クローズZERO II : 映画評論・批評
2009年4月7日更新
2009年4月11日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにてロードショー
ストーリーは失速気味だが、シリーズものとしての醍醐味がある
前作と同じく、THE STREET BEATSのテーマ曲が流れ、一気に気持ちが高まるものの、次第に醒めてしまう、その理由。前作のクライマックスで、主人公の源治は宿敵・芹沢軍団を制したにも関わらず、彼らも海老塚中トリオも統合しておらず、苛立ちを隠し切れないという、まさにZERO展開に逆走しているからだ。今回は因縁のライバル校・鳳仙学園との抗争を通し、芹沢との距離が縮まり、源治の苦悩も解かれていくが、ヤクザの拳とともに鈴蘭高校のトップを目指す野望だけで突っ走った前作に比べて、どうも失速気味。劇中、リンダマンとの戦いを繰り返すように、なかなか前に進まないのだ。
そんななかで描かれるのは、前作で確立されたキャラクターに頼りすぎた、サブエピソード。恒例となった、コワモテ牧瀬の童貞物語はまだしも、三池監督お気に入りと思われる、三上兄弟による横暴コントの空気は寒く、前作で源治のもとを去った拳のエピソードに関してはムリを感じてしまう。新キャラに関しては、今回の宿敵となる鳴海大我のキャラはどこか芹沢とカブっているため、カリスマ性に欠けるが、原作の人気キャラ・美藤竜也の出し方は巧い。その後、鳴海の待つ屋上まで全力疾走の“校内『死亡遊戯』団体戦”で、前作以上の壮絶バトルを見せてくれ、ようやく元祖“チーム男子”映画としての本領発揮! 前作と違い、シリーズものとしての醍醐味という、別の視点で楽しみたいところである。
(くれい響)