ブラインドネスのレビュー・感想・評価
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The kingdom of the blind. ハズレ
2020年に観るべき感染系の映画かなっと思ったら、そうでもありませんでしたね。
感染自体にそんな焦点が当たった話でもないですし、盲目になっているという設定ですが、どうしても盲目っぽい演技してますって感じでした。根本的に盲目の設定なくても似たような話作れないかな、これ?盲目にした意味あんの?
個人的には観なきゃ良かったと思うレベルでイライラした映画でした。
テーマが散らかっている
“白の病”と呼ばれる感染性の失明する病気が蔓延する世界が舞台。
感染パニックものです。
皆、目が見えないんだから、施設の中で、他人(ひと)の目を気にすることなくセックスをするカップル。
皆、目が見えないんだから、スコールが降り始める街の中で衣服を脱ぎ捨てて、素っ裸になる男女。
・・・・・・・
などが現れます。
皆、目が見えなくなったら、
「まあ、そうなるよな~(何も恥じらうことがなくなるよな~)」
と思いました。
ジュリアン・ムーアだけが目が見える。
“目が見える”ことの恩寵も描(えが)かれています。
食料を独占して金目の物&女を要求する失明者グループ(第3病室)が登場したり(悪党の台頭)と、
全体的にテーマが散らかっている作品。
観客からは見えてますよ・・・ジュリアン・ムーアさん。
全世界が失明するという設定からはパニック映画しか想像できなかった。人々は戸惑い、食料を求めて大混乱に陥る・・・やがて宇宙人が現れ、人間の脳味噌を食べ、地球を破滅に導くような・・・だけど、違った。
原因も感染経路もはっきりしないし、たった一人の女性だけが失明(厳密に言えば、ちょっと違う)しない。だけど、そんな疑問はどうでもよくなるくらいのシミュレーションが冴えていた。まずは伊勢谷友介が突如視力を失う。親切そうに彼の車で自宅まで送る男、診察した医者のマーク・ラファロ、そして伊勢谷の妻・木村佳乃、と伝染病のように次々と目が見えなくなっていくプロローグ。最初に感染した者たちは強制的に隔離施設に収容されるのですが、映画の大部分を占める収容所内での出来事が見事に描かれてました。
まるで文化センターの盲人体験のような光景が繰り広げられ、視覚障害者の苦労がよくわかる入院直後。しかし、生活をするとなると、食事や排泄などの過酷な状況もリアルに描かなければならない。また、ジュリアン・ムーアを除いて全員が盲人なので、外見も気にならなくなるし、中には人目(?)を忍んでセックスしちゃうカップルもいたりする。さらに人種の壁を越え、人間の本質を見つめるようになっていく過程も面白いのです。
最も興味深いのは、閉鎖された空間でいくつかのコミュニティが形成され、世界の縮図とも言うべきコミュニティ間の対立が激化してしまうこと。ラファロを中心とした共和国に対抗して、ガエル・ガルシア・ベルナルが「第三病棟の王だ」と宣言する軍事独裁国家が誕生。食料をめぐって一触即発の緊張感が続き、戦争が起こってもおかしくない状況になるのだ。もちろん、そこには不戦派もいるし、勇気をふりしぼろうとする奴もいる。こうして世の中には戦争が起こるのか・・・と胸がしめつけられるような気分になってしまいました。
もう一つのストーリーの軸は一人だけ目が見えることの心の乱れ。目が見えないからこそ人の心が見えてくる・・・といった能力がムーア一人だけが得られないのだ。それに皆の世話をしたりするのも心労が絶えないだろうし、せいぜい防毒マスクを装備した軍人をからかうことで気を紛らわせるしかないといった感じ。連帯感も一人だけ中途半端だったことは、最初に身を売ることになったときに、凶器を使って楽に暗殺できたのにほとんど反抗できなかったことでもわかります。
