重力ピエロのレビュー・感想・評価
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自首しない決断
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似てない兄と弟がいた。
共に近所で起こる連続放火事件を調べてるうちにある事に気がついた。
それは残された落書きが遺伝子記号を意味しているということ。
そんな折、父親から衝撃の事実を聞かされる。
20年くらい前に連続レイプ事件があり、母もその被害者だった。
それにより生まれたのが弟の方だったのだった。
母はその後事故死したが、本当は自殺だった可能性もあった。
レイプ事件の犯人は当時高校生で、5年くらいで出所して来ていた。
兄はこの男に会いに行き、全く反省していない事を知った。
なのでこの男を殺す計画を立て、実行日も決めていた。
ある日、弟から放火事件の再調査をしようと持ちかけられる。
でもその提案された日は男を殺す事にしていた日なので断った。
その直後、弟に片思いする女から、放火魔は弟だと知らされる。
弟は30件あったレイプ事件の各犯行現場で放火をしていたのだった。
何故そんなことをしていたのかはさっぱりわからんけど。
その日が最後の放火で、そこにレイプ犯つまり父親を呼んでいた。
そしてそこで父親撲殺し、兄はそのシーンを目撃した。
弟は自首すると言ったが、兄は止めた。
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まともに見える弟が実は精神を病んでいたという話。
でも何でそんな放火をしたんかは全くわからんかったわ。
一応、その放火事件の記事を父親に送りつけたりして、
何らかのメッセージを伝えたかったって事なんやろうけど。
でも父親を殺す目的なら、そんな面倒な事する必要もないねんけど。
まあ結局は自首をせず、盲目な警察の捜査の手も伸びて来ない。
放火現場の近くにいつも落書きがあり、実はそれも弟が描いていて、
翌日それを自分で消してたんやから、疑われそうなもんやけどなあ。
しかしこの手の話で、自首しないという結論になるのって珍しい。
おれは少なくとも、自首する必要はないと思ってしまうけど。
あとタイトルは、子供の時に親子4人でサーカスを見に行った時に母が、
ピエロが楽しそうだから、重力さえもなくなり落ちないって言ったのが由来。
えっそれだけ?って思ってしまった。あんまり関係なくない?(場)
両親が好きになれない
本当に深刻なことは陽気に伝えるべきという台詞が印象的です。
嘘をつく時の癖が育ての親と似ているのが良かったです。
気になったのは下記です。
・兄の行動が無駄に思える。
観客は既に親子と認識している状況で、親子鑑定しようとしています。また、夏子に聞いて弟の放火を知るのではなく、弟の様子を不審に思い部屋を捜索して、ポスターの裏を見て初めて真実が分かる方が良いです。
・春を産む覚悟が弱い
どちらの子か分からないとか、もう少し産みやすい状況にして欲しい。また、春が生まれた経緯を知ってる地元から引っ越そうとしないのが理解できない。引越したが、偶然に知ってる人に会って、噂が広まるとかにして欲しい。
・父親を殺したら、罪を償わないのか。
父親の罪を許せないなら、自分の放火や殺人も許せないと思うはずです。
春が火事で父親と一緒に死のうとするが、病気の父親が命がけで助けるような展開が好みかな。
以上
家族の秘密
2009年。原作・伊坂幸太郎
よく考えれば悲惨なミステリー映画です。なのに優しく穏やかな雰囲気を
醸しています。
原作者の伊坂幸太郎さんの個性でしょうか。
そして配役。
お父さん=小日向文代
お母さん=鈴木京香
お兄ちゃんの泉水=加瀬亮
弟の春=岡田将生
幸せな一家には悲しい過去があった。
お母さんはある日、家に入り込んでた高校生にレイプされた。
そのDNAで生まれたのが春。
そんな受け入れ難い境遇を春(岡田将生)が《どう落とし前をつけるか!!》
そういう映画です。
温厚な(知らないけど、多分)伊坂幸太郎さんの原作は悪をある意味で否定していません。
まるで今の中村倫也そっくりな加瀬亮。
爽やかな春風のような岡田将生。
聖母マリアのような母親・鈴木京香。
そして何より最高なのはお父さんの小日向文代さんです。
ガンジーを尊敬する春の下した結論は?
悲しくも美しい物語でした。
期待しすぎた。
↓以下ネタバレありのツッコミどころ↓
・犯行が大胆なのに何で警察に捕まらんのや?
