ヒッチコックのレビュー・感想・評価
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めんどくさいけれど、わくわく。そしてやっぱり味わい深い。
モノづくりは、楽しい。わくわくする。時に苦しく、めんどくさくもあるけれど…すべてひっくるめて味わい深い。人との関わりも、然り。本作は、あの名作「サイコ」が生み出されるまでと、奇才ヒッチコックと妻アルマの関係をタテとヨコの糸に配し、両者の魅力を生き生きと描いていく。(観終えてから、胸熱くする音楽ドキュメンタリーの傑作「アンヴィル」のガバシ監督と知り…納得!) 「サイコ」の舞台裏を覗くのはもちろん楽しいが、ヒッチコックとアルマの関係も、前者に劣らず面白い。天才肌で絶品のひらめきを持ちながら、私生活では度を過ぎた美食家、浮気性で嫉妬深く、覗き趣味まで!と奇人で困り者のヒッチコック。そんな夫を、妻がどっしり支え…とはいかない。冷静に見えるアルマもまた、夫との関係や人生に悩み、迷っていたのだ。そんな「実は等身大」のアルマに好感が持てた。若く美しい女優を前に調子づく夫にイラついたり、真っ赤な水着を衝動買いしたり、いかにも、なニヤけた男友達によろめいたり…。人間くさくてチャーミング。とはいえ彼女は、憤っても相手を追い詰めない。ここぞという時を狙って文字通り(!)「ぎゃふん」と言わせ、夫には絶妙のフォローを繰り出す。なんてカッコいい! そんな手探りで先の見えなかった彼らの関係が、「サイコ」の完成に向けて活性化し、深まっていく様子は爽快。そこに自分もいるかのように、心が躍った。 主役の二人だけではない。無愛想な秘書を演じたトニ・コレットも光った。特に何かするという 役どころではないが、カオスのような現場に彼女がいると、キュッと画面が締まる。作品ごとに様々な顔を見せる、彼女の次作にも期待したい。 シンプルなタイトル、どどーんとしたポスターからは想像もつかないが…偶然か必然か、出会いとはじまりの春にふさわしい一本だった。ヒッチコックへの愛を感じるオープニングとエンディングにもニヤリ。ヒッチコック作品を観たくなること、間違いなし!
60年前のヒッチコックのステージの磁場が引き寄せている
「アンソニーホプキンズ」と「ヘレン・ミレン」。彼の映画といえば「羊たちの沈黙」。ブラッドピットがすきで「ジョー・ブラックをよろしく」を思い出す。 役者はさまざまに演じられると言われる。そんなわけがない。 自分の創造力の延長で物語を演じる。それだけだ。多重人格者になれるわけじゃないしなっても演じ分けられる訳もない。 映画へ俳優たちや監督が憑依されている。クロサワの「蜘蛛の巣城」のオマージュかもしれない。 最初ヘレンを見たくて。これを借りてきた。 ぼくが最初に、彼女を「なに?」この「英国貴婦人のティピカルなスタイル」!。シーンとしては貴婦人が機関銃をなにひとつ表情を変えずにぶっぱなしていた。それが最初の記憶。 そのイメージはいまでも変わらない。 いずれぼくはこの「ヘレンとアンソニー」の映画をすごいと思っている。
ヒッチコッキアンのための記録映画
2013年の時点でサイコとヒッチをちゃんと知っている若い日本人ってどれくらいいるんだろう?映画に限らず日本人は欧米と違って、かつてのマスターピースを「古い」の一言で無視する傾向が顕著だからね。 ヒッチファンがふーんって納得する作品なので、映画としてどうこう批評するのはナンセンスでしょうね。「42」なんかと同じ。お話はそれほど盛ってないと思います。 しかしDrヘクターと女王陛下は二人そろって匠の演技です。ヘクターの映画館ロビーで舞踏シーンはバットマンのニコルソン君と双璧ですね。
夫婦愛
ヒッチコックの作品はサイコしか見たことがない。 なので、この作品はあまり興味が湧かなかったがよくみたらアンソニーホプキンスが主演だったので興味本位で鑑賞。 オープニングからエドゲイン笑 エドゲインの話は好き。妄想でエドゲインとはヒッチコックにかなり影響を与えたのかな? 覗き趣味、金髪女への憧れなど俗っぽさがよいね。 奥さんの存在がかなり大きく、仮装ホプキンスがネタっぽく見えてしまう分ヘレンミレンこそ今回の主役とも思えた。 結局夫婦の痴話喧嘩のような様相を呈してきたのには驚きましたが笑 サイコは何度かリメイクも踏まえて見ましたが当時はとても驚いたと思います。 日本では公開当時はあまり評価はよろしくなかったのは驚き。
