落下の王国のレビュー・感想・評価
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眠りに落下した私。
公開前からかなり評価されていた作品だったので、
そりゃ~来たら観ないわけには…と思っていたけれど、
物語の内容を読んで、おそらくこうなるんじゃないかと
思った自分の不安が見事に的中し^^;私は眠りに落下…。
映像と衣装は、それはそれは見事なものだった。
写真と見紛うほどのハイビジョンのような豊かな映像美。
それがまた…世界遺産の数々を映し出しているのだから、
昔の日本のCMだったらフジだコニカだと付けられるほど。
ただ、その美しさのせいか「魅せ」に興じている部分が多く、
映画を観ているというより、静止画像を観ているようだった。
おとぎ話…というからには、たくさんの英雄が出て来る。
主人公が成り替わる仮面のヒーローはさすがにカッコ良く、
小さな女の子だったら、ドキドキワクワクするだろうなぁ。
とは思った^^; でも…私は物語にワクワク出来なかった。
そして何よりも、冒頭からこのお話がどうしてやたらと
ネガティブなのかが気になった。そりゃ~スタントマン、
半身不随なんてことになればもう仕事が出来ないわけで
死にたくなるかもしれないけど、じゃあその職業の人は
みんなそうなのか…?なんてヒネくれて考えてしまった。
彼自身をそう暗くは描いていないものの、病院がまるで
ホラーの館の様にオドロオドロしく、彼を慕う少女の顔が
元・横綱の曙に似ていることも相まって^^;なんか怖かった。
悲劇で終わるおとぎ話も、あの殺され方がやはりダメで、、
だから、カッコイイ~とか可愛い~とか思えなかったのだ。
せっかくのおとぎ話なのに、私には致命傷だ…。
ところが終盤に入り、最後の最後で開眼した!!
あのクライマックスの無声映画のアクションシーンの数々。
H・ロイド、B・キートンの身体を張った演技を彷彿とさせる
素晴らしい映像の数々…。もちろん全編モノクロだ。
粗い映像、早すぎるコマ送り、でもしっかりと感動できた。
やっぱり映画とはこれだ。最後にやっと巡り合えた感じ♪
(スタント満載の映画王国。落下しても落命しないでね)
映像が綺麗
物語はロイが話す物語はロイの全くの作り話なのですが、現実世界の人たちがその冒険物語に登場し、物語と先日の世界を繋げています。
ロイが聞かせる冒険物語の映像美がすばらしかったです。13の世界遺産を含む24ヶ国以上の美しいロケーション。ともかく壮大でまるで自分も世界旅行をしているような気分に浸れます。
ただ物語の方は微妙。というか設定がちっちゃいんですよ。だって自殺するための薬を純粋な5歳の子を騙して取りに行かせる為に作り上げた物語なんです。
「作り話が色彩を帯びて輝き始めるとき、嘘は真実になり、絶望は希望に変わる」
とチラシにあったのですが、、、嘘は真実になってなーい。
そもそもスタントマンのロイが自殺したいほど自暴自棄になってしまうという背景があまりちゃんと描かれていなかったんですよね。そりゃあスタントマンにしたら足は商売道具だったかもしれませんが、それで自殺というのは安易すぎないか?それとも失恋の痛手の方が大きかったのか?
そして時々ロイがアレクサンドリアに大声あげたりするのがどうも気に入りませんでした。5歳の子に当たるなよ!って思っちゃって。それでもアレクサンドリアに話を聞かせるうちにロイの気持ちが前向きに変わっていくものだと思って観ていたのに全然そんなことはなく・・・。
ロイが聞かせるお話の映像は、5歳の少女アレクサンドリアの想像というかイメージなので、色彩溢れたなんとも不思議な世界。その映像がなかなか壮大で見ごたえあります。
ただ途中からその物語にアレクサンドリアも登場してくるのですが、アレクサンドリアが登場してからは冒険と復讐の物語の様子からはちょっと一変してしまい、ちょっと物語がチープになってしまった感じがしたのが残念でした。まただんだんロイの絶望が反映されていってしまったのか、どんどん暗い話になっていってしまいます。お願いだからそんな話聞かせないでよ、というぐらい残酷な話に変わっていってしまい、ロイの身勝手さになんだか腹が立ってしまいました。アレクサンドリアは純粋にロイの話が、そしてロイが好きで一緒にいたのに、こんな小さい子に当たるなんて・・・。早く立ち直れ!と叱咤したい気分でした。
それに比べてアレクサンドリアの純粋なこと。
目を輝かせてロイの話を聞き、続きを望むんです。大好きなロイの為に、ロイが必要な薬を取ってこようとするんです。このアレクサンドリア役の子、正直顔は全然かわいくないのですが、そのかわいくないところが逆によかったのかもしれません。
鑑賞前にチラシから受けた印象とは違った作品で、思ったほど希望的な明るい話になっていなかったのが少し残念でした。
映画のストーリーよりも、ロイが聞かせる物語の映像美を楽しむ映画なのかな。
1人の青年の絶望と失恋の痛みの物語
1人の青年が怪我によって将来を絶望し、失恋による喪失感の物語。青年が語る話を聞くのが、明るく健気でみんなに愛されている少女。
言葉にするとこれだけのことだけれど、それを想像力と映像で映画にしている。それに何より、この青年と少女が抱えている悩みは、誰もが抱えるどうにもならない現実。生きていくうえで不変と思えるような状況。それをこういうストーリーと映像で表現したのは見事。
来年のオスカー主演女優賞候補を早くも発見!
ターセム・シンというインド出身の監督でREMのLosing my relisionなどのPVが有名らしいですが、実は長編映画はこれが2作目。1作目はThe Cellというジェニロペをフィーチャーしたスリラーで、アーティスティックではあったのですが、正直、内容はいまいちという記憶があります。
さて、本作、ベルリン映画祭でCrystal Bear賞を受賞しております。出演者はみな無名の俳優さんたちですが、見つけました!来年のオスカー主演女優賞候補!Catinca Untaruという若干7歳(撮影時)のルーマニア出身の女の子なんですが、とにかくこの女の子の可愛らしく観客を引き込む演技力は、筆舌に尽くしがたいものがあります。ちょっと小太りで、第一印象は必ずしもよくない乳歯の抜けたばかりのこの女の子の演技がなければ、このThe FallもThe Cellと同様、凡作になっていた可能性もあります。Little miss sunshineのAbigail Breslinをも超える存在感。彼女の演技に、不覚にも(というか泣いてばっかりの私)嗚咽・・・。
内容ですが、「無声映画が撮影されるようになったアメリカのとある病院で、映画のスタントで下半身が不自由になった青年と片腕を骨折した少女が出会う。青年は何の気なしに、自分の想像で作り上げたお話を少女に語り始めるが・・・。」という出だしで、少女の中で作り上げられた想像の映像が繰り広げられます。その映像の美しさは、ポスターを見ていただけるとわかると思いますが、サルバドール・ダリの影響をかなり受けています。アートが好きで、子供が好きで、人生に絶望しかかっている(?)人にはおすすめです。The Cellとは、アートと言う点では共通していますが、ジャンルが全く異なります。The Cellの先入観で見ないことをおすすめします。
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