ブタがいた教室のレビュー・感想・評価
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ドラマなのに、素でつかみ合いのケンカをするほど白熱したガチンコ激論は見応えがあり。しかし、演出しない映画手法に疑問。
いのちはなぜ尊いか?
道徳教育を否定し続けてきた現在の学校教育では、こんな簡単で教育の根源的テーマに答えられません。だから、いじめや自殺、果てはDVやら無差別殺人につながっていると思います。
そういう点で手放しでお勧めしませんが、実話に基づく問題作として考えていただきたい一本です。
ある小6のクラス担任が子供たちに命について考えさせるため、ブタを1年間飼って食べようという″授業″を行います。この授業の是非はさておき、映画の中で子供たちが涙ながらに交わす「食べる」「食べない」のガチンコ激論は見応えがありました。星先生の情熱と、子どもたちが自ら考えて真剣に事態に向き合う姿に心を打たれることでしょう。 本作の元になったドキュメンタリーがテレビ放送されたときも、視聴者からの反応は「残酷だ」、「それは教育ではない」という批判的な声が多かったようです。
人間が生き物を食べずに生きられないのは残酷なことです。でも、宗教的に見れば動植物にとって生まれもった肉体は、今世いのちを差し出す修行でもあり、人間には感謝の心で生をまっとうする義務があります。もし食べることが悪であれば、食べられないような味になっていたことでしょう。そうなれば食事は、いのちを維持する難行苦行となっていたはずです。
だから食事は、いのちを戴く大事な教育の場であると思います。教える側にそんな観点があれば、こうした話題になっても子供たちの心に割り切れない疑問や傷を残さずに済むはずです。
けれども星先生は、あくまで子供達に自由にディスカッションさせて、自らは一言もいのちの尊さを語ろうとしませんでした。というよりも、本人もどう答えるか分からなかったようなのです。星先生の戸惑う姿に、宗教的バックボーンのない「命の教育」の限界を痛感させられました。
教育現場で、道徳を教えようとすると直ぐ、大人の価値観を押しつけてはならないという批判が父兄や労組から帰ってきます。しかし、大人がきちんと善悪やいのちの尊さを教えないと、子供達だけでは分からないと思います。
いじめ問題でも、先生が介入を避けて、この映画のように加害者の子供と被害者の子供を話し合いさせようとするから、解決しないのです。
日教組は、給食で『いただきます』と手を合わせることすら、宗教的と否定します。食べ物に宿るいのちについての宗教的観点があれば、子供達に感謝の大切さを深く教えられることでしょう。
本作は製作手法も映画づくりのあり方について、問いかける作品です。
あくまで脚本のあるフィクションであるのに、出演した子供達に自由に語らせたドキュメンタリーでもあるのです。手渡された脚本は白紙(^^ゞ結末が記されていない脚本だったのです。だから、Pちゃんとふれあう子供達は素のまんま。オーディションからの180日間、実際にブタの飼育をしながら自分たちが撮影で飼っているブタをどうすべきか討論していったのです。そのため子供達は、撮影している「Pちゃん」に感情移入してしまい、思いや意見をカメラにぶつけたのです。演出でなく子供達の意見は「食べる13人、食べない13人」の真二つに別れ、時には議論が白熱して大粒の涙を流し、つかみ合いのケンカをしたこともあったそうです。そのシーンは演出ではなかったのです。
撮影を通して役を演じる子どもたちもまた、この授業を追体験したのでした。
演技でないぶん、みんな本物の表情で語るのですが、それが映画としては手抜きではないかという疑問も残りました。
実家が居酒屋をやっていて、常に肉料理に触れている子供。また晩ご飯にトンカツが出てきて食べられなく子供のシーンなどありましたが、その後が描かれませんでした。もっとお肉が食べられなくなった子供たちの葛藤を描いてほしかったです。
