「ブラックコメディの一品」小森生活向上クラブ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
ブラックコメディの一品
フラッシュが目に痛いオープニングに古田新太のどアップとは早くも監督の悪意と殺気を禁じ得ない、被害妄想女まではホラー仕立てなので鑑賞を続けるか悩んだがボッタくりバーあたりからテンポもあがり、荒唐無稽な展開に惹きこまれました。
鬱憤晴らしも映画の効用、「必殺仕置き人」や「イコライザー」が受けるのも人間が社会的な生き物という現実だからだろう。善と悪は人類普遍のテーマだ、野生の獣は生存本能に従うだけで殺しに理屈をつけたり愉しんではいないだろう。本作は心の暗部のカタルシスと同時にいつのまにか陪審員席に座らせられているような居心地の悪さ、人間の不完全性を考える機会を与えてくれる点で単なる三流週刊誌の連載小説とは一線を隔している。さすがに高尚な社会派ドラマでは敬遠されるとブラックコメディに仕立てているし、あえて低俗性を加えているが奥が深い。
この映画は古田さんだから成立したとも思える存在感、初主演作のようですがその後の活躍もうなづけます。磯村部長は原作者のカメオ出演とか。
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