劇場公開日 2009年4月4日

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「「ザ・バンク」、人間が創った企業という欲望の塊」ザ・バンク 堕ちた巨像 カサキショーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「ザ・バンク」、人間が創った企業という欲望の塊

2009年4月10日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

ある銀行の不正取引きを追い掛ける
インターボールのサリンジャー捜査官(クライブ・オーエン)と
ニューヨークのエラ検事(ナオミ・ワッツ)は
追い掛ければ、追い掛ける程、
巨大な力に踏みつけられそうになる。
それに対抗するために取った最終手段とは。

銀行という組織が成長を続けるため、
他社と差異化しなければいけないのはわかる、企業戦略なのだから。
だからといって、何をしてもよいというのか?
ダーティーな戦略に手を染めた銀行と取引きをする他国籍企業も
汚れていき、悪がモタレあった社会システムが出来ていく。
そんな社会に異議を唱えたとしても
個人の力など無力なのだ、とこの映画は語る。

悪のボスですら、権力を保持できるのは組織の中だけの話しで、
個人になった時には、か弱い一個の人間になりさがり、
組織はまた他の新しいボスを作っていく。

企業という組織に入って行くと、人間の性根が変わってしまうのは、
何故だろうか。

そんな虚しさを残してこの映画は終わっていく。
そんな映画に、最高評価を与える訳にいかない。

カサキショー