ヒッチコックを演じるむずかしさ
谷崎潤一郎のエッセイに悪魔のような女(1955)のことが書かれているのを読んだ記憶があります。 悪魔のような女は、夫が愛人と結託し、心臓の弱い細君を謀殺するフランス映画ですが、文豪はその死に様に「女があんな風に死ぬのをはじめて見た」と、衝撃の胸中を綴っていました。 むろん現代人がそれを見ても、さして驚きはしないでしょう。白い入れ目をしたポールムーリスがむっくり起き上がるのはちょっとびっくりしますが、やはり古い映画です。 しかしアンリ=ジョルジュ・クルーゾーの悪魔のような女は世界じゅうで成功をおさめ、巷間の話題にのぼりました。文豪がエッセイの題材とするほどのヒット作だったわけです。 それを苦々しい思いで見ていたのがハリウッドに出向していたヒッチコックです。ヒッチコックは我々がヒッチコック劇場でかいま見るような、太った温和な伯父さんではありません。並々ならぬ対抗心を燃やしてつくったのがサイコだと言われています。 ゆえに当初から狙いは「衝撃」にありました。悪魔のような女の衝撃を追い抜こうとしてサイコが生まれたわけです。 というような話をどこかで知りましたが、この映画は動機ではなく、製作中の葛藤に焦点が置かれています。 色付けもあるはずですが、サイコ製作の内幕は、ここに描かれていることと、当たらずと言えども遠からず、だったと思います。 今では研究や証言によって、神経質で依怙地で疑い深いヒッチコック像が確立しています。それを裏付けるような映画でした。 よって、この映画の白眉は、サイコの初日、映画館のロビーで客席の反応に聞き耳を立てているヒッチコックの姿だと思います。 シャワーシーンの絶叫に、大きなリアクションで溜飲を下ろす演技に、ヒッチコックの「臆病」や「野心」があらわれていたと思うのです。 と同時に、女がシャワー中に襲われるシーンごときに映画館じゅうが悲鳴に包まれる「時代性」が見せどころでした。 ただし、アンソニーホプキンスは熱演ではあるものの、徐々に口のあたりのわざとらしい尖らせ具合が鼻についてきます。そもそもヒッチコックは柔和な顔付きですから、こわもてホプキンスには荷重ですが、これは、気になり出すと止まらない種類のことです。ゲイリーオールドマンのウィンストンチャーチルよりはまだましかもしれませんが、顔や体付きを知られた近現代人へのキャスティングの難しさを感じました。 個人的にもっとも楽しかったのは脚本家ジョセフステファノのシーンです。 おそらくステファノはハリウッドに群がる星の数ほどの脚本家のひとりで、ロークラス映画の書き手だったようです。サイコは世界中の人々が見た映画にもかかわらず、たぶんストーリーを思い出せる人は僅か、なはずです。脚本をまったく重要視していない映画でした。その適当さがラルフマッチオ演ずるジョセフステファノにあらわれていました。ちなみにマッチオを見たのはいとこのビニー以来でした。登場シーンはほとんど一瞬ですが、すごく巧く山師な脚本家を演じています。 ステファノはヒッチコックに要請され「だいたい「セックス」「怒り」「母親」ってとこですかね」と場当たりを並べてサイコの執筆がスタートします。 ところがサイコ以後、Sex・Rage・Motherがスリラーのスタンダードな方法論と化してしまうわけです。 内幕の不機嫌なヒッチコックを見られる意欲作で、上述したような楽しい発見もありました。サーシャガヴァシはおそらくトリュフォーに見せたかったのだと思います。
神と呼ばれた男、神を創った女。
2020年7月5日 映画 #ヒッチコック (2012年)鑑賞 スリラー映画の金字塔 #サイコ の波乱に富んだ誕生秘話を #アンソニー・ホプキンス と #ヘレン・ミレン の共演で再現した伝記ドラマ ヒッチコックは人間が小さかったんだ! また、あのサイコが映画会社はまったく乗り気ではなかったなど初めて知った。
画面に語りかけるアンソニーホプキンスはヒッチコックそのものだ
