劇場公開日 2009年2月7日

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「育ての母の無上の愛。そして、二人の実らない恋。」ベンジャミン・バトン 数奇な人生 勝手な評論家さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0育ての母の無上の愛。そして、二人の実らない恋。

2009年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

実は、あまり見に行こうと思って居なかったんですが、2008年度第81回アカデミー賞で、最多の13部門(作品賞、主演男優賞(ブラッド・ピット)、助演女優賞(タラジ・P・ヘンソン)、監督賞(デヴィッド・フィンチャー)、美術賞、撮影賞、衣装デザイン賞、メークアップ賞、作曲賞、音響賞、視覚効果賞、脚色賞、編集賞)にノミネートと言う話を聞いて、見に行ってみました。アカデミーに功罪はありますが、それでも、アカデミーノミネート作品に駄作は無いと思ったので。

人が若返って行くなんていう話は、ファンタジー以外にはありえないんですが、ファンタジーがファンタジーでなく作られています。物語は、次第に若返っていくブラッド・ピット演じるベンジャミン・バトンが、タラジ・P・ヘンソン演じる育ての母クイニーに優しく育てられながら、ケイト・ブランシェット演じるデイジー(雛菊なんて、凄い名前ですね)と衝撃的な出会いをし、それぞれ別の人と恋をした後、二人で一緒になる・・・かと思いきや、別れてしまうと言う恋物語(長い説明でスイマセン)。別に物凄いジェットコースター物語と言う訳ではないんですが、お互いを思いつつ、なぜかすれ違う二人の姿は、正に悲哀ですね。人の愛(育ての母の愛、恋人との成就する事の無い愛)を描いた映画と言って良いんでしょうね。

アカデミー主演男優賞にノミネートされているブラッド・ピットの事はさておき、意外に、ベンジャミンの育ての母クイニー役のタラジ・P・ヘンソンが良いです。見ず知らずの、しかも、不気味な姿をした赤ん坊を育て上げる愛情たっぷりの女性の姿を、存在感たっぷりに演じています。助演女優賞ノミネートも納得です。

物語の舞台は、あの大被害を出したハリケーン・カトリーナの日のニューオリンズ。映画の最後に、時計が洪水に流されてしまうという映像は、何か象徴的なモノを感じました。って言うか、その時計が掛け替えられたと言うこと自体が、ベンジャミンそしてデイジーの人生を象徴する事だったのかもしれません。

不思議な話の割りに、何故か不条理な感じはせず、結構見入る事が出来た映画なんですが、物語の結末が思いっきり端折った感じがするのは、ちょっといただけません。もっとも、その頃のベンジャミンを描こうとすると、ブラッド・ピットを使うのはもはや不可能なので、仕方が無いとも言いますが。まぁ、最後はそんな感じですが、全般的には、良い意味で裏切られました。

勝手な評論家