あと『コドモのコドモ』で出産を経験する甘利はるなを転校生役に投入したものの、Pちゃんの飼育を通じて彼女がクラスメートに打ち解けていく過程も不十分でした。天才的演技力のはるなちゃんだけにもったいないと思います。
カメラが回っていない時でも「星先生」と慕われくらい妻夫木聡は教師役がはまっていました。教師役は初挑戦だそうです。撮影現場では子どもたちに優しく、時に厳しく「先生」として接したとか。子供が好きなんでしょうね。
最後に、校庭をのっしのっしわが物顔で遁走したり、子供達と巧みにサッカーに興じたりするPちゃんは、なかなか芸達者でお尻がキュートでした。思わず小地蔵も感情移入してしまい、こんなかわいいブタを食べられてしまうのがかわいそうになったほどです。
映画の目的としては素晴らしかった
クラスで一生懸命飼育したブタを食べるか、食べないかなんて、決めれない。
だって情がうつってしまった以上それは酷なことだからです。
でも倫理観としては、人間は他の生き物の命を頂いているということから眼を背けては行けないし、殺した以上食べなければならないという責任がある。だから食べないというのもおかしい。
こんな矛盾をあえて投げかけた星先生はすごいことしたなとおもいます。
「食べる」か「食べないか」に正しい答えはありません。
これは子供が自分で考える力を育むには素晴らしい授業だと思いますが、あまりにリスクが高いというか、ブタである必要は少なかったのではないかと思えてしかたがありません。そう思うくらい子どもたちがかわいそうでした。
これが原因で心に傷をもってしまった生徒もいるのではないでしょうか。
でも、それだけ観ている人に訴えるもののある映画でした。
命の大切さを教える授業なのか、食育なのか、考える力を育てるのかなど
複数の目的のある授業なためもっと目的を絞れば、こうした苦しみは与えずにすんだのではなかったかと思います。
ただ、昔に話題となった実話を、いま再びピックアップして映画化したことには大きな意味があるとおもいます。食べ物の大切さを忘れがちな僕らは、この映画を観て、それがDVDになっていつまでも残っていって、この映画を目にする度に食の大切さを考えることの出来る良い授業としてこの映画はとても素晴らしい試みだと思います。
ブタかわいいね。
ブタは、かわいいっすよ。最高だね。
僕は、豚が全滅しないか心配してるんですよ。
だって食われまくりじゃないですか。松屋だの吉野家だの居酒屋だの一日何匹食ってんだよ。みたいな。豚丼ってメニューが出たときは、豚社会騒然だったと思うわけですよ。
でも、足りてるということは、食われる勢いよりも生まれてくる勢いの方がすげぇんだな。
ブタの繁殖能力すげぇんだな。
なにげに食ってる豚のありがたみを知りなさい。
そもそも...
そもそも 子供達は、
動物を食べなくても人間は生きていけるし、
世界には動物を食べないことを選んでいる人達もいる。
そういう人達も健康に生きていたし、生きている。
そして、子供達自身も自分の食生活を自分で選択することができる。
ということを教えられていない。
こういうことを事前に教えられていなければ、子供達が苦しむのは当たり前だ。
私達は、教えられたことにとても影響を受ける。
親に愛されて育つ中で、私達は命の大切さや他を尊重する大切さについて学ぶ。しかし一方で、嫌がる生き物の命や気持ちを尊重せずに殺している。子供が精神的なストレスをかかえて苦しむのも無理はない。
そして多くの人が、「植物だって生きているじゃないか。」とか「動物を食べなければ生きていけないんだ。」とか、肉食が正しい生き方のように教え込まれる。
映画に出て来た子達は、どんな教育を受けていたのか。大人の言う事にすぐ影響を受ける子は、大人に教えてもらったようなのコメントをしたのかもしれない。でも、自分で感じたことを大切にした子は、周りとの関係や教えられてきたこととの葛藤に苦しむのだと思う。
