「グーグル・アイ!」イーグル・アイ kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
グーグル・アイ!
検索サイト最大手グーグルのストリートビューという機能は便利な反面、家の表札や人の顔、車のナンバーまで判別できることによりプライバシー侵害との批判も出ている。ハイテクが進むにつれ、それによる弊害も起こるのは常のことですが、軍や政府によって個人情報を読み取られる世界は恐ろしいものです。
逃亡の連続アクションシーンにハラハラさせられ、謎が謎を呼ぶスリリングな展開のこの映画。1998年の『エネミー・オブ・アメリカ』にも雰囲気は似ていて、衛星写真や防犯ビデオにより常に監視されている社会。軍の監視は個人生活にも及び、嗜好や性格まで把握しているのだから、学歴やIQがどうあろうとも利用される可能性があるのだ。不運にも選ばれた主人公のシャイア・ラブーフとミシェル・モナハン。謎の女の指示に従わずに逃げ出そうとするとFBIの追跡も迫ってくる。そしてたどり着いた先は・・・というプロット自体が謎だらけ。
家賃未払いに困ってたシャイア君。ATMで残高を確認すると75万ドル!と、普通なら喜んでもいいようだけど、双子の兄が交通事故で死んだばかり。部屋には自分がテロリストだと言わんばかりの軍事用機材が届いていて、さっぱりわけがわからない。そして同じように選ばれたミシェル・モナハン、謎の女の的確な指示・・・
『エネミー・オブ・アメリカ』が9・11以前の作品だと考えると、テロリストをどう扱うかという視点にたつと、9・11以降の『イーグル・アイ』のメッセージが負けているような気もします(スピルバーグが10年間温め続けてきた構想と反論されたらしょうがないですけど)。それでも、テロリストよりも完全なコンピュータ管理社会のほうが怖いというテーマは新しいのかもしれません。もちろん、テロリストの存在をほのめかしておいて、実は・・・という展開はなかなかのもの。
『マイノリティ・リポート』では時代を先取りしすぎたほど最先端テクノロジー映像で魅せてくれたスピルバーグですが、『インディジョーンズ』に力を入れすぎたためか、この映画ではDJ・クルーソー監督にまかせたおかげで、巨大コンピュータ“アリア”の雰囲気が『2001年宇宙の旅』以前に逆行してたかのような印象。他にも、セキュリティ技術や、衛星よりも防犯カメラを中心に添えたという点も新しいのか古いのか困惑させる原因だったかもしれません。
シャイア君を選んだ理由がIQ180を超える兄の秘密に絡んでいるといった面白さもあったのですが、声が完全一致するはずもないだろうに・・・それに、凄いコンピュータなんだから生前の兄の音声を合成できそうな気もするし。と、疑問を挙げればきりがない。だけど、冒頭での誤爆が原因で“ギロチン作戦”を決行するアリアちゃんの性格は実に興味深い。『バイオハザード』のマザー“レッド・クイーン”とどちらがわがままなのかなぁ・・・
「俺のパンツの中身に注意しろよ!」とヒントを与えてくれたビリー・ボブ・ソーントン。映画では執拗なFBI捜査官を熱演していましたけど、大怪我を負いながらも最期の勇姿には感動してしまった。
楽器の特定音に反応する爆弾・・・最近、多いなぁ・・・