・頭文字を取ると…コレは人間のDNA二重螺旋を意味してるんだ!的なことになるけど結局「兄貴の気を惹きたい」だけで別にそれ以上の意味が無いのがちょっと肩透かし
・ガンジーの非暴力を言っときながらバットでおもくそ殴るのに笑う
・遺体を燃やしても歯の治療痕とかで誰かは分かるのでは?んで男に私怨ありそうな奴を考えれば犯行バレてまうやろ
・結局親父に罪告白せんのかい!
(原作小説だとそのへんの葛藤を描いてるらしい)
復讐者のその後は?
とても面白いんだけど、やっぱり何処かで警察に捕まるなりして報いを受けるラストでないと弟のキャラが立たないように思う。
ちょっと長いようにも思う。子供にもわかるくらいに語りの偏差値を下げてる。
レイプ事件の被害者がその子を生んで、その家族が差別を受け続けるという設定が秀逸。
残酷な過去
過去に母親が高校生にレイプされ弟はレイプ魔の子で、お兄さんは夫婦の子です。
ある日町で度々放火の事件が起き、街中にあるグラフティーアートを消す仕事をしてる弟と、遺伝子などの勉強をしている兄が、犯人探しをする話でした。
話が進むにつれて、兄弟の過去や、過去のレイプ魔を兄が見つけ、弟と遺伝子が一緒かどうか調べるために隠れて尾行し、タバコの吸い殻をゲットします。
弟が見つけてくるグラフティーアートは全て、放火の予告になっており、すべてがDNAに関するアートになっていると兄は気付きました。
弟のストーカーだったなつこさんがバーにいた女の人だったなんて!!
そしてなつこさんの報告により、弟が何もかもすべて放火もグラフティーアートも事件の犯人だということがわかります。
すべてを辿ると、30年前に起きたレイプ魔が事件を起こした場所を燃やしていました。
浄化しなきゃいけないと思ったんでしょう。
そして最後は犯人の男を兄が見てる目の前で殺します。
犯人自体が、俺の息子なんだろって気づいていたところも、うわって感じですし、たかがレイプだろ何がいけないんだと言っていてクズでした。
犯人の死んだのか死んでないのかは定かではありませんがバットで殴ってます。
この行為に至る前に、兄も同様に犯人の男を殺すために沢山調べ、沢山準備をしていました。
兄弟が2人とも別々で、犯人を殺そうと考えていたんですね。
そしてそれに気づく父親。
最強の家族だと言っていたお父様。
お父様はガンでそのあと亡くなってしまいますが、お父様がいつもやっていたハチミツ作りを兄弟が2人でして、作り方がわからないと父親の部屋にハチミツの本を取りに行き、二階から本を投げ、自分も飛びおり、下にいる兄の元へジャンプするという終わり方でした。
ザ小説感のある作品でした。
まさか放火魔が弟だとは思っていなかったので、奈津子さんに言われた時びっくりしました。
そしてなつこさんの執着ハンパないなと思いました。笑
幼少期の弟役が北村匠海くんでびっくりしました!
この時からすでにイケメンでした。
子供の頃にお兄ちゃんに
『レイプってなに?周りのみんなが言ってる』と言われて、弟をかばうため『レイプグレープファンタグレープ』とごまかして笑わせてたお兄ちゃんはなんて優しいんでしょうね。
交通事故にあったお母さんを過去に自殺するようなことがあったんじゃないかと警察に言われ、それに対して、妻は自殺なんかしない!と強く言っていたお父様を見たときは、心が痛かったです。
古い作品ですが、みてよかったです。
泣いた
全員の演技がいい。
兄弟とも母の死後、
父からの告白がある以前から
レイプ事件のこと知ってる感じだったのは
気になった。
タイトルの重力ピエロに繋がる部分が
あまりにさらっと描かれていて、
軽く感じてしまうのは少しもったいないかも。
原作を読んでみたくなった作品。
できたらレビュースコアは
3.7くらいにしたい。
遺伝子
実の父親と育ての父親。この二人の父親が、人間の持つ善と悪の象徴の様に描かれていました。遺伝子的に春は育ての父親に似ることはないですが、正義感や善悪に対する感性は育ての父親の影響を受けていると思います。
ただし、春の端正な顔立ちは実の父親の遺伝子から受け取ったもの。女性を寄せ付ける外見や性的なものを否定し続けたのも、実の父親からの影響が大きそうです。受け取りたくない部分なのでしょう。
遺伝子からは逃れられることもあり、逃れられないこともあると思います。でも、最強な家族には、遺伝子は関係ないですね。
映画の味方
内容はレイプという思い題材だけど
血がつながってなくても沢山の愛をもらって育った2人は育ての親の子なんだと
ハルがくちびる触るシーン大好きです
この映画を見てから、あぁこういう話だったんだ
いい映画だったな。寂しくもあり暖かくもあり、、
みんなどういう感想なんだろうと思ってヤフーの口コミをみました。
そこには母親は綺麗なんだからあんなに町の噂になる意味がわからないとか
愛情そそがれてれば殺人をするような人に育つわけがないとか
こういう理由で星をつけない人や雰囲気ものの映画だと批判する人が多くて驚きました。
どういうつもりで映画をみてるんだろう
映画はリアルな世界ではないし、自分の感覚の範囲内だけで展開していってほしいのかな
この映画を雰囲気ものだと思う人はその雰囲気にのまれちゃってる人なだけな気がして可哀想です。
見てやるよ。っていう気持ちで見たらなにもおもしろくないだろうな。
この家族のキャストは全員良かったと思う
小日向さんの温和な雰囲気も合ってるし
岡田将生もまだあどけなくて自由な感じが
笑ってれば幸せになれるってことですね
素敵でした
サスペンスなんだけど、あたたかい雰囲気に包まれた家族の物語。 悲し...
