「仏頂面の仏女の不条理極まりない逆恨み。怖~っ・・・」譜めくりの女 ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)
仏頂面の仏女の不条理極まりない逆恨み。怖~っ・・・
<ストーリー>
少女メラニーは肉屋の娘。決して裕福ではない生活の中で両親は好きなピアノのレッスンを続けさせてくれた。そして彼女は遂にコンセルヴァトワールの入学試験を受けることとなる。
これが駄目ならピアノの道を諦めるつもりで臨んだ実技試験の最中、人気ピアニストで審査委員のアリアーヌが、メラニーの演奏に集中していないのが気になり、メラニーは演奏を止めてしまい、アリアーヌに叱責される。再度演奏を再開してももう動揺してしまい、ミスタッチを連発。彼女はピアニストの夢を諦める。
十数年後、成長したメラニーは、名高い弁護士ジャン・フシェクールの事務所で、見習いとして働き始める。堅実な働き振りに信頼を獲得していくメラニー。そんなある日、ジャンが出張の間、息子のトリスタンの面倒を見てくれる人を探しているのを知った彼女は、自ら申し出るのであった。
<個人的戯言>
【♪レ~ジ~メ~♪】
仏女怖~っ!いくら試験落ちるきっかけ作ったとはいえ、ここまでするか!ショスタコーヴィッチ、バッハ、シューベルトのピアノ曲や三重奏曲、更に映画のオリジナル曲が、最初から不安を駆り立て、次第にピアニストの女性が追い込まれていくのを煽ります。「譜めくりの女」の無表情さも怖~っ!
ちょっと残念なのが、まず前提としてある、ピアニストが不安定になる原因が、その後出てくることがなかったこと。それも・・・なら・・・更に彼女の電話をしているシーンも、深読みすれば○ぐるみ?と思わせますが、これもスルー。そこをうまく使えばもの凄い「不条理女」になれたのに・・・
【ぐだぐだ独り言詳細】
そらまあ試験落ちたきっかけを作ったのはピアニストかもしれないけど、そもそも実技試験中に入ってくる人が悪いと思し、そもそも試験中にそんなものに気を取られる本人が一番悪いと思うけど・・・完全な逆恨み。少女時代から大人に成長しても、ず~とほとんど表情が変わらないのが余計怖いです。仏にはこんな逆恨み無表情女、いっぱいいるんでしょうか・・・J'ai peur!(仏語で「怖~っ!」)
この不安を更に煽るのが、終始流れるクラシックのピアノ曲と三重奏曲、更に映画のオリジナル曲。オープニングから、まるで全てが意味あり気な感じに見えてくるくらい、執拗に奏でられます。当然「不安なシーン」は煽りまくり。無表情な「譜めくり女」の不気味さと、追い込まれていくピアニストの青ざめた表情をクローズ・アップしていきます。
一つ残念なのは、ピアニストが「譜めくり女」が来る前に、既に不安定になっていた原因が、その後全く触れられなかったこと。最初聞いた時はてっきり・・・と思いましたが、完全に忘れられてました・・・更に「譜めくり女」の電話シーンで彼女が言う「Tout va bien」(訳では「問題ない」としていましたが、直訳すれば「全てうまくいっている」となります)が意味深・・・ってこれもスルーかよ!もう一押しあれば、この不条理過ぎる「逆恨み」も箔が付いたと思うのですが・・・