センター・オブ・ジ・アース : 映画評論・批評
2008年10月21日更新
2008年10月25日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほかにてロードショー
「いまさら立体映画なんて」と思われる方にこそ見てほしい
この映画にドラマの深さや、科学的合理性などを求めてはいけない。あくまでも視覚的インパクトのみを追求しており、テーマパークのアトラクションを92分間楽しむような作品である。そしてその効果がもっとも発揮されるのが、全国最大57館において公開される3Dバージョンである。「いまさら立体映画なんて」と思われる方にこそ見てほしい。監督を務めたエリック・ブレビグは、ディズニーランドの立体アトラクションを数多く手がけ、最近はILMでVFXスーパーバイザーを務めていた人物だ。おまけに15歳から独学で立体映像を研究していた超3Dマニアでもある。そんな彼が演出しているのだから、ツボは完全に理解しているし、問題が生じないように細部まで完全な映像設計がなされている。
ちなみに日本では、Real D、Dolby 3D、XpanDの3方式で立体上映が行われる。実際に各方式でこの映画を見比べてみたが、劇場によって見やすさや疲労度に若干の差が感じられた。これは映写機のランプの明るさや、眼鏡のデザインの違いなどによるものと考えられる。ともあれ来年以降、ハリウッドの立体作品が急速に増えていくが、その時3D上映設備を持たない劇場は対応に困るだろう。それはミュージカル映画をサイレントで上映するようなものだからだ。観客に不公平感を与えないためにも、設備の導入を急いでほしい。
(大口孝之)