サスペンスなんだけど、あたたかい雰囲気に包まれた家族の物語。
悲しい内容なんだけど、所々ほっこりできる部分があって。事件が進んでくにつれてどんどん2人の兄弟が落ちていくんだけど、絶望的ではないっていうか、なんか救いがあるように思えて。それは多分、この2人が善人だからっていうのと、2人をちゃんと愛してくれてる人がいるから、お父さんと何よりお互いがいるから、だと思う。
この家族は本当に最強の家族だと思う。特にお父さんは強くて優しくて、素晴らしいお父さん。小日向さん演じるお父さんがすっごく良い。そのお父さんの偉大さもあって、家族に凄く良い絆がある。
その対比として渡部篤郎がいるんだけど、コイツが救いようのないクズで。the悪。渡部篤郎と岡田将生の顔がこれまた似てるんだな~。このキャスティングは奇跡。血の繋がりってやっぱり自分の力で変えられるものじゃないから、どうしても一生付き纏うもので。いい意味でも悪い意味でも強力な力を持ってるなあと思った。
劇中で特に良いと思ったシーンは、春が家燃やして渡部篤郎を殺そうとするシーン。1人の時はためらっていた春が、泉水が来てその顔を見た瞬間安心したように思いっきりボコボコにする。春の本当は臆病っていう性格や、2人の関係性が感じられて凄く良かった。1番シリアスなシーンでもあるのにほっこりした。
翌朝、実家で2人が疲れきって寝てるシーンも凄く好き。もしかして春も死んじゃったの……!?と思わせてからの安心する一コマ。この映画は絶対にハッピーエンドで終わってほしいと願っていたから、この事件の結末はこの先どうなるか分からないけど、2人が最後良い顔をしていたのでああ良かったと思った。
結果的にやってしまったことは悪い事じゃないとは決して言えないけど、それは自分で考え抜いて出したやるべき事ことであって。渡部篤郎のように自分の私利私欲のためじゃなくて色々な人の事を考えてやった事で。善人が悪人をやっつけて、それでも殺人は殺人で。悲しい殺人。何か別の方法はあったのか、どうすれば良かったのかなと思うけど、それが春と泉水が考え抜いて出した結論だから、私にはそれを責められない。
それでもあのピエロのように楽しく生きようとすれば、結末はどうであろうと落ちないのかもしれない。あのエピソードはあの家族のあたたかさを象徴する、救われるエピソードだなと思う。
劇中ではガンジーの名言とか、印象的な言葉がいくつも出てくるんだけど、お父さんがそれ無理でしょっていうようなことを明るく飄々と言うのがすっごく好き。サラッと言うんだけど力強くて、信じられる言葉なんだよね。「楽しそうに生きていれば地球の重力なんて消してしまえるんだよ」とか。本当にそうなんだと思えた。
そういえば夏子さんもナイスキャラだった。彼女もちょっとズレてるけど愛のある人物で、ほっこりさせてくれた。
春と泉水の名前どおり、この映画の雰囲気は春のようにあたたかかった。それはストーリーもそうだし、映像の映し方や音楽も。全てがマッチしていて良かった。リピートしたくなる映画な予感。
親子の会話が心に沁みたが・・・
題名が合わないなあと思いながら観続け、最後の最後に意味がわかったけれど、やっぱりしっくり来なかった。
また、レイプされてまず心配するのは、妊娠の有無や性病のはず。
何にも知らない少女ならともかく、もう子供一人産んでる大の大人だ。
