劇場公開日 2009年1月10日

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チェ 28歳の革命 : インタビュー

2009年1月5日更新

ベニチオ・デル・トロ インタビュー

陥落寸前のサンタクララ。戦闘中のゲバラと、のちの妻アリダ・マルチ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)
陥落寸前のサンタクララ。戦闘中のゲバラと、のちの妻アリダ・マルチ(カタリーナ・サンディノ・モレノ)

──リサーチすればするほど、チェ・ゲバラ像が大きくなって、不安になったりしませんでしたか?

「やはり、チェ・ゲバラを演じることは不可能に近いからね。それは恐ろしいことだった。ある時、スティーブン(・ソダーバーグ)が、僕の目に畏れが宿っていたらしく、僕を誠心誠意励ましてくれたことがあった。『チェ・ゲバラを演じることは不可能だけど、やるだけやってみよう』と言ってね。それは(革命を率いる)ゲバラ風なアプローチだと思ったよ。その言葉は、努力することに価値がある、という意味でもあるしね。

第2部「39歳 別れの手紙」のゲバラ
第2部「39歳 別れの手紙」のゲバラ

ひとつ特徴的なエピソードがあるよ。キューバ革命の前にメキシコで猛特訓している時に、急な丘の斜面を登れなかったことがあった。彼がひどいぜんそく持ちだったからだが、それでも登り切ろうと必死に努力したそうだ。スティーブンみたいに、ね」

──第1部では音楽を聴いて準備したそうですが、「21グラム」ではエルビス・プレスリーの「エルビス・アット・サン」でした。今回はどんな音楽を聴いて、ゲバラ気分を高めたのですか?

「今回、実は第2部のほうを先に撮って、それから第1部に入ったんだ。その頃出たブルース・スプリングスティーンの『マジック』、加えてザ・クラッシュの『サンディニスタ』、ビートルズの『ホワイト・アルバム』、『ユージュアル・サスペクツ』がらみでマヌチャオのメタル音楽なんかを聴いた。それと、シルビオ・ロドリゲスの『フジウ・コントラ・フジウ』。彼は“キューバのボブ・ディラン”と異名をとる、素晴らしいミュージシャンだ。そのタイトルは『武器対武器』という意味だが、第1部のエンディングにも使われている。そのような音楽を聴いていたのは、撮影のセットへの行きと帰りだよ。音楽なしでは生きていられない僕だけど、第2部では撮影中に何も聴かなかった」

──本作でソダーバーグ監督が使った機動的なカメラREDの長所は、今回のゲリラ的撮影にどのように生かされましたか?

今回はプロデューサーとして ストーリーラインから参画したデル・トロ
今回はプロデューサーとして ストーリーラインから参画したデル・トロ

「スティーブンのカメラについてだが、俳優としてはカメラでどう撮られようと実は関係ないことなんだけど、REDカメラで撮影された画を見て、ものすごい衝撃を受けたよ。今回、第2部の撮影でも照明をセットするのがごく短時間で終わったことは予算削減の大きな助けになった(笑)。そのシーン毎に照明を組み立てる必要がないので、撮影がスピーディに済むんだ。どんどん撮影が進むもんだから、集中力を維持できるという長所もあった。それはとても素晴らしいことなんだが、あまりに早く撮影が進むもんだから、集中力を途切れさせることもできず、夜遊びに行けなかったのは残念なんだけど(笑)」

──リサーチした事実で、あなた自身が驚いたことはありましたか?

「話を聞いたことはすべて、これまで知られていない事実だった。例えば、マテ茶で有名だが、コーヒーを飲む時は砂糖抜きのブラックで飲むとかね。(チェ・ゲバラの妻になる)アリダ・マルチ(「そして、ひと粒のひかり」のカタリーナ・サンディノ・モレノ扮演)との出会いのエピソードはそれを忠実に再現している。ぜんそくにまつわるエピソードなど、盛り込むだけ盛り込んだので、映画は全体で4時間半にまとまったが、実際に撮ったのは6〜7時間分あったよ(笑)」

※スティーブン・ソダーバーグ監督インタビューを近日アップ予定です。

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