ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日 : 映画評論・批評
2008年11月11日更新
2008年11月15日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー
片想いや失恋の痛みを知る10年間を頑張るためのプレゼント
「ジョージアの日記」は、女の子なら一度は綴ったことがある夢の日記だ。容貌にちょっと問題ありだけど、元気で前向きに頑張る女の子ジョージアが、ハンサムな転校生ロビーに恋をして、いろいろ回り道はするけれどハッピー・エンドをゲットする。ロビーが最初につき合う校内一のセクシー美人が絵に描いたようなビッチで、それにうんざりした彼が感情豊かなジョージアの魅力に気づくのだ。ジョージア、良かったねと喜んであげたいところだけど、でもちょっと待った。これは映画の中では頻繁に使われるけど、現実にはありっこないプロット。クラス一の美女は大抵心も優しいし、10代の少年が女性の内面の価値を見抜くなんてとても無理。当然ジョージアは、つまり特別美人じゃない大多数の女の子は、モテない脇役を演じるのがリアリティというものだ。
監督のグリンダ・チャーダは、それを百も承知で敢えてバラ色の夢を描いたのだと思う。本当のジョージアが脇役から主役になるのは10年後のハズ。片想いや失恋の痛みを知る10年間があるからこそ、人生の意味を知り、知性とセンスに磨きをかけた大人の女として、人生の本番で花を開かせるのだ。この日記はその10年間を頑張るためのプレゼント。ひと時楽しい夢を見て、「明日からはまた戦いよ」という応援歌なのだ。
(森山京子)