「君に幸せあれ。」カフーを待ちわびて ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
君に幸せあれ。
最近こういう、癒し系映画?といわれるものが多くなった。
景色のいいロケーションと、ふらりと旅に出てやってくる若者。
なにをするのでもなく、毎日をぼーっと過ごしているうちに、
心と身体が自然と共に癒されていくという…。
今作もそういう類の作品なんだろうと勝手に思っていた。
もちろんそんな要素はたくさん描かれてはいるが、今作は何か、
リアルなものを感じた。確かに主人公は玉鉄だからカッコ良い。
訪ねてくるのもマイコ(モデル上がりの女優さん)だからできすぎ。
いや、まぁそれはそうなんだけど…^^;
沖縄の寂れた島村が舞台で、ここにもリゾート開発の話が出る。
のんびり自然の中を過ごしたいと思うものの、観光事業もなく、
農家の収入も減る一方。生活のため、島民のほとんどは賛成する。
反対している一人が玉鉄演じる明青で、彼には恋人も嫁もいない。
小さい頃出ていった母親を恋しく思う一方で、そろそろ奥さんも
欲しい…などと思う気持ちを絵馬に認めたところ、返事が来る。
「私をお嫁さんにしてくださいますか。」たった独りでおばあと
生きてきた明青には青天の霹靂(爆)さらに訪れたのは稀な美人。
そりゃあ嬉しいだろうと思う…^^;
さすが文化庁推薦だけあって、実にプラトニックな恋愛物語^^;
ただそれが、例えば誰かを恋しく思う気持ちや、誰かの幸せを
案ずる心使い、他人同士が助け合って生きる大切さを深く問う。
島民は、皆いい人ばかりだ。突然訪ねてきたマイコ演ずる幸が、
いったい誰なのかがミステリーとなる以外は、何の意外性もない。
島での生活ってこんなもんなんだ。リゾート地としての沖縄しか
知らない私などには、とても新鮮で興味深い。今は懐かしい蚊帳、
お盆の迎え火、様々な土地の風習を幸と共に学ぶような感じだ。
後半、やっと物語が動き始めると、二人の秘密が明かされる。
私は、明青が「1、2、3。」と数えて我慢する癖がとても辛かった。
なぜこんな若い男の子が、そんな我慢をしなければならないのか。
もっと泣いたり笑ったり怒ったり、感情を出せばいいじゃないかと
(この歳になるとお前こそ少しは黙っていろと言われる自分と重ね)
どうにも辛かったのだ…xx
母親が恋しい頃に、自分を置いて出ていった母親を責めもせず、
突然訪ねてきた若い女を住まわせてやるその優しさを、なんとか
カフー(朗報)と結び付けてやりたいと老婆心が疼いて仕方なかった。
ラストは原作とは違うらしいが、私はまたあの絵馬で泣けた(T_T)
例えどんなにファンタジーでも、あり得ない偶然だとしても、
幸せを掴んでほしい人には、何としてでも幸せになって欲しいのだ。
大いに待ちわびて、大いに堪能できますように。私祈ってます~。
しかしこのマイコさん。役得といいますか。今回も素敵な役ねぇ。
あぁ、うらやましい。。
(日本語の美しさも堪能できる。言葉遣いの良さは品格を増します。)