終盤は荒廃した街並みと彷徨う人々を映し出しますが、ここにきてストーリーは落ち着きを見せ、テンションも下がってきました。異常な経験の中での連帯感や人種を越えた愛情などは微笑ましくも感じるけど、映画全体の印象まで薄くなってしまいました。
日本語にまで字幕が付いていたのは聴覚障害者にも配慮したためか?などと考えながら観ていると、意外にも笑えるシーンがいっぱいありました。特にサングラスをかけた娼婦のアリシー・ブラガの行動。誰も見てないってのに、気にしちゃって・・・職業も隠したままだったけど、ダニー・グローヴァーが美味しいところを持ってっちゃったので良しとしましょう。
きついわ
戻った後に、気持ちよく過ごせるか。
人として、どうあれるのか。
正直観入りました。
これこれ。私が中学生くらいの頃に予告を観てからずっと観てみたかった作品なのですが、なんだかんだで手に取らず観てきていませんでした。
そのことを激しく後悔。
なんでもっと早く観なかったんだろう!それくらい面白かった。
きちんとしたあらすじなんかは他の素晴らしいレビューサイト・ブログさんを読んで戴ければ幸いです。
簡単に言えば
①日本人男性唐突に謎の失明、次々に感染。条件等は全て不明。最初の感染者を診た医者も感染するが何故か医者嫁(主人公)は感染せず。
②感染者、廃病院に隔離。医者も隔離されるが心配した医者嫁もそれに無理矢理着いて行くことに。感染者は増加、隔離病院に人が溢れる。
③病棟ごとの派閥が生まれる。主な争いは食料配分について。食糧をひとりじめしたい病棟は他の病棟に金品や女を対価として要求。
④対価として悪派閥へ向かった女性陣のうちひとりが殺された(レイプ中に殴打される?)のを切っ掛けに悪派閥への抵抗を試みる者たちが出てくる。戦争が始まりそうになるがひとりが悪派閥に火を起こし病棟が火事になる。
⑤主人公・夫と最初の感染者らを含む善良感染者らは病棟を脱出。他の感染者らも脱出?荒れ果て感染者に溢れる街を彷徨い食糧等を調達。
⑥全員で主人公らの自宅へ。人間らしい生活を取り戻し始め、家族同然の絆が生まれる。
⑦次の日目覚めると最初の感染者の目が見えるようになっている。全員歓喜、自分にもと希望が生まれるが 主人公だけは虚ろな表情。“次は自分が見えなくなる番だ”。
って感じです。拙文でごめんなさいそれから抜けている部分があるかも。
正直観入りました。
ソリッドシチュエーションスリラーというのは私の大好きな映画ジャンルでありますが、映画esを観てからソリッドでもスリラーでもないシチュエーション系映画も面白いなと感じつつあります。
今回は 原因不明の感染性の失明する奇病が爆発的に流行したら人間はどうなってしまうのか~ってところなんですが、なんとも人間らしくない生活を送ることになってしまいます。
糞尿垂れ流しは勿論、男女混浴なんて当たり前。だってどうせ、見えないんだから。
だからと言って軍隊は何もしちゃくれません。感染を恐れカメラで感染者の脱走を防止し、防止出来なければ遠くから射殺するだけ。毎日の食事はきっちり持って来てくれますが、配分配膳等は知ったこっちゃないって具合です。
私の住んでいる熊本では以前ハンセン病や水俣病という病気が流行り?まして、実際は感染性の奇病でもなんでもないものなんですが無知ゆえの隔離が行われていたと聞きます。無知の恥というのはよく私も心に留めている言葉なのですが、わからないもの、臭いものには蓋をしろ精神なんて何処にでもあるものなんでしょうね。感染が怖くて隔離しろという軍の気持ちもわからないではありませんしね、綺麗事だけではやっていけないんだということです。
勿論 今作中の原因不明の感染症と 前述の実際に起きた病気らが同じということではないので絶対に勘違いをなさらないように。
