「家族の世話をするのが、そんなに立派?」マルタのやさしい刺繍 shimoさんの映画レビュー(感想・評価)
家族の世話をするのが、そんなに立派?
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映画「マルタのやさしい刺繍」(ベティナ・オベルリ監督)から。
80歳の女性、マルタが夫に先立たれて気力を失っていたが、
ふさぎがちな彼女を心配していた友人たちの後押しで、
若かりし頃の夢であった「ランジェリー・ショップ」を
オープンさせようとするが、このささやかな計画は、
昔ながらの保守的な考え方が支配的な村では、非難の的。
「それでも、牧師の母親か?」から始まり、仲の良い友人にも
「遠い過去の夢を今さら違うの?」「笑いものになるつもり?」
「わきまえを忘れてはいけないわ」となだめられて、
ついに友人にも言い返した台詞が、気になる一言。
「あなたみたいに、家族の世話をするのが、そんなに立派?
そんな偉そうに言うもんじゃないわ」
こう言い返したシーン、スッキリした感覚が私の胸に残った。
もちろん「新しいことに挑発するあなたに立派ですよ」とか
「開店するの、村に文化の香りを入れるのよ」と
少しずつであるが、励ましてくれる人たちも増えていき、
彼女が夢を叶えようとする、諦めない心、行動こそが、
今まで保守的だった人々の心を動かした、と言えそうだ。
「彼女は私たちの人生を豊かにしてくれた」
「みつけたの、生きがいを」
「喜びもね。そう生きる喜びよ、歳は関係ない」
仲間たちにそう言われる生き方って、すごく魅力的である。
自分の生き方が、他人の生き方に刺激を与えるなんて、
マルタばあさん、なかなかやるなぁ。
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