劇場公開日 2008年6月28日

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「マクロなアリの世界を特殊レンズで撮影したドラマティック・ドキュメンタリー!」バグズ・ワールド ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0マクロなアリの世界を特殊レンズで撮影したドラマティック・ドキュメンタリー!

<解説>
オオキノコシロアリは羽アリになると外に出て、
互いに「王子」と「王女」を探し、
「王子」は「王」に、
「王女」は「女王」になって、
何千もの働きアリや兵隊アリによって「要塞」を作りあげる。
繰り返される外敵の攻撃や、
自然の脅威に晒されながら、
多大な犠牲を払って彼らは「種」を守り続けようとする。

<個人的戯言>
ありえないマクロな映像を、
120度というワイドさで撮影できるボロスコープ・レンズで撮られたシロアリの「要塞」の中は、
まるでセットのように見えるほどの鮮明です。
肉眼では到底見ることの出来ない、その「顔」や「模様」に、
「集団」としてのアリを見ている私たちに、
その「個」な部分を感じさせてくれます。
更に「集団」としてのその「習性」のフォーメーションの、非常に計算された「行動」の凄さにも感嘆。

ドキュメンタリーでありながら、
まるでドラマティックな古代ヨーロッパの国同士の戦いを思わせるような展開は、
仰々しいナレーションとともに、
なかなかサスペンスフルで、
「帝国」の誕生から数々の苦難と攻防には、
シナリオがあるかの如く。

各パートに違った苦難があって、
「ストーリー展開」は飽きさせずに見せる工夫がなされていますが、
「集団」で映し出されるときは、
やはりただ「黒く蠢く」ものに見えることも多く、
朝鑑賞ということもあり、やや意識が飛ぶことも・・・

虫が「ダメ~ッ!」(by 小出"ジロー"恵介)な人には絶対無理だと思いますが、
この手の動物ものドキュメンタリーの中では、
「面白く見せる」ことに心を砕いた作品です。

ジョルジュ・トーニオ