ところで私は視力が弱く、まともに生活しようと思ったら眼鏡かコンタクトが無ければやっていけません。これは病気でもないんですけどね(笑)酷くはないですが私の目の病気と言ったら結膜炎くらいです。痒くて堪らん。
でももしこの世から眼鏡もコンタクトもなくなったら?と考えたら怖くて堪らない。一日でも生きていられるかわかりません。そりゃあ精神状態もおかしくなるでしょうね。愛する者の姿も見られない、自分が何処に居るのかもわからない。目というのは脳並みに大事なものだと再認識させられました。
さっきからesエス言っているけれど、そう言えば私の大好きな鬱映画The MISTも人間の本質というか極限状態を描いた映画だったね。
結局人間なんて自分が良ければ自分さえ助かればどうでも良いんじゃないの。助けるとしても身内とか恋人とか友人とかそこまで。自分らが生きるか死ぬかというときに赤の他人の命まで考えてられるか。
こういったシチュエーションの舞台を日本にした映画ってなにかあるんでしょうか。本作では最初の感染者・またその嫁は日本人ですが、周りも全員日本人なら展開は変わっていたのかな。日本人は皆他人に優しいからなんて言えませんが(道に倒れている他人を救えます?)、もうちょっと皆で協力したり何と無くでも仲良くしたりするんかなって思います。
ところでうちの大学で行われる心理学実験、まだ指名されないんだけどいつ指名されるのかいな。
一番好きだったのはラスト。結局最後まで原因不明なままの感染症。治療法すら解らない設定なのに、どうヲチをつけるの?予告編を観たときから私がこの映画で一番知りたかったのはどうエンドロールに持って行くかでした。
最初の感染者が見えるようになり、周りの仲間たち全員と喜びに包まれああ皆治るんじゃないかハッピーエンドじゃないか良かった良かった!という終わり方かと思わせといて、肝心な主人公だけはあまり浮かない顔をしているカットで先ず不安に。
それからナレーションが入りまた不安に。
その時、全員に同じ思いが浮かんだ
彼が最初に失明した男なら、自分達も順番に治る筈だ。
だからこの祝福は、自分の為でもあった
今後数日数週間、期待で眠れない日々が続くだろう
彼らはまた見えるのだ
今度こそ、本当の目が開かれる。
もう真実を見ることを恐れ、毛布を被る者はいない
この絆が消えてしまうのではないかと恐れる者もいない
では、今ひとり何故か黙り込んでいるこの女はどうか?
両肩に背負ったたいへんな錘から、突然 解放され何を思う?
彼女には じき街中から響いてくるであろう声が聞こえる、“見える!”と。
そして彼女は思った
“私が見えなくなる番だ。”
ぞわぞわ。
まあ、何故彼女だけ感染しなかったのかも解らなかったし(運かな)、特別な抗体を持っているなんて映画じゃないのでいつか感染することも有り得なくないですもんね~。
取り敢えず脱出した主人公の“家族”は全員生還でハッピーエンドですが、主人公だけは今後不安のバッドエンド。。。映画的には何エンドになるんでしょうね。
しかし平和的に考えるならば、最初から最後まで、一緒に脱出しなかった人間も含め何十人もの盲目の方を長い間御世話してきた人間なのですから、もし彼女が失明しようが皆が大々的なサポートをしてくれるだろうし、安全な自宅にいるしで心配しなくても全然大丈夫だと思います。
いや失明するであろうことがわかっているのに心配しなくて大丈夫というのも無理な話ですけどね。。。
兎に角面白い映画でした。
期待外れ!って書いているブロガーさん、レビュワーさんもいらっしゃいましたが個人的にはツボでした。野性的になった人間の理性に勝てない姿は観ていておぞましい。面白い。日本人夫婦の伊勢谷友介さんと木村佳乃さんが大好き。
Blu-ray欲しいです。中学生の頃にすぐレンタルしておけば良かったな~。
本質、真理、答え
ある日、突然視力を失う感染病が人類を襲い、それに立ち向かう物語。
本当に大切なものを考えさせられる良作です。
なにが言いたかったの?
