「圧巻は、ラストに語る12人の宇宙飛行士の言葉。きっと見た人は感動して、彼ら証人たちと宇宙の造物主の存在を共有されることでしょう」ザ・ムーン 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
圧巻は、ラストに語る12人の宇宙飛行士の言葉。きっと見た人は感動して、彼ら証人たちと宇宙の造物主の存在を共有されることでしょう
月面に人類が降り立って、はや40年もの年月が過ぎました。けれどもいまだに地球外に立った人間は、この12人しかいません。
彼らが見た地球と宇宙の姿について、これまで数多くのメディアで伝聞して方も多いことでしょう。
けれども、NASAの蔵出し映像によって改めて当時の映像を見せられると、CGでない宇宙飛行シーンに本物の凄み感じさせられました。
資料映像の多くは、この40年一度も公開されたことがない映像がばかりです。本作で初めて明かされる月面着陸時のシーンも多く、今まで見たことがなかった月面ドライブシーンでは、彼らと一緒にドライブを楽しんでいるような気分になれました。
月面など、地球のどこかにいるようで、空に月でなく地球が浮かんでいるのは何とも不思議な感じです。
前半の月面に向かうまでの訓練などエピソードの数々は、インパクトがなく眠くなりました。
けれども、初めて月面に向かうアポロが発射されて、漆黒の宇宙に地球が垣間見えるところから、のめり込むように画面に釘付けとなりました。
発射シーンからして、その直前に無人での失敗シーンが織り込まれていたため、地上スタッフの祈るような気持ちがクローズアップされて、ドキドキしました。
画面に浮かぶ地球は、美しく神秘的。まるでこの広大な宇宙という砂漠に浮かんでいる奇跡のオアシスのように思えました。
その後も、アポロ計画は繰り返されていくなか、アポロ13号の事故により月面着陸をあきらめ、地球に奇跡的に生還するまでがスリリングでした。
宇宙飛行士たちは、期間後世界中の人々が祝福しました。 この偉業は、全世界の人々が見守っていました。国境も民族も関係なく、みんなが人類全体にとっての大きな偉業として捉えたのです。だから、アメリカ人たちも、プラカードに自国名でなく人類万歳と掲げて行進しておりました。当時米ソの冷戦のただ中にあっただけに、そのシーンはとても印象的でした。
圧巻は、ラストに語る12人の宇宙飛行士の言葉です。
広大な宇宙に抱かれた彼らは一様に、この美しい星々を創られた造物主の存在を感じずにはいられないと語ります。
その思いは、2600年前にインドの地で宇宙即我の悟りを開かれたお釈迦様と同じ思いに至ったのではないでしょうか。
そしてこの宇宙は、ひょっとするとわれわれの細胞の中の電子宇宙の中と同じものかもしれないと。一つ一つの星は原子であり、素粒子であり、われわれのいのちを宿す細胞そのものが宇宙であったとしたら、われわれのいのちはすべて繋がっているとも語りました。これも仏教で言う諸法無我という悟りの言葉を彼らは語ったのです。
そして青い地球を見つめていると、この星が大いなるいのちを宿した活かさてれいる存在に見えてくるそうなのです。
われわれの星は、そして人類は、いのちを活かしめる大いなる意志のもとに、有り続けていることを感じさせる作品でした。
我々は月を知ることで、
実は地球について知った。
遠く離れた月で親指を立てると、
親指の裏に地球のすべてが隠れてしまう。
愛する人たちも、
仕事も、
地球全体の問題も、
すべて隠れてしまう。
我々はなんと小さい存在だろう。
だが、何と幸せだろう。
この肉体をもって生まれてきて
この美しい地球で人生を謳歌することができて
追伸
アポロ計画捏造説は、進化論否定などにも見られるキリスト教根本主義思想の影響を受けて生まれた説であり、欧米で地球は球ではなく聖書にあるとおり平らであると主張している大地平面協会が最初期に唱えたものです。
エンディングで、宇宙飛行士はジョーク混じりに否定しておりました。