自分のそばにおいて飼っていた動物なら、コミュニケーションがある分、他の動物よりも強い繋がりができてしまうのは当然のこと。
でも本当は、「家畜」と「愛玩動物」の違いは、人間の頭の中でしている区別で、動物側からしたら、どちらも同じ。家畜も、愛玩動物と同じように人と親しくなり、楽しい時間を共有できる可能性を持った命。
命とは何かについて自分で感じたことを大切にしていいということ、
自分の食生活は自分で選べるということについて教えられなければ、子供達は苦しむ。
命は大切だが、感謝すれば食べてもいいのだという初めから決まった先生の考えの授業を、「何か欠けている授業」と感じる。
ある意味、今年1番の問題作。
ある小学校で行なわれた“実践教育”の実話をベースにした映画化。う~ん、こんな映画やったンや。いやあ、こりゃあ色々考えさせられますな~。
『生徒役の子供たちには、白紙の台本が渡された』とか、『リアルに討論させた』とかいう事前情報は耳に入れていたんですが、いざそれを見てみますと、これは結構ヘビーに考えさせられます。この映画のテーマは、今まさに叫ばれている“食育”や“いのちの授業”といった教育内容に合致していると思います。それを子供たちが真剣に討論する。本当に真剣でリアルな様が、スクリーン越しに観ている我々にも、ダイレクトに伝わってきます。それはそれで素晴らしいですし、子供たちにも意義のあることだなあ、とは思います。ただ凄く真剣で、ともすれば掴みあいを始めんばかりの勢いでしたので、『あんな討論(相当、感情の入った“言い合い”)したら、結構クラス仲にひびが入ったりするんちゃうの?ましてや卒業直前の時期に、下手すれば感情のしこりが残って、メチャクチャ後味悪いことになりかねんがな』と、そんな事を考えながら観ておったのですが、意外やその辺りは、アッサリと描かれています。『後腐れ無し!』って感じで。そんなモンなんですかね?最近の子供って。
それから、先生!幾らなんでも子供に任せすぎじゃないか~?もう少し、討論に加わって、道筋を作ってあげてもいいんじゃないでしょうか。そもそも最初にブタを連れてきたのは、アンタだよ!子供たちに大切なことを学ばせたいっていう気持ちはわかるけど、あまりにも子供たちを混乱させるのは、良くないでしょうに。その辺りが、少々無責任にも見えました。まあ、それもこれも子供たちが一生懸命に取り組んでいるのを見せられたから、そういう風に感じるのだとは思うのですが。
まあ、『“Pちゃん”と他のブタは違う』って言っても、ブタはブタな訳で。そりゃ『可愛がったペットを食えるか?』って聞かれたら、誰だって躊躇するわなあ。それでも『食べる』って答えた子達がいる事に、吾輩素直に驚きました。子供達の方が、よっぽどそういうことを理解してるんだなあと感心させられました。
生徒役の子供たちは、本当に頑張ってます。討論のシーンなんて、殆んどドキュメンタリーみたいです(ソレを狙った演出だと言ってしまえば、実もフタもないのですが)。信じられんことに、吾輩何度か泣きそうになりました。自分でも理解出来なかったのですが、知らぬ間に感情が昂っていたようです。子供たちの討論に入り込んでいってたんでしょうね。それだけ真に迫った演技だったと思います。そして、その子供たちの演技(?)を受けて立つ妻夫木クンも、頑張ってますね。“新任教師”久しぶりに爽やかで一生懸命な役の彼を見させていただきました。ココンとこ、結構インパクトのある役が多かったような気がするので…。あと、校長役の原田美枝子さんが、イイ感じで映画全体を優しく締めてくれています。このキャスティングは、正解でしょう。
実際に、この“実践教育”が行なわれたのは、今から18年前(1990年)だそうです。“モンスターペアレント”なる種族(?)が跋扈する現在の学校では、恐らくこんな授業はムリだろうな~。
Pちゃんも豚肉も。
試写会にて。
1990年に大阪の小学校で実際に行われたこの授業。
TVでドキュメンタリー放映され、
その時も大反響を巻き起こしたんだそうだ。