もう少しパニック要素を期待していたのだけれど、終始スローテンポで長かったでです。
何を言いたかったのか、それがいまいち伝わってこなかった。もちろん、終盤でパウロに関してあからさまな聖書への言及があり、それが主題に関わってくるのであろうことはわかります。正直聖書を読んだことがあれば結末でさえすぐにわかります。テーマは「見えなくなって初めて見えるもの」、パニック映画にはありがちですが、人々は上っ面の善意を捨てて自分のためだけに生きていきます。そこで問われる真価、見えなくなって気付くこと。でも、結局なんだったの?って感じになりました。最後まで観ると、結局なにも起こらなかったように思えて仕方がない。最後の台詞はかなり含意に富んでいますが。
ただただ暗い収容施設でのシーンもいまいち。残酷なコミュニティを演出したかったのだろうけど、ひとつひとつの要素はどのパニック映画にもある月並みなもので、女性が身体を要求されるのもなんだか女性たちの葛藤がなかったので辛さが伝わってこず。なによりひとり目が見える妻があまりにも異常な有徳者。そこでリアリティがゼロに。そして妻はひとりだけ目が見えるくせにやけに頭が悪いんですよね。いちいち行動に突っ込みどころが。
第三病棟の王誰かと思ったら「恋愛睡眠のすすめ」の岡田准一くんじゃないですか。
大臣はどこにいたのだろう笑 やっぱりお偉いさんは別の施設にいたのかな。
名前がないという仕掛けもいまいち活きてなかった気がして、原作を読んでみないと駄目だなと思う映画でした。
盲目な人々だけでは人類はさっさと滅びます
総合55点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
かつての世界と社会が崩壊して、新しい社会にそれまでと異なる新しい秩序が形成される過程は人間の持つ欲望や本質が描かれていて興味深かった。唯一目が見える主人公が抱える義務感や使命感と、結末に彼女が抱える不安の対比も悪くない。
でもそのようなものを何がなんでも描くために、物語の現実性を無視した強引な設定が目に余る。世界中が破綻しているようだし、盲目の人たちだけになった世界で人々が食料の確保など出来ないから生き残ることなど出来はしないだろうし、通常の人々やあるいはその死体はいったいどこにいってしまったのだろうか。現実の世界で起こりうることを描こうとしつつ、実は現実世界ではこのようなことはありえない。その設定の甘さが気になった。それに原作が文学作品なので娯楽性は低くてそんなに面白いというものでもない。
世の不条理を映し出す作品。
障害者の方には申し訳ないが、私達が日常で当たり前に備える視力というもの。これがある日無くなってしまったら・・。人は弱い生き物なのだ。視力を無くし、政府から隔離された中でも、欲望に負けて、同じ人を虐げて、利を得ようとするものが現れる。絶望の中、決して略奪や虐めをせずに強く生きる。この作品は今の世をシュールに映し出す。戦争や虐めはある日、必ず、逆の現象を引き起こす。人類は弱い生き物なのだ。だが、希望を捨ててはいけない。明日に向かって生きる、それが、大事なんだ。
勃起はしました
設定が適当すぎて話に入れない。
おそらく初期感染者と思われる主人公をいきなりあんなトコに
放り込まないでしょ?時代や国はわからんが。
レイプするならもっとはよやれや。
いきなり銃持ちだしたら、別の話になるでしょ・・・
途中から目の見えない設定はほとんど意味がなくなってる。
仮に目の見える別の伝染病でも同じ話になる。
監督や役者に思い入れのある人は別にして、この映画を
いいとか言ってる人はアホとしか思えない。
あんまりむかついたので汚い文を書いてしまいました
アホとか言ってごめんなさい。
凡作ではないが佳作とも言えず
観賞後に原作者がノーベル賞受賞作家だと知ったり、監督が割と実力派として知られる人だと知ったが、観賞時にはそれら情報を得ていなかったので、先入観なくそのままの感想を述べたい。
