ザ・バンク 堕ちた巨像のレビュー・感想・評価
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インターポールに逮捕権限はない
大手銀行の国際犯罪を捜査するインターポールの男の話。
インターポールには逮捕する権限がないという事がここまで影響するのかというくらいもどかしくなる内容です。
オチもスッキリしない終わり方をします。
しかし、私はそういう終わり方をする映画がとても好きです。
商業銀行と銘打った不正取引銀行の実態
総合85点 ( ストーリー:75点|キャスト:80点|演出:90点|ビジュアル:80点|音楽:65点 )
実際に存在したルクセンブルグの国際商業信用銀行(Bank of Credit and Commerce International, BCCI)の、資金洗浄や武器取引等の数々の不正取引事件を基に作成された作品だそうだ(英語版ウィキペディアより)。ケイマン等海外の一部の地域には、表には出せない事案を積極的に取引する金融機関が多数存在するというが、この作品に登場するIBBCもそのような銀行の一つである。日本の商業銀行とはかけ離れた、そのような不正取引を業務の中心にしていたらしいその仕事ぶりに驚かされる。不正取引のために殺しも含めた手段を選ばない強引さと、それを日常業務として手馴れた様子で組織的にこなしていく姿勢に加えて、武器商人と国家というこの銀行の取引先が、闇の深さを示している。そのような世界を少しずつ暴きながら垣間見せてくれるのに引き込まれた。
でも確かに世界における麻薬のような地下経済や武器取引の規模の大きさを考えると、このような銀行の存在が世界中に必要とされているのは頷ける。この銀行を捜査するということは、銀行だけでなくその銀行を利用している国家をも敵にまわすということにもなる。そのような巨大な敵を相手に命懸けの捜査をする捜査官の姿が、張り詰めた冷たい空気の中で描かれる。その演出が洗練されているし緊張感が途切れない。主要登場人物以外でも、冷静・冷徹なコンサルタントと、冷戦の終わりとともに人生を失った大佐の二人の脇役二人も存在感があった。
それにこの映画、映像が良い。欧州とニューヨークにおける、都市と建物と室内の空間を上手く物語の背景に使った、美的感覚に優れた重厚な撮影手法に唸らされる。グッゲンハイム美術館を穴だらけにするのはよく撮影許可がおりたなと思ったら、ウィキペディアによるとこちらはそっくり同じものを作ったのだそうだ。
途中まではさんざん引っ張られたが、行き詰った後の突然の結末は、残念ながら強引だし平凡だった。それまでは良かったのだが、やはり国家の姿すら背後に見える巨大組織を相手にするには、個人では荷が重かったか。銀行がその後どうなったか、もう少し言及があっても良かったのではないか。それとニューヨークの銃撃戦、あんなに派手にやっては事件が明るみに出てしまってまずいのではないか。私ならばもっとこっそりとやる。とても楽しめたが、そのあたりが惜しい。
最後が盛り上がらない
巨大銀行のリアルを表現するなら、もっと掘り下げてみせるべきで、エンターテイメントであるなら、最後の展開が面白くもなんともない。最後に華麗などんでん返しで銀行を追いつめるとかなら良かったのに。
インターポールって意外と権力ないのね・・・
インターポールの捜査官が巨大インターナショナルバンクの不正を追及するって話ですが
個人的には脚本、配役、映像、アクション共に今一つの感想です。
色々な壁に挟まれて身動きできなくなる主人公って、おいおいインターポールって
そんなに権力無かったんだっけ??
※銭形警部補しか知らないんですいません。
主役のクライブ・オーウェンも渋くて良いんですが、少し迫力やリアリティが欠けています。
多分、商社がターゲットならそうならなかったかもしれませんが
銀行だと脚本にも少し、無理がありますな。
株主や外為法、その他がんじがらめになっていて金融取引以外は出来ないはずだし・・・
実は裏の親玉が頭取だったってほうがよかったんじゃないのかな?
「リング」の印象が強く残ってる、ナオミ・ワッツ。
全然変わりませんね。綺麗なブロンドヘアーが印象的です。
クライヴとナオミの大捜査
あのクライヴ オーウェンが「ジッちゃんの名にかけて!」とは言いませんが、単純に言うとそんな感じです。事件のキーマンが次々と消されていくという探偵ものによくありがちなストーリー展開を美しい映像と共に描かれている本作!