ましてや、レイプされたことを夫にも警察にも言えなかったならともかく、そうではないのだ。
それなのになぜ、すぐ産婦人科に行かなかったのか。
アフターピルは飲まなかったのか。
レイプ犯の子供を出産するあたっても、もっと納得できるシーンが欲しかった。
悟らせるのではなく、ちゃんと描くべき部分だと思う。
その部分さえしっかり描かれていれば、高評価できたしもっと感動できただろう。
題材も面白いし、凄い事が起こっているのとは対照的な淡々とした感じが『普通の日常』っぽくて良い。
父と子の会話シーンも、すごく素敵で心に沁みる。
それだけに、もったいなかった。
春が二階から落ちてきた
兄弟愛と父親との関係が実にいい雰囲気でよかった。前半、兄弟協力して放火犯を探し出すという設定で、しかも推理ゲームのように次の放火場所とかを特定するところなど興味深かった。ただ、途中からとんでもない展開になってしまって、前半がよかっただけに非常に残念。原作がそうなっているなら、致し方ないのだが。
実際、この映画でも原作でもその途中からの展開が本命なのだろうが、個人的には拒否反応してしまった。
(タイトルは、原作の冒頭の書き出し部分)
ミステリでファンタジーで家族物語
伊坂幸太郎さん原作、同名小説の重力ピエロの映画版。
まずは原作の話を。
原作がとにかく名作。
ミステリでファンタジーで家族物語。
伊坂幸太郎さんの書く物語は全て、現実世界のファンタジー。
死神の精度とか、オーデュボンの祈りとかは設定が完全に現実世界の域を出ているファンタジーなんだけどそれなのに完全なるファンタジーではない。
本だからこそできること、設定を最大限に無理のない範囲で楽しんでいるような世界観こそ伊坂さん!
おしゃれすぎる会話ができちゃう人とか素敵過ぎる人がたくさんでてくるんだけど「そんなやつおらんやろ!」って思ったりしない。それはファンタジーだから。だけど突拍子なくもない。それは現実世界を描いているから。
むしろ、こんな人いたらいいな、とかこんな世界だったら素敵だろうな、と思えるような世界観。
現実から1センチ浮いたあたりを低空飛行しているようなそんな世界観がとても魅力的。
たぶんとにかくリアリズムを追及したりする方はあまり好きではない方も多いのではないかと思うけどそこはまあ個々の好みで。
重力ピエロもそんな低空飛行小説。
泉水と春の物語。英語にするとどちらもスプリング。
母親のレイプ事件によって生まれた春。ふたりにつながりを持たせたくてスプリング、と隠れたつながりを持たせた両親。
とにかく原作が名作なので、映画はどうなんだろう・・・とおもったけれど「映画として」いい映画でした。原作に出てきたほしかった場面がなかったりしたけど、2時間半だしそこは仕方なし!
まずキャスティングが最高!
お兄ちゃんの泉はなんていうかすごくニュートラルな役柄で、おとなしいというか地味というか、やっぱりニュートラル。優秀で男前な春と比べられ続けて物事を斜めに見る癖が付いている、と自分で言うんだけどやっぱりそれでもニュートラルな感じのする不思議な役柄。だけど内に秘めた思いの強さとかそ―ゆー部分をもっている役柄。
加瀬亮くんが泉。やっぱり加瀬くんはなんでもできるな。すごい。
「性的なもの」をとにかく毛嫌いする美しすぎる青年、春は岡田将樹くん。これまた春を具現化したような人。
ほいで今回の映画の主役といっても過言ではない、名俳優、小日向文世さん!!!