作品内容はいわゆる不条理文学モノであって、SFはおろかサスペンスですらない。
こういった形而上の哲学性を題材とした作品にリアリティを付与しようとした痕跡が見られるが、まずこの取り組みには失敗していると感じた。
そもそも観念的に描写することでのみ成立する内容なので(登場人物たちにはほぼ全編を通じて「映像」が存在しないため)、現実味を帯びさせるには聴覚描写の他に匂いや温度、触覚、味覚といった要素を具体的に映像とする必要があっただろう。
このリアリティの欠如が作品の持つ観念性の哲学を、観客に対してチープに感じさせてしまっている。
このことによって、中盤以降の展開がどうにもお粗末に感じられるのだ。
物語の結論よりも先ず、この作品そのものが「映画よりは演劇に近い」ということを感じた。
少なからず、見えないということを描くことにはこの作品は失敗しているのかもしれない。
作品全体を通して描きたかったものが何となく分かるだけに、惜しいと思った。
人は原始に還る
雨を喜び、火を喜ぶ。
視力を失えば人は原始の生活に立ち返ります。
視覚を失ったという事を表す為に音、触感の表現が豊かに成されているのが特徴。
(嗅覚の表現はなかったかな…)
窓から漏れ聞こえるピアノの音に心奪われ、雨の恵みには体を洗い、たらいを持って水を溜める。
道を雨が伝い川になり、インドの沐浴のような神聖さがある。
希望と少しの不穏を残して終わる。
良い映画でした。
人って・・・
次々目が見えなくなる人々の中で
たった一人だけ目が見えるという特殊な状況に陥る1人の女性。
あまりいうとネタバレなんで書かないですが、
ほんとに途中は人の汚さに心が重くなり見てられないシーンも…
でも助け合って生きていく良い一面も!
人って紙一重の生き物なんだなと考えてしまう、なかなかのヒューマンドラマでした。
しかし、結末は無理矢理っぽくて私的にあまり好きじゃないかなー。
子供たちより大人に見てほしい作品です。
盲目は人間の本性を炙り出す。
日本人男性から突如始まった「白の病」と呼ばれる失明。
突然、目の前が真っ白になり何も見えなくなるという原因不明の病気は、急速に広がって行きます。
旧精神病院の建物に隔離された感染者達は、ろくな設備もなく衛生状態も最悪な状況の中で、次第に「人間の本性」をむき出しにしていきます。
突然、目が見えなくなってしまった人々のパニックを描いただけの映画ではありません。どちらかというと、その先にあるもの・・・を描いた作品だと思います。
中盤から後半にかけては、目を背けたくなるような場面も出てきます。でも、人類の全てが失明してしまって無政府状態になってしまったら・・・。
全くあり得ない話では無いんじゃないか?と思えるところが怖いですね。
何故か唯一目が見える女性と行動を共にした人々には、人種や立場を超えた連帯感が生まれます。これが作品中の唯一の救いです。
突然に始まった「白の病」は、突然に終わりを迎えます。
その後の希望を感じさせるラストの余韻が何とも言えない作品です。
絶望の中で見えてくるもの
悲しい
怖い
難しい
自ブログより抜粋で。
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冒頭から謎の病気が伝染していく様がえも言われぬ緊張感を伴いながらテンポ良く描かれ、病気の原因や医者の妻にはなぜ病気が伝染しないのかなどは謎のまま、状況だけがどんどん悪化していく。
原因不明の奇病によって世界が崩壊に向かう黙示録的内容は傑作『トゥモロー・ワールド』(2006年アルフォンソ・キュアロン監督)や今年公開された『ハプニング』(2008年 M・ナイト・シャマラン監督)を思い起こさせるが、極限状態で人間の本性が暴かれていくというプロットはスティーヴン・キング原作の日本では今年公開された『ミスト』(2007年 フランク・ダラボン監督)が近いように思う。
