ベンジャミン・バトン 数奇な人生のレビュー・感想・評価
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『ガンプ』を連想せずにはいられない
短編小説を脚色して若返る男と老いる女のラブストーリーにするというのは映画的に面白いアイデア。しかし、エリック・ロスともあろう人が自作『ガンプ』の上塗りをしちゃあいけない。あの作品を思い出すような場面が多すぎるのだ。その上、ハリケーン、机の下、といった使えそうな素材を使うこともなく、どうも密度が薄い。
フィンチャー、『ゾディアック』では熟成を感じたが、この作品では大人しすぎる。どちらかというとプロデューサーのケネディ&マーシャルの色の方が強い。古いフィルムの再現なんかカユくてつまらない小技も目立つが、所々に笑いを入れてるところや、高揚と無縁の演出に徹したところは評価はしたい。
ブラッド・ピットの演技は結構CG込みで目を惹くほどの芝居はなかった。タラジ・ヘンソンも『ハッスル&フロウ』の方が2倍良い。正直、オスカー候補としては全然物足りない。ジェイソン・フレミングは良かった。
と、色々物足りないところは多いが、撮影・美術を含めて総合的にはオスカー作品賞候補には相応しい大作と言えよう。
しかし、CG凄すぎ。でも、ケイトのしわ隠しや歩く老バトンまで丸々CGとは・・・これでほんとに良いのか複雑な気分になる。
環境を受容できる幸せ
ベンジャミンは老いた身体を纏って生まれるものの、精神は順調に成長し、皆に愛され、ある年齢で女を知り、戦争にも巻き込まれ、都会に出た女に少し傷つけられはするが、父親の遺産で自堕落な生活も送り、内面をみつめ世界各地へ旅などして、可能な限り見聞を広め、やがて老いた彼は認知症となり、愛した女の胸の中で死んでいく。
デヴィッド・フィンチャーって鬼才じゃなかったの?
『ベンジャミン・バトン 幸福な人生』。
ベンジャミン・バトン
特殊メイクは凄いと思ったけど、話は坦々としていて感動しませんでした。主人公は彼女と別れる必要があったんですか。本当に愛しているのなら、二人でどんな困難でも立ち向かう姿を描いてほしかった。結局最後には、彼女に面倒を見てもらって、自分勝手な男にしか見えんかった。
すべての言葉はさようなら
ある人物の一生を描く作品だけに、やたら人の死がでてくる映画だった。印象的だったのは、自らをアーティストだと称する船長の死。元々の出会いは、ベンジャミンが日雇いでその船に乗り込んだだけで、まさかその人物が自分の死を看取ることになろうとは、夢にも思わなかったに違いない。彼はベンジャミンに様々な体験をさせ、様々なことを話した。それは、最期の瞬間まで。
つまり、そういう映画なんだと感じた。人間が必ず死ぬ生き物である以上、交わす「すべての言葉はさようなら」だ。その長いさようならの中で、人は色々なことを思い、互いに浅かったり深かったりする痕跡を残していく。数奇な人生をたどったベンジャミンを媒介とすることで、それが明確に浮かび上がっていたように思う。そういう意味で、この映画はベンジャミン・バトンが口にし続けていた「さようなら」だ。
個人的には、雷に七回打たれた男性のさようならや、ベンジャミンにピアノを残したさようなら、若い頃に心折られた夢を叶えるさようならなんかが、すごく素敵なものに映った。
数奇な人生に悔いなし。
今年のアカデミー賞で作品賞を含む最多13部門にノミネート
されている本作だが、なるほどそれも頷ける素晴らしい作品だ。
ほとんどが解説されているとおり、80歳で生まれ0歳で死ぬ運命
を背負った男の人生を描いているのだが、こんなあり得ない話を
まったく違和感なく最後まで観られるということにも驚かされる。
観終えて思うのは、何歳でどう生まれようが、人間は歳をとって、
最後には死を迎えるということだ。時計を逆回りさせたところで
月日や老いを止めることなど出来はしない。それを悲しいと思い、
ビクビクして生きるのが人の常かというと実はそうではなくて、
数奇な人生だろうと伸び伸びと生きることができる証明でもある。
ここに描かれるベンジャミンという男の一生は、ささやかながら
皆の愛に育まれ、幸せで充実していたんじゃないかと私は思う。
それは、彼が常に自分で「生きよう」としたからだ。
子供らしく何にでも首を突っ込み、興味を持ち、外に出ては学び、
「ためになった」「楽しかった」とそれを振り返ることの満足感が
彼を成長させ、恋をすることも(若くなってからは)実践することも
出来るようになった。育ての親たちの愛し方も素晴らしかったが、
彼がもともと前向きな男だったと、私は思いたい(爆)
見た目老人の子供が、少女に恋をするのだ。そう言いながらのちに
人妻と不倫もするわけだ。このバイタリティをあの時代に持つ男だ。
スゴイじゃないか、ベンジャミン!
