「電車の騒音もソナタ。」トウキョウソナタ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
電車の騒音もソナタ。
あまりこの監督の映画を観ていないので(ちょっと苦手系^^;)
その独特の世界観がどうなのかなぁ…とやや不安だったけれど、
観終えてから、自分の中にそれほど違和感が残らなかった作品。
ただその(しつこいくらいに)リアルで仰々しい家族の在り方が、
自分の過去と重なって見えたりして、ちょっと沈鬱な面持ちも。
どうなんでしょうかねぇ。
この家族を今時の家庭と見るか。昭和の家族像だと見るか。
私はあの父親の威張りっぷり(爆)牽制っぷり(汗)からいって、
まさに自分が見てきた昭和の父親像だと思いましたねぇ。
特に感じたのが夕飯のシーン。。我が家でもああでした^^;
父親が手をつけなければ、母親はおろか子供も食べられない。
一家の主。的な存在感があの頃はひしひしと感じられました。
今となれば、理不尽な台詞も^^;感情に任せた怒りっぷりも、
あぁ~ストレス溜まってたんだねぇxと分かる歳になったけど。
そんな親父さんのリストラを筆頭に、家族の為に尽くすも、
なんだか空回りなお母さんの小泉今日子や、反抗期の長男。
やたら淡々としていてワザとらしい描き方はしていますが、
どれをとっても普通の家庭問題。もっと危機に直面している
家族は多いかと思われます。それぞれが秘密を持ち、悩みを
外に吐き出すことが出来ないとはいえ、見た目は通常な家庭。
よくあんな線路際に住んでるな~(汗)とは思いましたけどね^^;
再就職がなかなか決まらない親父さんは、毎日公園で配給を
もらっては、同じ仲間の津田寛治と今後の対策に余念がない。
お母さんは家族に内緒で運転免許を取得。うん、これくらいは!
このお母さんのエライところは、夫のリストラを知りつつも、
長男がアメリカ軍に入隊しようとしても、常に平静なところ。
よくこんなに耐えてるなーと私に皆無の辛抱強さを発揮します。
そして彼らをいちばん冷静に見ている次男。。
家族に内緒でピアノを習い始めた彼が、やがて家族への
「トウキョウソナタ」なるものを奏でることになるのですが…。
やたら悲劇を挿入しないと気が済まない監督の意識と、
いきなり終盤で大物俳優!がものすごく変な役で登場し、
話の色合いをガラリと変えてしまうのがいいのかは別として^^;
もうダメだー。おしまいだー。死んだ方がマシだ~。なんて
思えば思うほど、生かされている自分を実感できる映画です。
笑いをとりたいのかどうか?という切実なシーンも多々あり、
背に腹は代えられない、ってどういうこと?なのかも学べる。
確かに地獄のような毎日に突き落とされて、絶望感を味わい、
あーもういやだ。どうにでもなれ。ちきしょう!なんて思うことが
あっても、帰る家があって。ご飯が食べられて。寝床があれば。
家族がいる。ことがいかに有難いのかを実感できる作品です。
(しかしあのピアノは上手かった。心地よく聴き惚れました♪)