…この話を私はぜんぜん知らなかった。恥ずかしい^^;
でも、だいたいの内容は分かっていたので、
これから観られる方も、多分予想通りの展開だと思う。
取り立てて大事件が起こるというわけではなく、
「食べる」目的で飼い始めた豚の「Pちゃん」が
どんどん大きくなり、6年生の卒業が近づいてきて、
「食べるか」「食べないか」の論争が起こるのである。
これは「家畜」を「愛玩動物」として飼ってしまったなら
当然沸き起こる「情」だと思う。仕方のないことだ。
というよりむしろ、何の感情も沸かない方が問題であって、
(でも中には動物が嫌いな子もいたんだろうな^^;)
その「情」と「責任」の狭間で子供たちは悩み苦しむのだ。
私はこの授業を、別段素晴らしいとは思わなかったけど、
かといって、下らないとも、けしからんとも思わなかった。
新任教師の授業内容の是非を問うているのではなく、
子供たちが真剣に「命」と「食」の関係に向き合い、悩み、
苦しみ、成長していく様子を描いた普通のドラマだと思った。
もっといえば、まだまだ力不足の先生の方も、校長や父兄、
子供たちの熱意にたくさんのことを教えられたはずである。
特にあの校長先生は、よくぞの決断だったなと思う。
唯一、とにかく酷なことは、彼らがこの豚をペットとして
愛してしまったのち、捕食者としての責任を問われることだ。
拾ってきた子犬を「捨てる」約束で飼い始めても捨てられない、
それは豚も同じことで、子供にしたらごく普通の感情だと思う。
でも豚は、基本は家畜、いずれ豚肉にされる動物なのだ。
可哀想だろうが、残酷だろうが、それも本当のことである。
子供ながらに「責任」を全うするため「食べる」という子供。
誰かに頼んで世話をしてもらい、長生きさせたいと願う子供。
自分の身体の一部になってくれたら嬉しいよ、と訴える子供。
よくそんな残酷なことが言える!と相手をなじり怒鳴る子供。
連れてきた先生はどうなんだ?どうするつもりかと聞く子供。
しまいには、みんなでワンワン泣いて…ホントは悲しいという。
でも、こんな光景は日本(先進国)ならではかもしれない。。
どこかの国では、お祝いの席で動物の首をひねって切落し、
その場で皮を剥いで臓を裂き、吊るして丸焼きにするのを
子供たちは大喜びで眺めているのだから。
…ご馳走だ!と日本人が思えないのは、多くの子供たちが、
そんな光景を目の当たりにして、動物を食べていないからだ。
だからこそ「ありがたい」なんて思うことができず
「かわいそうだ」「残酷だ」という方向へ流れてしまうのだ。
「他の豚なら食べられるのに、Pちゃんだけ食べられない
なんて、おかしくないですか?」…うんうん、そうだよね^^;
なんてごもっともな意見なんでしょう。。。
ちなみに私の実家の近くには鶏工場があり、
そこでは毎日たくさんの鶏たちが精肉加工されていた。
毎朝彼らの「クワーっ!クワクァーっ!」という叫び声を
聞きながら登校していたが、今でも鶏肉は大好きだ(爆)
…そして家では当時「インコ」を飼っていた。
もちろん食用ではない^^;それを猫に捕られ死ぬほど泣いた。
あー。私にも矛盾する過去がいっぱいあったのだ。
Pちゃん、教えてくれてありがとう。
(ごめんなさい。ありがとう。いただきます。ごちそうさま。)
ついつい手を挙げたくなる、ほのぼのした風景
実際にあった話のドキュメンタリーを映画にしたお話。
観る前から「ブタを食べるの?」「食べないの?」という難しくて答えの出ない課題を突きつけられます。
学級の風景が時々、ドキュメンタリーチックな映像になり、その映像効果がどのくらい影響あるのかがわかりませんが、小学生がブタについて議論をしているシーンにはついつい自分も意見を言いたくなってしまいます。
とにかくブタの演技が可愛いです!萌えますw
そして、ほのぼのとした光景にはうっすらと涙が流れてきます。
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