劇場公開日 2009年5月23日

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「深刻なことこそ陽気に伝える」重力ピエロ harizoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0深刻なことこそ陽気に伝える

2009年5月28日
鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

知的

物語の内容には深刻な問題がいろいろ出てくる
のですが、その節々で父親役の小日向さんが
家族の絆をグッと一つにしてくれて、
少し悲しげで優しいあの笑顔が印象的で、
それこそ、涙顔で道化を興じるピエロ
そのもののようでした。

原作は未読ですが、面白かったので試写会後
すぐさま買って帰りました。(楽しみ)

というのも、
家族愛の物語としては温かく良い塩梅でしたが、
ミステリーとしては、かなり魅力ある材料なのに、
先が読めてしまう惜しげも無い紐解き方に
ちょっと勿体ないようにも感じたし、
逆に確認もしたかったからでした。

遺伝子研究をする大学院生の兄を“加瀬亮”
いつも誰かに憧れたり嫉妬したり葛藤を抱えてる
優しくてナイーブな役、またまたハマり役でした。

母の美しい遺伝子を一身に独り占めしたかの
ような美しい弟を“岡田将生”
ルックス的なハマり具合はかなりいいです。
ただ兄目線の話でありながら、この物語の本当の
主役は弟の彼。
ちょっと荷が重かったようにお察しします。

決して目立つタイプでない父を“小日向文世”
愛のある柔軟な優しさを演じたらピカイチですね。
とにかく笑顔が切ない。

その他“鈴木京香”“渡部篤郎”“吉高由里子”
控えめに印象的に皆さん、いい塩梅でした。

深刻なことこそ陽気に、絶妙な重さの空気感が
この作品の魅力だと思いました。

harizo