「美しきモンスターになった動機」MW ムウ yoshinodeboさんの映画レビュー(感想・評価)
美しきモンスターになった動機
一番重要な、玉木宏が犯罪を重ねていく動機の描写が希薄だったように思います。
動機候補は以下。
1:MWに親族を殺害されたため、その責任者大臣・関係者に対する復讐
2:自身の『渇きがおさまらない』ため少しでもそれを紛らわすための犯罪
3:MWを各国に売却、金銭の獲得と人類に対する復讐
3 については、終盤、墜落しそうな輸送機のなか極限状態での、
山田孝之とのやり取りのため一番本音に近いはずですが、
なんだか風呂敷広げすぎ、荒唐無稽な印象で、にわかに信用できない。
1は、一番の責任者である大臣を殺すタイミングはいくらでもあったのに殺さなかったことで、
これも違う(エンディングでも殺しのデモンストレーションだけはしたけど殺さない)。
なので、自分の解釈としては2の『快楽殺人犯』に近いタイプ、がしっくりきます。
そういった点でみると、刑事の殺害の仕方が秀逸で、
助けようとした善意の人が最後の致命傷を与え死に追いやる。
結果、善意で行動した人間を立ち直れない精神状態にし、
被害者、加害者2人同時に殺害したような効果にさせる。
しかも、善意の人が神父であるところも救われなさを倍増させており、
快楽殺人犯の面目躍如というところ。
途中、玉木宏の目の色が赤く変わる場面(モンスター変身?)もあり
『偏執狂細マッチョ美青年』役にベストの配役でした。
また、殺害シーンの映像も派手で(許せるグロテスク)目を奪われました。(石田ゆり子素敵)
全体としては、突っ込みどころ満載ではありましたが(事前放送TV版は駄=C)、終わってみれば、上映中ストーリーに引き込まれ緊張がとぎれることなく、音楽も全編にわたり効果的で(音楽は最高評価A+)なかなか楽しめました。