山桜のレビュー・感想・評価
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うーん…あらすじは好きだけれど
この映画を途中で放棄せず最後まで見れたのは、野江が結局どうなるのか、それだけが気になったから。
それ意外の面は、わたし的にはあまりヒットしなかった。
恋愛がいまほど自由でなく制約が多い時代に、ある不器用な女が、さんざん回り道をした末、昔からの知り合いだった渋い男(東山紀之カッコいいけど)に、やっと自分の居場所を見い出す。
回り道をしても、人生、最後に幸せになればいいのだ、という気持ちになれる。
でも、全体に月並みな感じ?…折角いい俳優さんたちが出ているようなのにその良さがイキイキ伝わってこない?
自然の描写も、セットも、台詞も、ありきたりで「取り敢えずこういうの出しておけばいいでしょ」的な気がして、別にどうでもよくなってくる。所々挟まれる音楽も何となく風景と違和感。
少し疑問点もある。
野江の家での夕食の真っ最中に、野江の弟が話し始め、みんな箸を止めてしまう場面。何となく違和感がある。もっとお行儀よく食事するのかと思っていた。
もっと「えっ?」と思ったのは、野江が弥之助の家を訪ねたとき、敷居や畳の縁を踏んだように見えた…。それって基本的な作法では?
ついでに、磯村家の跡取りも言ってたけど、野江の不幸そうな恨めしそうな表情は、私も見ていて結構ストレスがたまり、跡取りに少し同情してしまったりした。(その分、最後の方の表情は可愛く感じたけれど)
あらすじが気に入ったのなら、映画ではなく藤沢周平さんの本を読めばよかったのかな、と思った。
巡る想い
剣術を教える実直な武士手塚弥一郎を東山紀之さんが、二度目の結婚の嫁ぎ先で苦労を重ねる(武士の娘)野江を田中麗奈さんが可憐に演じる。
思慮深い両親が周囲の評判を調べないまま、大切な娘を嫁がせるものだろうか…と引っ掛かりを覚えましたが、日本の風景、所作が美しく描かれていた。
中でも、弥一郎の母親を演じた富司純子さんの気品ある表情、佇まい、美しい所作に見惚れました。
NHK-BSを録画にて鑑賞
想像が止まらない!
ラストをあやふやにする事が観客に対する優しさだと感じました。
全くヒントも与えられないラストに驚愕しましたが、ヒントがある程、私たちの想像の幅は狭まってしまいます。
時代劇に詳しくないのが幸いして、二人の幸せな未来を思い描くことが出来ると思いました。
派手さはないですが、登場人物の心情や時代背景が大変丁寧かつ恋愛物の時代劇ということもあり、新鮮な気持ちで鑑賞出来ました。
主役二人の凛とした様がとても素敵でした。そんなふたりが儚くて、心が切なく淡くなりました。
どんな結末を想像しましたか?
私は一般常識も取り入れつつ希望を込めて…
殿が弥一郎の家に野江が暮らしている事を知り、一日だけ帰宅を許す。野江は弥一郎との子供を産み、弥一郎の母と仲良く三人で暮らす…かなと。
超現実的パターンや超理想パターンなど、想像が止まらず楽しかったです。
藤沢作品の清々しさ
庄内地方と思われる山野の四季折々の美しさ、題名にある立派な山桜。日本の原風景をぜひ訪ねたい気持ちにさせる。
そんな土地を背景に、嫁ぎ先になじめず苦悩する主人公と、苦しむ農民たち。弥一郎という男の志が、主人公や農民たちに勇気と希望を。山桜の美しさと重なって清々しく爽やかに終わる。
田中麗奈は芯の強く自立しようとする主人公に似合っていた。夫に戒められる厳しい視線と信頼できる家族や用人たちとの優しい眼差しを見事に使い分けている。時代劇、和服の仕草や歩き方、彼女の役柄にさらに幅ができた印象を受けた。ここで、富司純子か、というのも良かったな。
最後の場面は安らげるが
総合65点 ( ストーリー:65点|キャスト:65点|演出:65点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
よくある物語で藤沢周平らしい内容だが、言い換えれば平凡な展開だったし、重臣が場内で暗殺されたというのに沙汰が出ないなど強引。藩士の会合や農民が集う場面などで出演者たちの科白の言い方は、いかにも覚えた科白を台本に書かれている順番通りに言っていますという不自然な感じだし、悲惨な農民の生活もあまり伝わってこないしで、あまりいい演技・演出ではない。田中麗奈にも東山紀之にも悪くはないが特に強い印象が残らなかった。
それなのに最後で相手の家を訪ねる場面は、辛い現実を経験した二人が心を通わせ美しくて安らかであった。予定調和な結末なのだけど、やっと安住の居場所が出来たのかもしれないという希望を見いだせた気がした。この場面は良かったし、母親役の富司純子の存在にほっとした。これがなければ作品全体にもっとがっかりしていた。
海坂藩の少年隊。
藤沢周平の同名短編小説を映画化した本作。
彼の時代小説が好きなので、もちろんこれも観るつもりで^^;
いやしかし~。
予想はしていましたが、それ以上に地味な作品でした。
確かに原作がそう(セリフもほとんど同じ)なんですけどね…。
ヒロイン野江に、時代劇初挑戦となる田中麗奈を起用。
彼女がどれくらい幸薄い武士の妻役を健気に演じられるか、
…だったんですけれど、まずまずだったと思います。
初挑戦らしく初々しい感じ?かな。儚さはあまり無く^^;
それでもって、相手役の手塚弥一郎に東山紀之なんですが、
これがねぇ~カッコ良すぎるんだな。さすがジャニーズ!
っていうか、少年隊!?殺陣も見事に決まっているので、
まぁ申し分はないのですが^^;海坂藩の平侍には見えない~。
第一、当時とはいえ、あのカッコ良さ(贔屓目に見ても)で
ご縁がない。ってのは、おかしな話じゃございませんか!!
まぁ、いいんですが・・・。
題名にもあるように、山桜が綺麗です。
一本だけ、凛と咲き誇る山桜。枝を折って持ち帰ろうと、
野江が手を延ばした先に、手塚が折ってくれたのが出逢い。
もともとは、縁談があり(手塚はずっと野江が好きだった)
…ともすれば結ばれていた二人だったのに、
野江の母親が彼の家庭(母ひとり子ひとり)に気後れし、
二人を逢わせることなく縁談を断ってしまったという。。
彼ら二人を取り囲む、家族(特にそれぞれの母親)が好演、
幸せになるためには、こんな回り道も必要なのかも。。と
誰もが味わう苦しみですら、考え方一つでこんな風に
前向きに生きられるんだよ、という教科書のような作品です。
辛い、苦しい、と嘆く前に、今の自分に何が出来るのかを、
他人のために一つでいいから、なにか報いてみる必要性を、
ただただ静かに語っているだけの、そういう作品でした。
でもラストは、やたら涙が溢れました。やっぱ富司純子だ(T_T)
(村井国夫は適役ですね。篠田三郎は最初分からなかった^^;)
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