この、重力ピエロで一番重要な役なのは実はお父さん。
まじめで実直な父。ぱっとしない感じなんだけど本当はすごく強くてまっすぐな父親。小日向さんの役作りで原作よりもだいぶひょうひょうとした感じになってたけどそれもまた良かった。
個人的にちょっと残念だったのはお母さん役の鈴木京香さん。原作のイメージとちょっと違いすぎたような。。
もうちょっと普通の母親っぽい色気のない感じの人がよかった。色気ありすぎた。
ということで今回の印象的なシーンはどちらもお父さんのセリフから。
1.俺たちは最強の家族だ
これは父が劇中何度か投げかけるセリフ。
映画化されると聞いて一番に思ったのが、このセリフを父親役の俳優さんがどう演じるのか?というところ。
諭すように言うのか、強く訴えかけるのか。ともすればうそくさく薄っぺらくなってしまうであろうこのセリフ。
これはもうとにかく見ていただきたいです。これだけでこの映画見る価値ありと私は思ったりします。
2.春はピカソが死んだ日に生まれた
春は絵がうまくて小学生の時にコンクール的なものに出典されたりするんだけどそれがまぁ原因で友達のおばちゃんに嫌みを言われる。要するに血がつながってないから的な。
そのあと、家族4人で車に乗ってるときのシーン。
どうして自分だけ絵がうまいのかという春に父親がいう。
春はピカソの生まれ変わりだからだと。
ピカソが死んだ日に春は生まれたんだと。
うわー、お父さん最強。すげぇ。
こういうのを強さとかやさしさっていうか人間としての魅力というんでしょうな、って思った。
何に対してもじぶんなりの答えを持っているというか。やさしい答え。
春は大人になってもピカソを敬愛している。
父のこの言葉がよりどころだったのかもしれない。
こんな人になりたいしこんな人がそばにいたら素晴らしい。
重たいという人も多いしなんせあの分厚い本が2時間半になってるからちょっと唐突なとこも多いけど俳優陣が素晴らしいのですごく楽しめると思います。
どっちかというと原作読んだことある人の方が楽しいのかも。
あと、ぎゅーんってなるのが「赤の他人のくせに父親ヅラすんじゃねぇよ」って春が言うシーン。
これは実の父親、つまりレイプ犯に向ける言葉。
強い決意と自分への決別のようなセリフ。うーむ、重たい。
イメージ的には日曜日の夕暮れ。
楽しかった思い出と明日への憂い。でもまた始まる明日への希望とか。
ぜひぜひみていただきたいです~
余韻の長さ
脚本、キャスト、音楽、どこをとっても文句なしです。
岡田将生を好きになるきっかけにもなった作品です。
重くて悲しい話ではあるんだけども、俳優さんの表情ひとつひとつが印象的でした。
特に、加瀬亮演じる泉が、渡部篤郎演じる葛城の部屋に行くシーン。葛城がビデオカメラを通して、自分の背景にあるテレビ画面に泉の顔を映し出します。これによって、一度に2人の表情がスクリーンで見れるわけです。余計に緊張感が増していて、この手法にとても驚きました。
後味の悪さというか、なんともいえない余韻が最高です。
初めて観たのは中1でしたが、その余韻が忘れられなくて何度も何度も観ています。
地元が宮城なので、父とロケ地めぐりもしました。
もう解散してしまいましたが、S.R.Sの主題歌も素敵です。
一度観て損はないと思います。傑作です。
母としては少々きつい作品
息子が生まれてすぐに伊坂幸太郎「マリアビートル」を読んだとき、登場人物の一人の子供がサイコパスに嵌められてビルの屋上から突き落とされるストーリーが辛くって、同時に犯人への憎悪がびっくりするほど込み上がってきて、なかなか読み進められなかったんだけど、この映画も主人公の母親がレイプの被害者になってしまって、しかも長男がその場に居合わせてしまって、さらに犯人は愉快犯で、というストーリーに、「マリアビートル」のときとおんなじような気持ちがした。
映画だと、役を演じていても加瀬亮は加瀬亮に見えるから、小説のときほど感情移入しなくて済んだけども。
(加瀬亮っていうとこないだ見た「アウトレイジ・ビヨンド」を思い出しちゃってこういう役柄がなんか違和感)
伊坂幸太郎の作品はだいたい最後にちゃんと蹴りがついてハッピーエンドになるにはなるんだけど、それでもアベンジャーズとかみたいな完全なハッピーエンドじゃなくて、なんかが残る。
この映画もそう。悪い奴は退治したけど、それと引き換えに、兄弟は犯してしまった罪をこれからずっと抱えて生きていかなきゃいけないわけで、そう考えると重いなぁ。
ヒーローは世界を救うためにいつも容赦無く悪を殺すし、その過程で悪以外にも多くの犠牲者を出しているんだけど、洋画はそこに焦点を当てないのがうまいと思う。
血の繋がり…
泉と春は仲の良い兄弟。
母は亡くなり、父は養蜂を営んでいる。
放火を目撃した弟の春から事件の起こる場所に落書きが関係しているのではと相談を受ける兄の泉。
2人は放火犯を捕まえようと犯行場所を推理する。
兄は遺伝子研究者。
放火の場所にある事が関係していることを見つける。
それは、春の出生に関係する家族の秘密である。
放火犯は春だった。そしてその場所は遺伝子上の父親が罪を犯した場所…春は火をつけ浄化していたのだ。
母をレイプした犯人が遺伝子上の父親。
春はレイプ犯の子供…
血を呪った春は、犯人と一緒に死のうとしたのだ。
なぜ母は春を生んだのか?
