「二つのドキュメンタリー作品から見えてくるものは…」敵こそ、我が友 戦犯クラウス・バルビーの3つの人生 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
二つのドキュメンタリー作品から見えてくるものは…
映画「ハンナ・アーレント」から
アドルフ・アイヒマンを知り、
その関連でドキュメンタリー映画
「スペシャリスト~自覚なき殺人者~」
を観ている中で、
更にクラウス・バルビーというナチス戦犯の
ドキュメンタリー映画があることを知った。
そして、この二人のナチス戦犯には幾つかの
共通点と相違点があったことを知った。
二人は元々、ユダヤ人に対する偏見は
有していなかったようなのだが、
全ては上からの命令だったとして
抗することが出来なかったとの
ユダヤ人虐殺行為の言い訳や、
二人ともに南米に逃げおおせて、
長く家族と共に生活をしていた
との点については共通していた。
しかし、
アイヒマンは潜伏はしていたものの
イスラエル特務機関によって、
一方、バルビーは政治的な欲から
自ら隙を作ってしまい、
共に捕らえられ裁判に至ったという点、
また、死刑制度が有るか無いかという
裁判地の違いからか、
アドルフ・アイヒマンは死刑に、
クラウス・バルビーは無期懲役と、
二人の運命は大きく異なった。
それにしても、バルビーの人生からは、
南米に逃げ押せたナチス戦犯の中には
時の米国やボリビアの軍事政権の思惑の中で
反共活動を繰り広げる勢力があったことや、
彼がゲバラ殺害に関与していたことも知り
大変驚かされた。
何れにしても、二つのドキュメンタリーから
得られることは、
戦争は加害者の非人間性を更に助長し、
そのことによる被害者の後遺症は
長くそして根深く続き、
戦争は絶対に避けなければならないもの
との改めての認識だった。
コメントする