごたえあります(^o^)
5月28日イオンシネマ高崎にて観賞
死を選ぶことも尊いと知った(それは生きることだから)
人間として、生きるための抵抗(ディファイアンス;Defiance )だった。
「ラスト サムライ」のエドワード・ズウィック監督が自ら脚本を手掛けたこの作品、ユダヤ人虐殺という闇の史実に埋もれたビエルスキ兄弟の真実を物語っている。
1941年第二次世界大戦の最中、ナチス・ドイツの猛攻がポーランドを襲った。
両親を殺されたトゥヴィア、ズシュ、アザエルのビエルスキ兄弟は、子供の頃から知りつくしたベラルーシの森に身を隠す。
そこには徐々に迫害から逃れたユダヤ人達が集まり、いつしか兄弟は彼らの身を左右する先導的役割を担うことになる。
兄弟の長男トゥヴィアは身を隠しつつ、両親を殺されたことへの復習心も隠し持っていた。
ある日それが暴発し直接行為に走る。
それで済む程の問題ではない。
ナチス軍そのものを相手にしてしまう事態に陥る。
果たしたはずの復讐など、単なる序章だった。
空しさに覆われた空気感と、木々の合間に見える灰色な空の閉鎖感が絶妙だ。
彼等はとにかく生きることにした。
決して安全とは言えず、途方に暮れてもいたが、いつまでも頭を垂れてはいなかった。
生きることを見失っていなかった。
それが唯一の救いだった。
やがてトゥヴィアはパルチザン(民間人が組織する非正規軍)として反対勢力に化すということではなく、一人でも多くのユダヤ人救出の為に尽力する組織を構想する。
現役007のダニエル・クレイグ;Daniel Wroughton Craigが、スタイリッシュさを他所に、苦悩しながら理想を求めて歩むリーダーに扮する。
極限状態に置かれた人々の指針となっていく様が描かれている。
ごく普通の男が、強大なナチスから人々を救出するために闘う姿が見ものだ。
憤りと悲しみから始まった闘争行為は、「生きる」ことを選んだ強さと優しさが根底にあった。
憎しみと復讐から始まった逃亡生活は、「共同体」という言葉を知り「生きる組織」を形成する手がかりとなった。
木材や薪の一つ一つから、男女、老人、若者といった生身の労働力まで・・・人々が公平に小さな国家を建国するかのように、希望に満ちたシーンが散りばめられている。
また、敵に見つかり空爆される中を逃げまどう混乱シーンもある。
アクション映画的な要素も含まれやや軽視しがちな錯覚に陥るが、そこはエンターテイメントとして理解しても良いだろう。
しかし「シンドラーのリスト」や「戦場のピアニスト」ほど悲愴的で重たい空気が無い分、人の生や性(さが)についてを細かく描写している。
この映画の良さはそこにある。
「シンドラー~」「戦場の~」で描かれたナチスは、冷酷非道そのものを嫌という程味あわせてくれた。
その後味の悪さが主人公たちの存在感を浮かび上がらせる効果だったが、「ディファイアンス」は別な切り口だ。
彼らが作り上げた「共同体そのもの」にも善悪があるようにスポットを当てている。
劣悪な気候や精神的な苛立ち、飢えや伝染病の蔓延、意見の食い違いによる決別、不平分子等、すべて仲間内から出始める。
そういった思わぬ困難とも向き合わざるを得ない悲しさの中に、本来の人間らしさがあった。
むしろナチスの強行は、遅々とした静かさだ・・・次第に追い詰めていく得体の無さだ。
これらの苦境について、3兄弟が各々の場面で決断し、打開策を見出していくストーリーは、どこか爽快な気持ちにもなる。
だから史実のリアリティに嘆いて感慨深くなる部分と、それとは別腹でスリリングな展開を追う部分と、両方を心得ながら鑑賞するといいだろう。
「人間らしく生きるための『死』を選ぶ」と劇中でトゥヴィアが語った台詞が脳裏に焼き付いている。
人間らしさを尊ぶため、人は逃亡し闘うこともあるのだという。
その上で納得のいく最期を迎えたいということだ。
生きることは、きれい事だけではない。
常に決断と責任の名に於いて、行くべき道を自ら選ぶこと。
どんな状況下に置かれてもだ。
話を元にしているとはいえ、驚きのサバイバルストーリー。ダニエル・クレイグの弱みを魅せる人間くささに惚れ込む1本!
