「早く後編が観たいな。」チェ 28歳の革命 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
早く後編が観たいな。
偉大な革命家の半生を前後二部作に分けて描いた作品。
今も人気を博すエルネスト・“チェ”・ゲバラに心酔する人は
多いと思う…が、私は好き・嫌いという前に彼に詳しくない^^;
そして本作は、あのソダーバーグ節が炸裂していることから、
歴史を学ぼう!彼の人生を!の様な期待を掲げて観てしまうと、
なにがなんだか分からない説明不足感に襲われると思う…。
…そのせいかどうかは分からないが(爆)
予告編に紛れて彼のそこまでの道のりが日本語で語られる。
ゲバラって誰??みたいな人は、そこから観た方がいいかも。
以前「モーターサイクルダイアリーズ」という映画を観た。
(確かゲバラの「はとこ」が出ていた)
そこでは可愛い顔をしたG・G・ベルナルが彼を演じていた。
喘息持ちの彼が南米大陸を旅する過程で、貧しい人々を救いたい
という気持ちを高めるところまでがよく描かれていた…ので、
今作をその続編のような感じで観てみるのも一考かもしれない。
でもあれだ。(爆)
今度はデル・トロさんがゲバラなので^^;明らかに風貌が違う~。
ソダーバーグが双方の顔立ちについて、かなり失礼な比較を
していたけれど…う~ん。私はけっこう似てると思ったけどな。
というより、トロの演技がすべてのものを云う感があるためだ。
悪いがここで描かれるゲバラ像に、カッコ良さとかヒーロー性は
あまり感じられない。もっとリアルな彼の原像に迫ったつくりで、
彼が「貧しい人々を救おうとする善者」である以上に、
カストロ以下の革命闘士として躍進する姿が淡々と描かれる。
これを観る限り、ゲバラも普通の人間だったんだな。と思える。
そして、それと連動して、1964年の国連演説とインタビューを
モノクロで挟んでいるのだが、それが反って話をかき混ぜる。
つくりは巧いが、これでソダーバーグっていう人が、
あまり観客のことを意識しないで映画を作る人だとよく分かる。
でもゲバラの主義・主張は、あの演説で見事に花開いている。
まるで他に動ぜず、「祖国か、死か。」の世界で生きている男の
激しい心意気をドン!と叩きつけられたような衝撃感がある。
でもって、それをトロが満面の笑みで締めくくるところが良い!
生ゲバラの演説映像を観たことがない私は、これで大満足(^-^)
彼の革命家としての地位確立を印象付けた本作。
ゲリラ戦の描き方もリアル且つ精巧で、制圧までドキドキする。
次回作がとても楽しみだ。
(のちの妻となる女性闘士も美人で気高い。革命家って凄いな)