主人公はよくボケっと突っ立てるのが好きなインターポールエージェント・サリンジャー。優秀な彼はある日巨大国際銀行であるIBBCが様々な不法行為に関与しているのではないかという疑いを持ち始め、女性検事ウィットマンと共に捜査に乗り出します。
注目は独特のカメラワークと見事な映像美です。さすがにあの「パフューム~」の監督だけあって映像面は完璧です。世界4都市(ベルリン、ミラノ、イスタンブール、ニューヨーク)で撮影された本作ですが、各都市の良さのようなものが映像に表れていました。特にニューヨークは印象的で映像だけ観ていると、今すぐにでも行きたくなるようなそんな気分にさせられました。それから、カメラワークもお見事でした。特にグッゲンハイム美術館での銃撃戦の時は監督のリアリティーへのこだわりのようなものを感じました。
それから、クライヴ オーウェンについてですが、私は良い味を出していたと思います。特に演技派というわけではないのですが、独特の存在感があり、映画の1フレーム目(彼の顔のドアップ)から妙に引き付けられました。ナオミ ワッツは・・・ちょっと残念でしたね。おそらくママン(笑)になられてからいろいろと大変なんだと思います。暖かい目で今後を見守って行きたいですね。
さて、この作品の弱点についてですが、ストーリーはありがち、展開が遅い、全体的に雰囲気が地味、美術館での銃撃戦が終わってから警察が現場に到着するタイミングが実に都合がいい等、挙げればキリがありません。それから、思ってしまったのはグッゲンハイム美術館の警備はあんな甘いのでしょうか?あんな簡単に武器(マシンガン、拳銃等)を持ち込めるのでしょうか?まったく、わかりません。
しかし、ジョージ クルーニー主演の「フィクサー」等の陰謀ものが好きな私としては丁度いい作品でした。ああいった作品が苦手な方にはオススメできませんが、好きな方にはいいと思います。
銀行の情報戦と思いきや
邦題から、銀行の情報戦とか内部告発とかの背広に眼鏡な感じかと思いきや、アクションスリラーでした。
緊迫感ある尾行、アクション、見応えありました。
敵味方が利害で瞬間的に変化する世界のお話でした。巨額の金を持つ組織なら、銀行でもマフィアでも大差ないよって話な気がします。
原題の方が相応しいと思いました。
犯罪をストレートに追いつめてゆく姿が潔くてかっこよかった!
いわゆる刑事ものとしては久々におもしろかった。巨悪の根源に対してどうにかして活路を見出そうと格闘する姿に心打たれた。クライヴ・オーウェンが体当たりの演技で、ナオミ・ワッツも机の上だけでなく現場で立ち向かう捜査官として好演していたと思う。終わり方はよくあるパターンなのが、ちょっぴり残念だが、全体的に緊張感あふれるアクションとして楽しめた。
良質な娯楽映画
自ブログより抜粋で。(ほぼ全文)
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『ザ・バンク 堕ちた巨像』との邦題から原題も『THE BANK』かと思いきや、いきなり『The International』とメインタイトルが映写されて目が点になった。直訳すると“国際的組織”ってことで、裏世界で暗躍する世界的メガバンクとそれに対抗する国際刑事警察機構・インターポール捜査官とを掛けているんだろう。実際に映画を観ると間違いなくこちらの方がしっくりくる。
100年に一度といわれる今の金融不安に関連づけて世間の話題を煽りたい日本の宣伝部の陳腐な思惑が映画始まって早々にしらけさせてくれてどうなることかと別の意味での不安を煽られたが、映画自体はかなり骨太なしっかりした作りでけっこう楽しめた。
(中略)
原題どおり捜査のために世界中を飛び回る展開は地味な内容ながらも映画的な醍醐味に満ちていて見応えたっぷり。
普段ロケハンを仕事としている自分としては映画を観ながらそのロケーションを気にすることも少なくないのだが、本作では久々にそのロケ地選定に惚れ惚れとさせられた。
ルクセンブルクにある巨悪の殿堂IBBC本部のガラス張りの近代建築や、緊迫の追跡シーンが繰り広げられるイタリア・ミラノの街並み、この映画一番の見せ場となる白塗りのグッゲンハイム美術館、クライマックスのトルコ・イスタンブールに建ち並ぶ屋根。
色調的には渋いトーンで統一させながらも作品を盛り上げる陰の立て役者となっている国際色豊かなロケ地の数々に映画の背景となるロケーションの大切さを思い知らされる。
内容自体は安直な邦題から連想されるような金融危機とはほとんど関係なく、金の力で世界を支配しようとする巨大銀行と組織内からも孤立している捜査官との対決を描いた単純明快なサスペンスで、あまりに明瞭すぎてひねりが足りない印象すら感じてしまう。