国や都市名はおろか登場人物の名前も排するほどの抽象化は普遍化を伴い、現実の世界情勢を連想させる。それは単純な善悪では割り切れない社会のありようを表す。
配役も一見「この人は善玉、こいつは悪玉」という布陣になっているが、善玉が常に正しい振る舞いを押し通せるわけじゃない。
時に欲望に陥落し、時に理性を超えた行為で我が身を守るしかない。そんな「生きるためにはしかたない」という正当化は悪玉にだって当てはまるのだ。
そんな本作の極限状況たるや目を背けたくなるありさま(PG-12指定)なのだが、本能的な人間の醜さと同時に人間の持つ優しさを忘れないバランス感覚が素晴らしい。
これは究極的な絶望を描ききってしまった『ミスト』からは感じられなかった作り手側の良心だ。
正直、人間の本性が露わになっていく過程は『ミスト』の方が巧みだった印象で、この『ブラインドネス』は少々類型的な気がしないでもない。
ただ前者は、作り手側の一人である筆者には「ここまで観客を絶望に陥れることは商業映画として必要なのか?」という疑問を感じてしまい、素直に評価する気になれなかった。
その点本作はおぞましいまでの絶望には変わりないのだが、支え合う人々に希望を見いだせる落としどころ、映画として救いのある意外なほど爽やかな感動で締めくくられ、鑑賞後感は比較にならないほど良かった。
何も見えなくなった絶望の中で見えてくるものは、やはり希望でなくちゃと思うのだ。
失敗!リアルとエンタメの狭間…
名作「シティ・オブ・ゴッド」の
フェルナンド・メイレレス監督。
「全人類が、突然盲目になったら?」
テーマは興味深いのに
リアルとエンタメの狭間を悩んでるような描写で
イライラする。
感動させたいのか?絶望させたいのか?
どちらかにしないと、観客は離れていく。
こだわり
予告編とかで流れていた感じがサスペンス風だったので観る前までの頭の中に入っていたイメージとは少し違うサスペンスではなくある意味のパニック作品だった。
しかし怖い。自分ならどうするとかを考えさせてくれる怖さ。眼が見える有り難さを痛感した。
何故、そうなったかを全く無視し主人公達の今ある現実だけに焦点を置き、世界的に蔓延してるのかをあえて入れないとこに別の意味で好感もてた。
しかし、途中ダラダラシーンやこのシーンいらないだろのとこありで完成度を下げているのが残念。
この作品で私個人評価を上げるのは細部にこだわった点。この作品に日本人2人出ているが、今までとは違うのは日本人同士だと日本語で話しているとこ。当たり前なんだが今までの作品にはあまり見られなかっただけにより良く感じた。びっくりした時、パニックになった時にまず出るのは英語じゃなく日本語にしてる点。当たり前だがそこをちゃんと抑えてるとこは感心した。
こういう作品を観ると今健康で暮らせていることに感謝したい。
微妙ではあるけれど
紛うことなき不世出の大傑作「シティ・オブ・ゴッド」のフェルナンド・メイレレスの新作は、ノーベル賞を受賞したポルトガルの巨匠、ジョゼ・サラマーゴの「白の闇」の映画化。
「かなり実験的な映画だなぁ」というのが第一印象だったけど、「もし、目が見えなくなったら」という恐怖は、観客誰もが共感できる題材だろう。そのパニック描写も、とても怖い。そういう意味では、十二分に見応えがある。
ただ、いかんせんストーリーが重過ぎるし、日本から参加してる伊勢谷友介と木村佳乃があまりに大根で愕然とする。特に伊勢谷。。せめてもう少しましな演技を見せていれば、作品から受ける印象もだいぶ違った気がするので、何とも残念。
と、ここまでけなしてきたけど、次回作はシェイクスピアのコメディを撮るというメイレレスが次のステップに進む段階で撮った作品なので、目撃しておく価値は多分にあると思う。
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