「ミステリーとしてイマイチ食い足りない……」ホワイトアウト 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
ミステリーとしてイマイチ食い足りない……
あるいは僕が期待しすぎただけかもしれない。
制作会社はホラー専門のイメージが強いダークキャッスル社、話の舞台は南極、導入部に登場する『謎の積荷』……
ホラー映画好きの自分としては無敵の傑作『遊星からの物体X』を連想せずにはいられないのだが、蓋を開けてみると実はアクション色が強めのミステリーである。
K・ベッキンセール演じる主人公は魅力的だし、ホワイトアウトや凍傷など、南極という極限空間を活かした幾つかのアイデアも悪くない。
だがいかんせん、ミステリーとしての強度が無い。展開の緩急に乏しく、犯人の意外性や、犯人を凶行に駆り立てる『謎の積荷』もちょいと拍子抜け。
何より犯人の動機に当たる部分が弱いのが残念だ。いや、動機としてはあれで十分なのだが、ちょっと説明がアッサリしすぎてやしないかしらん。
犯人の憤りや、薄汚れた欲望とは別な人間的な面が伝わりきらなかったように思える。
監督は『60セカンズ』や『ソードフィッシュ』等で悪を魅力的に描いてきたドミニク・セナ。
今回ももっと深みのある悪を描いてほしかった。
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