この作品の素晴らしさは、ほぼ全編にわたって「死」を見つめる
まっすぐな眼差しに溢れていることだ。人の死は悲しいことだが、
避けることのできない運命のひとつなのである。若い頃からそれを
見つめてきた男が、自分の人生を深く考え出すきっかけをつかみ、
ラストの選択をするところなど(これをどう思うかは人それぞれだが)
がむしゃらに生きてきました。的な発想では決してできないことだ。
泣いても笑っても人生は一度きり。ならば今が常に決断の時である。
撮影技術と相まって、ブラピの美しさが心底堪能できた!(喜)
どうだろうか、あの10代の頃の映像なんて…リック再び!?そして
リバーランズ~でレッドフォードの再来と騒がれたあの、笑顔!!
もちろんシワくちゃ顔なんて、今のレッドフォード(すいません)
そのものじゃないか。。あぁ。。老いてもブラピ。ハゲてもブラピだ。
(その数奇な美貌でさらに頑張ってください。アンジーによろしく(^^)v)
人は、人生の最後にオムツをする
映画「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
(デビッド・フィンチャー監督)から。
当然のように、この映画「人生に関するフレーズ」が溢れた。
「最後はみんな同じ。だけど、たどる道が違うだけ」も
この映画をはピッタリの台詞だけど、ちょっと月並みかな。
「変わるのも自由、変わらないのも自由、誇りをもって生きろ」
「見失ったら、自分の力でやり直せばいい」
「人生は複雑とは限らない、求めるものを知っていれば」は、
何年経っても、この作品を思い出せるだろうか、と疑問になった。
迷ったのは「またまた若くなった?」「外見だけさ」。
観た人にしかわからないフレーズなので、断念した。(笑)
そこで選んだのは「人は、人生の最後にオムツをする」。
知ったかぶりで、哲学者のような
「人は、独りで生まれて、独りで死んでいく」を口にするより、
ちょっとニャって感じの人生論を知った気がする。
PS.
「秘密を教えごっこしよう」と誘われ、しわくちゃの顔で
「僕は、子どもなんだよ」と告白したら「だと思った。」と言われ、
とても嬉しそうだった主人公の顔が、印象に残ってます。
人生を語る映画
人生ってこんなに単純なものですかね?
素晴らしい映画であることは前提として、残念に思うことを。
人の生涯を描いた作品は数多くありますが、その中ではあまり評価できません。
何を成したか。どれだけの人を幸せにできたか。
これが人生における唯一の価値観であると考えますが、主人公の生き方にはこれらがあまり感じられません。
個人主義というか。おそらく本当にこのような境遇に見舞われれば、もっと違う人生観を持ち、多くの人を救う何かができたでしょう。(その「何か」が何なのかは僕にはわかりません。)
「人は孤独であり、孤独を恐れる」という言葉をもっと掘り下げてほしかった。
主人公は恐ろしいほどの幸運の持ち主であり、周囲の人は皆優しかった。そのくせ主人公自身はその優しさを顧みることがなく。ただ自分の思うがままに生きていく。
そんな生き方で満足するようではダメ。タガメ。
フィンチャーらしくないですが・・・
まずまずの出来だと思います。ブラッド・ピットの南部訛りの英語もCGと組み合わされた老人の演技もまずまずですが、オスカーはノミネートどまりで受賞はないかも・・・。(それよりもケイト・ブランシェットの80歳の演技はすごい。)
映像の技術の進歩ってすごいですね。メーキャップ賞は確実だと思います。ブラッド・ピットの老人子供状態もすごいけど、若返りの映像にびっくりしました。
映画はフィンチャーのひりひりした緊張感からは程遠い展開で、その手を期待すると裏切られます。それでも1800円と2時間30分のの価値は十分あります。人生の折り返し地点の40歳でブラッドとケイトが肩を組み「今を忘れたくない」というシーンが印象的でした。是非、劇場で見てください。
関係ありませんが、映画の途中でずっとメールチェックしている中年カップルがいて閉口しました。マナー最悪で、映画の面白さも半減です。
TOP10 ベンジャミン・バトン/数奇な人生
2:47の長編。
今のブラピが現れるまで2時間近くあります(^^;)
それまでおじいさんのCGに耐えねばなりません。
ベンジャミンは受動的で
周囲の人々が良いように解釈してくれて、親切にしてくれる。
世の中にイヤなヤツばかりじゃない。
そして、能動的である歳月は80年の人生のうちごく短い。
じいさんとかガキとか言われて
一人前として扱ってもらえない。
その約20年間に何をするか、が大切なんだ。
と教えられた気がしました。
記憶が無くなったシーンでは
我が祖母のことを思い出し
涙してしまいました。
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