「静まり返る劇場」ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 profiler_Zさんの映画レビュー(感想・評価)
静まり返る劇場
公開初日IMAX初回に劇場ど真ん中で鑑賞。
上映前もエンドロールの最中も誰の声もしないほどに、劇場全体が静まり返っていて客席の期待と緊張と興奮と、そして最終へ突入の複雑な心情が伝わってくるような回でした。
より一層ダークさを増して、無邪気な魔法使いの物語はもうどこにもないのだと思い知らされる作品です。
前回までの流れや予告の通り、ハリーたちとボルデモード卿率いる悪とのバトルも激しく、多数の犠牲者を出しながら話はどんどん進んでいきます。
死と背中合わせの危険な旅と謎解き、誰も信じられなくなった時に現れる小さな救世主。
出会いと別れ、絶望と希望、クライマックスへ向けて加速する物語。
しかし私が今回一番印象に残ったのは、冒頭のハーマイオニーの「両親との決別の決断」でした。
自分の存在を忘れてもらうことで、マグルである両親を死の危険から守ると共に、自分のホグワーツや仲間たちの中での立場を自覚した彼女の辛く悲しい、でも凛とした潔さを感じました。心の中でハーマオイニー凄い!と涙しながら拍手を送ってしまいました。
戦いにひとり旅立つ彼女の後姿が戦に臨む武士のようで、その後の厳しい戦いを物語っていて秀逸でした。
しかし両親共に魔法使いであるウィズリー家はそれ故に、家族全員で命の危険を超えて悪と戦わざるを得ないわけで、ハーマイオニーとはまた違った悲しみや苦しみがロンにはありました。
そして、両親のいないハリーもまたそれ故の苦悩があるのです。
それらが、あのテントでの分霊箱の影響下での仲間割れに繋がるところが、巧いなと思いました。
作品全体のテーマの大きなひとつである、「家族」や「友情」は形は変えても、近くに居ても離れていても一生物だというメッセージなのでしょう。
もう一度見るともっと違ったものが見えてくるかも知れないなと感じています。
最終作となる次回作が本当に待ち遠しく思います。
追:分霊箱のひとつであるペンダントの影響を受けてロンやハリーの人格が変わるのを見ながら、ペンダントにした「指輪」の悪に憑りつかれるフロドやサムを思い出したのは私だけではないでしょうね(笑)
それと、ハーマイオニーの小さなバッグ所望!荷物をたくさん持たなくて済む(笑)