父も母が望むならと産むことを賛成した。
生まれてくる子に罪はないが
事実を知った子は辛いだけだと思うのだが…
共感できない作品。
楽しく生きようとすれば、宙にだって浮くかもしれない
やわらかい映像につつまれた、暖かい作品
といってもそれは、幸せだとかとはちがい、どちらかというと、
なんともいえない寂しさだったり、じれったさだったり、切なさに似ている
淡々と、現実と向き合い、淡々と、犯行にいたる。
世間的な正解ではないかもしれないけれど、家族の絆としては、
春も、泉水も、お父さんも、正しかったのだろう。
ハッピーエンドとか、そういう簡単な言葉では括れないラストではあるのだけど、
観た後に、あたたかい余韻に包まれる良作。
「重力」に翻弄される家族の物語
【春が2階から落ちてきた。】
この印象的な語りから映画は始まります。
兄・泉水と弟・春の2人の兄弟。
兄は遺伝子学を学ぶ大学生。
弟は仙台市内の落書き(グラフィティアート)を消す仕事をしていました。
仙台市内で起きていた連続放火事件。
その「法則性」に気がついた2人は、放火事件の謎を解こうと事件を追い始めます。
一方、24年前に起きたある連続事件の犯人が舞い戻ってきたことを知った泉水は・・・。
この作品は、泉水と春の兄弟の物語であり、
2人を優しい眼差しで見守る父と子の物語であり、
亡くなってしまった母を含めた家族の物語です。
ストーリーは、淡々と進んで行きます。
前半は、謎解きのドキドキもあり、笑いもあり(春を追い回す夏子さんの写真は必見(笑))、
家族のドラマとして観れるんですけど、
後半。家族に関する【ある衝撃的な事実】が判ってからは、様子が変わって行きます。
作品中には、たくさんの印象的な台詞が出てきます。
冒頭の【春が2階から落ちてきた。】もそうなんですけど、
終盤の父(小日向文世さん・良い演技してます)の台詞は、深くて印象深いです。
【おまえは俺に似て、嘘が下手だ。】
父が春に向けて言ったこの言葉。このひと言で全てが語られているような気がします。
この家族は、「重力」に逆らって楽しく生きることが出来なかったかもしれない。
作品としては、正直、かなり重いです。
でも、ラストシーンには爽やかな余韻が残りました。
それが、2人の兄弟にとってのせめてもの救いだったんだと思います。
原作は未読だったんですけど、久々に、観終わった後、原作を読みたいと思った作品でした。
レイプ、グレープ、ファンタグレープ
レイプ、グレープ、ファンタグレープ
映画「重力ピエロ」( 森淳一監督)から。
原作が伊坂幸太郎著「重力ピエロ」とあって、楽しみにしていた。
しかし結果は、厳しいようだけれど「撃沈」。
やはり、伊坂作品を映画化するのは、難しいことを知った。
昨年映画化された「死神の精度」が良かったので期待したのだが・・。
理由は、事前に原作を読んでいたからだと思う。
あまりにも、省略された部分が多過ぎて、その面白みを失った気がする。
「ネアンデルタール人と、クロマニョン人」が、
作品に登場しなかったのには驚いた。(知りたい方は原作を(笑))
そこで、今回は原作になく、映画だけに登場したシーンから。
子供の時の回想シーンで弟が「レイプって何?」って訊くところがある。
兄が「レイプ、グレープ、ファンタグレープ」と口にして、ごまかす。
何度も何度も口にして、2人で笑い飛ばしてしまうところは、
ちょっと意外だったけれど、印象に残っている。
確かに「遺伝」は大事なキーワードだけど、
「レイプ」は、そんなに強調するキーワードとは思えないに・・。
もちろん作品関係者は酷評しないが、原作を何度も読んだ私としては
タイトルの「重力ピエロ」すら、うまく表現できていない、と感じた。
映画を観た後に、原作を読んだ方がいいのだろうか?
いやいや、伊坂作品は映画にしない方がいいな、きっと。
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