「豊穣な嘘」ヘルボーイ ゴールデン・アーミー 小二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
豊穣な嘘
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ビールと葉巻と猫が好き。短気な乱暴者だけど、好きな女には、からきし弱い。そして、ある種の潔癖さを持っている。
「タフじゃなくては生きていけない。やさしくなくては、生きている資格はない」
そんな言葉がフィリップ・マーロウより似合ってる。ヘルボーイはハードボイルドな男っす。
ヘルボーイ以外の登場キャラも、それぞれ弱点欠点ありながら、ある種の潔癖さ頑固さを持っている。
主要キャラから通りすがりのクリチャーまで、己のスタイルを貫いている。
歯の妖精、おできの子ども、ウィンク、森の精霊、ゴブリン、死の天使…みんな、いい。デルトロのありったけの愛が透けて見える、豊穣な異界の住人。
ヘルボーイが森の精霊を撃つのを一瞬ためらうところが、いい。それでも人間を救うために撃つ。その哀しさよ…。森の精霊は撃たれた後、ヘルボーイを慰めるかのように美しい花を咲かせてくれる。これをデルトロの愛と呼ばずして何と呼ぶ!!
「映画館には,嘘を観にいく」と曾て色川武大が書いていたけど、どうせ観るなら、こんな豊穣で優しい嘘がいい。
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