また、敵は世界に暗躍する巨大銀行といいながら、その全貌は娯楽映画らしくわかりやすくコンパクトに整理されすぎで、結果的に“底知れぬ怖さ”もスポイルされてしまっており、一部の幹部の首根っこをつかむのに躍起になっている一捜査官という構図しか見えてこないのも物足りなさを助長していると言える。
とはいえ、要所要所の見せ場でキモは押さえており、ある重要人物の狙撃シーンやそれまでの静かな雰囲気から一転するド派手な銃撃シーンでは小さなひねりが最大限の効果を上げていて思わず身を乗り出しそうになるほど。
クライマックスに向けての展開も、多くは語らず、観客を信頼した大人な演出に監督の本気度が伺えて、子供だましではない本格的な映画を観た気にさせてくれる。
観終わってみればそれなりに満足させてくれる良質な娯楽映画だったのに、結局一番ダメダメだったのは、最初に触れたように『ザ・バンク 堕ちた巨像』などという甚だ野暮ったい邦題だったと気づかされる。
思い出してみれば、主演のクライヴ・オーウェンは、傑作近未来SF『トゥモロー・ワールド』(2006年 アルフォンソ・キュアロン監督)でも的外れな邦題で損をしていた悲しい過去の持ち主。
こんなごまかしのタイトルで日本のファンを裏切ってばかりでは、無精髭がやたらと似合うオーウェンの渋い顔が、ますますしかめっ面になるんではなかろうかと、いらぬ心配をしてしまうではないか。
まったく、こんな邦題しか思いつかない宣伝部にこそ“コンサルタント”が必要なんじゃなかろうか。
クライヴ+宇梶+ルー。
なんだか重たそうな内容だったため、観る前に友人に、
「これは銀行にデカイ象が落ちてくる話なんだよぉぉ?」と
ふざけて言ってみたら、お前バカか?という顔をされた。
…だってさぁ。なんかヘンな副題なんだもんx
もちろんまったくふざけた話などではなく、真面目な話。
犯罪スキャンダルで破綻した実在の銀行BCCIがモデルだ。
でもそれほどの頭脳戦というわけでもなく?アクション系。
身体を張ったドンパチ戦も多く、とはいえ悪党は銀行家。
なのでもっぱら殺し屋が暗躍している。主人公は…普通^^;
もうちょっとカッコイイと良かったかも。顔?ということでは
なくて…彼自身がね。N・ワッツのがカッコ良かったしな^^;
どうでもいいけど私にはC・オーウェンが宇梶剛士に見える。
本作中でルーという愛称を聞いたら、ルー大柴にも見えた。
…彼って、けっこう巨顔だと思う…(ファンの方スイマセン)
さんざんけなしたところで^^;この映画の良い点は、
男女の色モノ系や、誰がどう消されたんだか分からない
映像がまったくなく、実に分かりやすいこと!に尽きる。
少し前の犯罪モノに多く観られた「詰ればドンパチ」という
しかもあの美術館で白昼堂々やらないだろ、普通!という
あり得ないシチュエーションを長時間にわたって見せつけ、
「巨悪にはチョイ悪で対抗」とばかり主人公もやるわやるわ、
銀行だけでなく主人公もある意味堕ちていくという二段構成。
やたら正義感を奮うあたりも、似合わないのが斬新な結果に。
冒頭から活躍してきた謎の殺し屋と意気投合するあたりなど、
最もあり得ない映像が、一番よく出来ていたような気がした。
私にはあの殺し屋の方がカッコ良く見えたなぁ^^;
暗躍銀行家陣にも見せ場を奮い、A・ミューラー=スタールの
落ち着いた演技など主役を食う巧さで素晴らしい。
主人公が悪党に見えて、悪党達が何だかいい人に見える…
という不思議な作品だった。
(善悪なんてまさに紙一重。あ、顔で判断はいけませんね^^;)
ザ・バンク 堕ちた巨像
「正義か平和か」の選択だと、主人公は「正義」を取る人って印象の作品。きれいごとでは、悪を壊滅できないって感じ。シリアスでミステリアスなストーリー。なかなか見ごたえありました。人間の欲の前には、正義はなかなか太刀打ちできませんね。
これほどド派手じゃないにしろ、ありえそ~で怖いっ!!!
国際的なメガバンク陰謀の社会派サスペンス・アクション。
このテの映画・・・好きなんですよぉ~私!!!
・・・っなのにっ
インターポールだのCIAだの・・・って色々な組織絡みで
たくさんのキャストが混ざり合うと
正直なところ、イマイチ意味が解りません(泣)
ごめんなさいっ^^;
もっと良く理解していれば
かなり面白いかもっ^^
でもアクションシーンは
(特に美術館のドンパチシーン)
めちゃめちゃ迫力満載でコーフンものでした!
ここ、大げさなくらい(笑)
それに、主役のクライヴ・オーウェンよりも
暗殺者の方が
目立ってかっこよかったのは私の気のせい???
利益のためならどんな手でも平気で使う企業・・・
闇に隠れた陰謀が
実際に起きていてもおかしくない世の中!
