劇場公開日 2008年11月22日

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「正直観入りました。」ブラインドネス Aさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0正直観入りました。

Aさん
2016年10月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

興奮

難しい

これこれ。私が中学生くらいの頃に予告を観てからずっと観てみたかった作品なのですが、なんだかんだで手に取らず観てきていませんでした。
そのことを激しく後悔。
なんでもっと早く観なかったんだろう!それくらい面白かった。

きちんとしたあらすじなんかは他の素晴らしいレビューサイト・ブログさんを読んで戴ければ幸いです。
簡単に言えば
①日本人男性唐突に謎の失明、次々に感染。条件等は全て不明。最初の感染者を診た医者も感染するが何故か医者嫁(主人公)は感染せず。
②感染者、廃病院に隔離。医者も隔離されるが心配した医者嫁もそれに無理矢理着いて行くことに。感染者は増加、隔離病院に人が溢れる。
③病棟ごとの派閥が生まれる。主な争いは食料配分について。食糧をひとりじめしたい病棟は他の病棟に金品や女を対価として要求。
④対価として悪派閥へ向かった女性陣のうちひとりが殺された(レイプ中に殴打される?)のを切っ掛けに悪派閥への抵抗を試みる者たちが出てくる。戦争が始まりそうになるがひとりが悪派閥に火を起こし病棟が火事になる。
⑤主人公・夫と最初の感染者らを含む善良感染者らは病棟を脱出。他の感染者らも脱出?荒れ果て感染者に溢れる街を彷徨い食糧等を調達。
⑥全員で主人公らの自宅へ。人間らしい生活を取り戻し始め、家族同然の絆が生まれる。
⑦次の日目覚めると最初の感染者の目が見えるようになっている。全員歓喜、自分にもと希望が生まれるが 主人公だけは虚ろな表情。“次は自分が見えなくなる番だ”。

って感じです。拙文でごめんなさいそれから抜けている部分があるかも。

正直観入りました。
ソリッドシチュエーションスリラーというのは私の大好きな映画ジャンルでありますが、映画esを観てからソリッドでもスリラーでもないシチュエーション系映画も面白いなと感じつつあります。
今回は 原因不明の感染性の失明する奇病が爆発的に流行したら人間はどうなってしまうのか~ってところなんですが、なんとも人間らしくない生活を送ることになってしまいます。
糞尿垂れ流しは勿論、男女混浴なんて当たり前。だってどうせ、見えないんだから。
だからと言って軍隊は何もしちゃくれません。感染を恐れカメラで感染者の脱走を防止し、防止出来なければ遠くから射殺するだけ。毎日の食事はきっちり持って来てくれますが、配分配膳等は知ったこっちゃないって具合です。
私の住んでいる熊本では以前ハンセン病や水俣病という病気が流行り?まして、実際は感染性の奇病でもなんでもないものなんですが無知ゆえの隔離が行われていたと聞きます。無知の恥というのはよく私も心に留めている言葉なのですが、わからないもの、臭いものには蓋をしろ精神なんて何処にでもあるものなんでしょうね。感染が怖くて隔離しろという軍の気持ちもわからないではありませんしね、綺麗事だけではやっていけないんだということです。
勿論 今作中の原因不明の感染症と 前述の実際に起きた病気らが同じということではないので絶対に勘違いをなさらないように。

ところで私は視力が弱く、まともに生活しようと思ったら眼鏡かコンタクトが無ければやっていけません。これは病気でもないんですけどね(笑)酷くはないですが私の目の病気と言ったら結膜炎くらいです。痒くて堪らん。
でももしこの世から眼鏡もコンタクトもなくなったら?と考えたら怖くて堪らない。一日でも生きていられるかわかりません。そりゃあ精神状態もおかしくなるでしょうね。愛する者の姿も見られない、自分が何処に居るのかもわからない。目というのは脳並みに大事なものだと再認識させられました。

さっきからesエス言っているけれど、そう言えば私の大好きな鬱映画The MISTも人間の本質というか極限状態を描いた映画だったね。
結局人間なんて自分が良ければ自分さえ助かればどうでも良いんじゃないの。助けるとしても身内とか恋人とか友人とかそこまで。自分らが生きるか死ぬかというときに赤の他人の命まで考えてられるか。
こういったシチュエーションの舞台を日本にした映画ってなにかあるんでしょうか。本作では最初の感染者・またその嫁は日本人ですが、周りも全員日本人なら展開は変わっていたのかな。日本人は皆他人に優しいからなんて言えませんが(道に倒れている他人を救えます?)、もうちょっと皆で協力したり何と無くでも仲良くしたりするんかなって思います。
ところでうちの大学で行われる心理学実験、まだ指名されないんだけどいつ指名されるのかいな。

一番好きだったのはラスト。結局最後まで原因不明なままの感染症。治療法すら解らない設定なのに、どうヲチをつけるの?予告編を観たときから私がこの映画で一番知りたかったのはどうエンドロールに持って行くかでした。
最初の感染者が見えるようになり、周りの仲間たち全員と喜びに包まれああ皆治るんじゃないかハッピーエンドじゃないか良かった良かった!という終わり方かと思わせといて、肝心な主人公だけはあまり浮かない顔をしているカットで先ず不安に。
それからナレーションが入りまた不安に。

その時、全員に同じ思いが浮かんだ
彼が最初に失明した男なら、自分達も順番に治る筈だ。
だからこの祝福は、自分の為でもあった
今後数日数週間、期待で眠れない日々が続くだろう
彼らはまた見えるのだ
今度こそ、本当の目が開かれる。
もう真実を見ることを恐れ、毛布を被る者はいない
この絆が消えてしまうのではないかと恐れる者もいない
では、今ひとり何故か黙り込んでいるこの女はどうか?
両肩に背負ったたいへんな錘から、突然 解放され何を思う?
彼女には じき街中から響いてくるであろう声が聞こえる、“見える!”と。
そして彼女は思った

“私が見えなくなる番だ。”

ぞわぞわ。
まあ、何故彼女だけ感染しなかったのかも解らなかったし(運かな)、特別な抗体を持っているなんて映画じゃないのでいつか感染することも有り得なくないですもんね~。
取り敢えず脱出した主人公の“家族”は全員生還でハッピーエンドですが、主人公だけは今後不安のバッドエンド。。。映画的には何エンドになるんでしょうね。
しかし平和的に考えるならば、最初から最後まで、一緒に脱出しなかった人間も含め何十人もの盲目の方を長い間御世話してきた人間なのですから、もし彼女が失明しようが皆が大々的なサポートをしてくれるだろうし、安全な自宅にいるしで心配しなくても全然大丈夫だと思います。
いや失明するであろうことがわかっているのに心配しなくて大丈夫というのも無理な話ですけどね。。。

兎に角面白い映画でした。
期待外れ!って書いているブロガーさん、レビュワーさんもいらっしゃいましたが個人的にはツボでした。野性的になった人間の理性に勝てない姿は観ていておぞましい。面白い。日本人夫婦の伊勢谷友介さんと木村佳乃さんが大好き。
Blu-ray欲しいです。中学生の頃にすぐレンタルしておけば良かったな~。

A