シネマ歌舞伎 野田版 研辰の討たれのレビュー・感想・評価
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天晴じゃあ!!
映画と違って舞台っていうのは、舞台上でしか表現できない、ある意味ワンシチュエーションの縛りがあるようなもの。それをどれだけダイナミックに魅せるかで、観客の頭の中の世界が無限に広がっていく。その点で、この映画は見事。一糸乱れぬ躍動感と、滑稽極まるセリフと動きの応酬。歌舞伎とは、これほど一体感のある団体芸だったのかと惚れ惚れする。
そしてなにより、勘三郎。いい役者だなあ、と何度もつぶやいてしまった。そして、惜しいなあ、とも何度も。二人の御子息を含め、この時の若手が今、絶頂期。落語界の志ん朝や、浪曲界の武春のように、早逝の芸達者の面影は、後継者の芸を見るたびに瞼に浮かんでくる。それは、悲しいことでもあるけれど、それを感じることは喜びでもある。
幕が下りたあと、心の中で惜しみない拍手を送った。
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