劇場公開日 2009年2月7日

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「素晴らしき哉、人生!」ベンジャミン・バトン 数奇な人生 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5素晴らしき哉、人生!

2014年2月12日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

泣ける

知的

幸せ

老人のような赤ん坊として産まれ、歳を重ねる事に若返っていく男の数奇な人生を描いた、監督デヴィッド・フィンチャー&主演ブラッド・ピットの3度目のコンビ作。

ファンタスティックではあるが、これは普遍的な人生ドラマ。
初めて仕事をし、初めて性を経験し、出会いと別れ、恋をし、素朴で一途…成長の仕方が違うだけで、普通の人と何ら変わる事はない。
だからこそ、何度見ても、彼の人生に共感し、魅了される。

最愛の女性デイジー。が、共に老いる事は出来ない。
デイジーが子供の時、自分は老人の姿。デイジーが老人の時、自分は子供の姿。
二人の年齢が合う時もあった。しかしそれも、ほんの一時。
その一時、愛し合う二人の姿は美しく、切ない。

サスペンスが多かったデヴィッド・フィンチャーが初めて人間ドラマに挑戦し、監督としての技量を広げた。デイジーが事故に遭うまでの件は、フィンチャーならではの巧みな手腕が光る。
これまでのダークさから一転したソフトな映像美、音楽、技術…どれもが一級品。

特殊メイクや最新技術を駆使し、一人の男の人生を演じきったブラッド・ピットが素晴らしい。クセのある役柄もいいが、やはり等身大の役を演じる時が一番魅力的。

相手役のケイト・ブランシェットも、自由奔放だった若い時から落ち着いた大人の女性、寝たきりの晩年まで、ブラピに負けず劣らず、さすがの巧さを見せ付ける。往年の女優を彷彿させる美しさに見とれてしまう。

ベンジャミンを引き取り、我が子として育てたクイニー役のタラジ・P・ヘンソンは母性愛溢れる好助演。
ティルダ・スウィントンも役柄は小さいが、彼女のサイドストーリーは物語に深みを与える。

“若返る”は確かに聞こえはいいかもしれない。が、先にも述べたように、共に老いていく事は出来ない。
若返る事で時を逆行しているようにも感じるが、彼とて、過ぎ去った時は戻らない。
老いていく人生だろうと若返っていく人生だろうと、限られた人生。
精一杯生き、最後は愛する人に抱かれて幕を閉じる。
ベンジャミンの一生は、我々に人生の大切さを教えてくれる、“素晴らしき哉、人生”だ!

近大
asicaさんのコメント
2021年8月29日

ドーバー海峡横断の女の人って実際いたんですよね。
私は子供の頃そういう海外のニュースを見た記憶があって、なんかそのスケール感が全然理解出来なかったのを思い出しました。
そういうのを挟み込みながらリアルを感じさせていく手法なんですね。

asica
としぱぱさんのコメント
2014年2月13日

近大さん
こんばんわ。

私もこの作品は心に残っています。
ただし、少しモヤモヤとした、違和感が
あり、いずれもう一度見てみようと思った
作品の一つなのです。
近大さんのレビューみて思い出しました。
今週末にも見てみます。

疑問が解ければレビュー書き直します。

としぱぱ