マジで怖い話です(>_<)
4月9日MOVIX伊勢崎にて観賞
「ザ・バンク」、人間が創った企業という欲望の塊
ある銀行の不正取引きを追い掛ける
インターボールのサリンジャー捜査官(クライブ・オーエン)と
ニューヨークのエラ検事(ナオミ・ワッツ)は
追い掛ければ、追い掛ける程、
巨大な力に踏みつけられそうになる。
それに対抗するために取った最終手段とは。
銀行という組織が成長を続けるため、
他社と差異化しなければいけないのはわかる、企業戦略なのだから。
だからといって、何をしてもよいというのか?
ダーティーな戦略に手を染めた銀行と取引きをする他国籍企業も
汚れていき、悪がモタレあった社会システムが出来ていく。
そんな社会に異議を唱えたとしても
個人の力など無力なのだ、とこの映画は語る。
悪のボスですら、権力を保持できるのは組織の中だけの話しで、
個人になった時には、か弱い一個の人間になりさがり、
組織はまた他の新しいボスを作っていく。
企業という組織に入って行くと、人間の性根が変わってしまうのは、
何故だろうか。
そんな虚しさを残してこの映画は終わっていく。
そんな映画に、最高評価を与える訳にいかない。
時事問題を絡めたエンターメントアクション
一言でいえば、期待度どおりの映画でした。
それ以上でも、それ以下でもないといったらいいのでしょうか。
美術館での銃撃戦は、確かに迫力はありましたが、
なんでこんなとこで、こんな展開になるの?
と思ってしまいました。
あまり考えず見るなら、それなりに楽しめる映画であると
いえるでしょう。
時事問題をちょっと絡めたエンターテイメント系のアクション映画
ですね。
主演のクライブ・オーウェンは、男らしいといえば
聞こえはいいけれど、ちょっとムサイ感じで、
愛嬌といったものが感じられなかったですね。
僕のフェイバリットであるナオミ・ワッツは、
それなりによかったです。(甘いですが・・・)
子供を産んですぐ出演した映画らしく、体調を気遣いながら、
与えられた役の中で、それなりに、目一杯演技しているといった
印象でした(笑)。
意外なところから出現したヒーロー誕生編
原題「The International」というと、以前なら社会主義思想の労働者の政治組織なのだが、ソビエトが崩壊した以降の現在に「The International」と言った場合は誰になるのか?それが邦題の「ザ・バンク」となるのだろう。国際的なメガバンクは“メガ”ゆえに、ほとんどあらゆる国の政府機関に『国際的』な影響力を持ち、通常の法律の元での言及は握りつぶされてしまう。
そんなドン詰まった所を突破する主人公の姿は、ゴッサムシティを取り締まるマスクの自警ヒーローに重なる。
「ザ・バンク 堕ちた虚像」といういかにもポリティカル・サスペンス然としたパブリック・イメージを蹴散らすように、主人公はバカみたいに強大な敵に立ち向かい、マシンガンで相手を蜂の巣にする。
そしてラスト近くの“決断”はまさに『ヒーロー』誕生の瞬間である。
近年、良くも悪くもマジメくさったアプローチで描かれるアメコミヒーローに対して、逆側から「Why So Serious?」と超然的なヒーロー像を提示してみせた傑作。
クライマックス近くの銃撃戦が見もの
2008年9月のリーマンショック以降、世界経済は低迷しているところですが、世界的な銀行の裏の姿を描いたフィクション。荒唐無稽な感じもしますし、巨大金融機関の破綻が、これだけ世界中に重大な影響を与えている事もあり、「実は裏では・・・」と勘繰りたくなる感じもします。
クライヴ・オーウェンが、ややアウトロー的雰囲気もあるインターポール捜査官を見事に演じています。で、そのインターポール捜査官と協力してIBBCの裏の顔を暴こうとしているニューヨーク検事局の捜査官(本当は検事だと思うんだけど・・・)をナオミ・ワッツが演じています。
この映画は、俳優陣の演技力と言うところよりも、そのストーリーの複雑さと、映画のクライマックスのニューヨークのグッゲンハイム美術館での銃撃戦が見物です。映画なので、当然フィクションであって、壊れたように見えるものは映画の撮影用の物品の筈なのですが、それでもあれだけ派手に銃撃戦が行われ、館内の“展示品”や“調度品”、“美術館の建物”に“弾痕”が付いたりすると、「大丈夫かなぁ」と心配になってしまいます。
物語の最後は記しませんが、スッキリとする最後では有りませんとだけ書いておきます。出演者のセリフにもあるのですが、代わりはいくらでもいて、物事の本質的解決は困難・・・と言うより、無理なのかも。でも、エンドロールには、少しは正義の希望の火が見える感じもします。
映画での、ルクセンブルグの描き方が、世界的な金融市場における同国の評判を表している感じですね。実は、ルクセンブルグは、スイス以上に銀行は秘密主義と言う話もありますから。
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