「アレレ?たけしはどこに出ていたの!」ギララの逆襲 洞爺湖サミット危機一発 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
アレレ?たけしはどこに出ていたの!
『宇宙大怪獣 ギララ』が公開されたのは1967年のことでした。だから40年ぶりの復活です。舞台挨拶で、河崎実監督は怪獣映画を撮るのが夢だったと語りました。
この日河崎監督は、アユラの『日本の監督』特集に自分の名前がなかったことをしきりに気にしておりました。今までのベタな作品の数々を思えば、やむを得ないことでしょう。しかし本作は、夏木陽介の大御所に、なんとビートたけしまで出演している豪華版。
あと怪獣評論家として、本人名でみうらじゅん、リリー・フランキーのほか、水野晴郎まで登場。水野さんは、これが遺作になりました。あの名台詞もばっちり決めていましたよ。でもこんな映画が最後なんて、ホントよかったのでしょうかね。
作品は、まさに大人の夢が実ったというべき作品で、CGを使わない伝統的な怪獣映画そのものでありました。その点では年配の人が見たらノスタルジーすら感じさせます。台詞も国際関係をネタにしたウイットに富むもので、今話題のニュースペーパーが笑いをとっていて、彼らのライブショーの延長みたいな作品でもあります。ネタ的にはちびっ子には難しいところもあるかもしれません。
そんなわけで、まさにオトーサンのための怪獣映画といっても過言ではないでしょう。
ただね、予算の関係か(^^ゞギララは洞爺湖についてからはあまり動こうとしないのです。ゴジラのように破壊尽くしてこその怪獣映画であると思いますよ。
それとギララに立ち向かうサミット参加諸国自慢の撃退作戦がしょぼくて笑わせます。 ある国の元首が考えた毒ガス作戦では、ギララが笑い転げたり、阿波踊りをするところなんぞ仕草がおかしかったです。
見所は、やはりニュースペーパー。彼らの演ずる安倍前首相が伊部首相を、小泉元首相が大泉前首相に扮するという二重の設定なんです。えっ福田首相はどうしたって?舞台挨拶では登場した「福田首相」曰く、映画を撮っているとき自分が公開時期まで首相で居続けているとは思えなかったので、出演を辞退したそうです。でも渡部又兵衛は別な役でちゃんと出ていましたよ。
そしてこの大泉前首相がくせ者。各国のベタなギララ対策が頓挫していくなかで突如核攻撃を主張し始めます。この発言には、この作品最大のどんでん返しが用意されていました。果たして核をテポド~ンと打てという大泉前首相の本当の正体は!?
もう一つの見どころは、役者生命をかけた加藤夏希と加藤和樹の「ネチコマ」踊り。地元に昔から伝わるタケ魔神信仰。ギララ征伐はタケ魔神におすがりするしかないという村人たちが踊るのがこの「ネチコマ」踊り。それはちょうどビートたけしのコマネチホーズを逆にしたものでした。これを大まじめに踊る主役の二人の真剣さがおもしろかったです。
それにしても、情けないほどお寒いサミット諸国と日本政府のギララ対策。こうなったらみんなで「ネチコマ」踊って、タケ魔神を呼び出すしかないのでしょうか。
それにしても、この作品。出演ビートたけしとなっていますが、アレレ?たけしはどこに出ていたのかわかりませんでした。まさかあのかぶり物が・・・(^^ゞ
追伸
舞台挨拶で、ニュースペーパーの生コントと音楽を担当したデブパレードの挨拶が聞けて満足できました。