第二次大戦下のポーランド・ソ連国境地帯で、最大1200人のユダヤ同胞を率いて、終戦までその命を守り抜いたビエルスキ兄弟の活躍を描いた物語。
ナチスの追撃にディファイアンスしながら、ベラルーシの森の中で何年も極寒と飢えも乗り越え、さすらいながらコミュニティを維持できたことは、実話を元にしているとはいえ、驚きでした。
映画には出てきませんでしたが、森の中のコミュニティは、病院や保育所まで機能していたようです。
森の中にキャンプと称する村を建設し、逞しくサバイバルの様子は、興味深いものがありました。
そしていつドイツ軍がやってくるかという緊迫感が、この作品の最大のバックボーン。 ただ中盤の越冬シーンは、キャンプのなかでのユダヤ人同士の食料を巡るいざこざが長めに描かれていて、ちょっと薄らいでしまいました。
それとゲットーの収容所に潜入して、収監されていたユダヤ人を全員救出するところでは、いともあっさり成功して、拍子抜け。
けれども終盤になって、ドイツ軍に追われだしてからは、ドキドキする展開で一気にラストに突入していったのです。
ダニエル・クレイグが演じるリーダーのトゥヴィアは、沈着冷静でありながら、随所に人としての優しさとか弱さを滲ませて、人間くささを色濃く表していました。
特に、コミュニティがドイツ軍に襲撃を受け、沼地に追い詰められたとき、溺死を覚悟で沼地に進むか、それとも徹底抗戦するか、まるで旧約聖書のモーゼと同様の究極の決断を迫られる場面となります。
このとき決断を迫られるトゥヴィアは、決断できずに悪寒に震え上がるのですね。1200人を束ねてきた貫禄のあるトゥヴィアも人の子であったということで、この心理描写を見事にダニエル・クレイグが演じきっていて、凄いなと思いました。エドワード・ズウィック監督ならではの心理描写が際立っていました。
一番感動したのはトゥヴィアとズシュの兄弟愛です。
感情的で好戦的なズシュは、ドイツ兵への復讐心でいきり立っています。それに比べて同胞への愛が深いトゥヴィアは、ドイツ兵を10人殺すことよりも1人の同胞を救うことを重視していました。たとえそれが病人や女子供など、ズシュから見たら足手まといな存在でも。
ある日、そんな二人の考え方の違いが爆発して、大げんかとなります。それがきっかけとなって、ズシュはキャンプを離れて、ソ連軍兵士なってしまいます。
しかし兄のピンチの時、軍から脱走してまで助けようとするところはやはり兄弟。仲違いした二人ががっしり抱き合うところはジンときましたね。
新米として青臭い007よりも、人間くささを感じさせるダニエル・クレイグを見てみたい人にお勧めの一本です
●ユダヤ人虐殺の背景
ユダヤ人は、ドイツ国内ではいつの事態でもマイノリティであり、差別されてきました。ヒトラーはこの偏見を最大限に活用、当時の大戦の敗北により失業率50%という経済危機の責任をユダヤ人に押しつけました。ナチスの台頭と共に、抑圧はより先鋭化していき、ヒトラーは14歳以上から教育の機会を奪う法律を定め、ユダヤ人が弁護士、医者、ジャーナリストとなることを違法としたのです。
だが、これは序の口にしか過ぎませんでした。
この作品でも描かれていますが、第二次大戦中のナチスのユダヤ人狩りによって、ヨーロッパに900万人いたユダヤ人の実に600万人が殺されてしまったのです。
いまイスラエルに対して国際的な非難が集中しています。しかし、彼らが念願のカナンの地を手に入れるまで、どれほどの苦難を2000年間味わってきたかと思うと、一概に責められない気持ちになりませんか。
『今でなければいつ』みたい
ユダヤ人パルチザンのお話というと、プリーモ・レーヴィの『今でなければいつ』をすぐ想起するが、細部が妙に似ていた。
すごくつまらないわけでもないが、同じベラルーシが舞台の戦争もので「炎628」と比較すると、何だかもの足りない。
ユダヤ人への迫害を行っていたのはドイツ人のみではなかったという点が浮き彫りになってくると、「僕の大事なコレクション」でもウクライナ系の人たちからの反発があり、実際にウクライナでのロケができなかったというから、この作品の撮影がベラルーシでできなかったのは(というか最初からそこでするつもりがなかったのかも)ある意味当然でしょう。というくらい、ベラルーシの人が観たらいい気はしないだろうという作りになっています。
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