「新たな冒険へ旅立つ勇気を肯定してくれる映画」カールじいさんの空飛ぶ家 ともさんの映画レビュー(感想・評価)
新たな冒険へ旅立つ勇気を肯定してくれる映画
まずははじめの10分ほどの映像でもう泣かされる。笑
どこにでもありそうで、でも美しく尊い人生。
おじいさんにとっては、この家がおじいさんの人生そのものであり、奥さんと過した証でもある。
子ども時代からゆっくり振り返ることで、おじいさんとまだ歳が離れている子どもたちにも伝わりやすく、この家に執着するおじいさんの心情にも感情移入しやすくなっていると思う。
そして少年との出会い…。老人の手伝いを「しなくてはならない」と言って訪問してきたのは結構リアル。笑
立ち退きを要求する人達、老人ホームの人達、「お手伝いさせてください」少年…ひしひしと伝わる高齢者の現実がちょっと可笑しくコミカルに映される。
重厚なつくりだったのはそこまでで、その後は案外ポップな冒険譚!
空飛ぶ家に乗って、手書きの地図を片手に、未知の世界を冒険し、不思議な動物と出会う…!!「そうそう、これこれ!」と言ってしまいたくなる、シンプルでいてどこか懐かしい冒険譚!
自分自身が冒険にワクワクするというのはもちろんあるけど、おじいさんがずっと夢に抱いていた冒険に心を踊らせているのがとても伝わってきて、胸が熱くなった!
おじいさんと少年と鳥(名前忘れた笑)の掛け合いも微笑ましくてとてもよかった。
家の中の物に強く執着していたおじいさんが、少年や鳥やおじいさん自身の冒険という新しい宝物を見つけたことによって、(奥さんとの約束の地に)家の中のものを置いて空に飛び立っていくのは、感慨深いものがあった。
エンドロールの、アルバムもとっても可愛かった!
分かりやすく色んなメッセージが散りばめられた、伝わりやすい映画だったのではないかなぁと思う。
個人的に、祖母が亡くなって祖父が残され…という現実を最近目の当たりにしたので、大切な人との別れから簡単に気持ちを切り替えることはできないよなぁと思ってる。
でもだからこそ、
「人との別れがあれば新たな出会いもある。1つの冒険が終わってしまっても、また新たな冒険を始めることができる。故人との思い出を胸に、また新たな思い出をつくっていってもいいんだよ。」
と、希望に満ちたメッセージを贈ってくれたこの映画が、誰かにとっての救いになったらいいなぁと思う。子どもたちが観て、なにかを受け取ってくれたらなぁとも思う。
観て損は無い映画だったと思います。