また、スカヨハがずるいくらいに いい演技をしておりましたなあ。 いい役どころでしたな。 トニコレットもね。 贅沢な使い方だけど、ベストマッチでしたね。 さすがとしか言いようがない表情芝居 ヘレンミレンもかっこよかったー みんなが見たい彼女が見れた感じがする アンソニーホプキンスもヒッチコックが憑依してたよね ジェシカビール演じるヴェラマイルズがあんな女性だったとは意外。
ヘレン・ミレン様が素敵
『サイコ』を観ずに本作を観るという暴挙に出たが、映画製作内幕物として楽しめた。 撮影現場シーンはたまに見かけるが、配給会社や映倫とのやりとりや編集作業でフィルムをつぎはぎするところまで、あまり見ない場面も多いので、こんな感じなんだと見入ってしまった。パラマウントの「『北北西に進路をとれ』みたいなの」とか、『サイコ』公開後の見事な手のひら返しが、さすが節操のないハリウッドの映画屋という感じで好き。映画がヒットさえしてくれれば、オールオッケーでーす。 最後のシーンにもニヤリ。 さらにヒッチにビシッと言い放つヘレン様、撮影現場で采配を振るうヘレン様、パラマウントの奴らに啖呵を切って追い払うヘレン様、真っ赤な水着買っちゃうヘレン様、素敵です。 フラフラよそ見しているようでも、結局はお互いにベタ惚れ(才能も合わせて)なんだなぁ。
『サイコ』が良い作品という前提
総合75点 ( ストーリー:70点|キャスト:80点|演出:80点|ビジュアル:70点|音楽:70点 ) 名作といわれる『サイコ』撮影の裏側を描きながら、巨匠ヒッチコックの映画監督としての活動と私生活を描く。 ヒッチコックの妻との関係や映画制作に関わる制作・配給会社との関係が、ホプキンスによって名優の評価に恥じぬ演技で演じられていた。成功を積み重ねてさらに新しいことに挑戦し障害を乗り越えようと奮闘する姿が面白い。雰囲気を作るさりげない音楽の使い方と演出も上手で、全体として楽しめた。妻役や脇役も良かった。 しかし問題なのは、私は『サイコ』が好きではないこと。有名な風呂場での殺人場面も全く迫力を感じない。この時代としては斬新だったのかもしれないが、現代の基準では平凡とすらいえない低水準の作品だと思っている。そのために『サイコ』制作の裏側を取り上げている本作は、物語としての興味はそれほど持てなかった。 ただし迫力が無いと思っていた風呂場の場面は、ヒッチコックが時代を考えてあまり刺激の強くないものにしたのだと思っていたが、映倫が強く規制・指導したから迫力が無くなったのだというのはこの作品でわかった。やはりこの時代はこの程度でお茶を濁すのが限界だったのだろう。映画の歴史のちょっとした勉強にはなった。
今のサスペンスの全てを作った男の物語!!
なるほど、完全なる伝記ドラマだった。と感想を述べたい。なんとなくサスペンスコーナーに置いてありヒッチコックの話だから面白いかなと思ったら普通にサスペンスでもなんでもなく伝記ドラマだった。なぜサスペンスコーナーに置いてあったのか?さて作品の話だがまず大前提にヒッチコックのヒット作である『サイコ』を観てないと正直全く楽しめないだろう。観なくてもある程度の知識を入れておかないと勿体無い。あの時代にタブーであったサイコのような作品を作った裏側がメインの話だがヒッチコックと妻との関係性も厚く描かれている。この作品をみて改めてサイコの偉大さを感じた。今の映画界におけるサスペンス映画の原点と言っても過言ではないだろう。サイコがあれほどのヒット作出なければ今のようなサスペンス映画はできなかったと思う。サスペンス好きならまずサイコをみてこの作品を観るというのは義務なのかもしれない。
サイコを観てから
サスペンスが好きで、何の気なしにサスペンスコーナーに置いてあった名前は聞いたことがあるこの作品を手に取って観てみた。 ら、ほんと映画好きの人には申し訳ないけどサイコの監督だったんですね。 全然知らなかった。 サイコはサスペンス好きなら観るべきだと言われていたけど、カラーじゃないし、何となく観れないでいる。例のシャワーシーンがあることくらいしか知らない。サイコ観てたらこの映画ももっと楽しめたのだろうか… ていうか、サスペンスコーナーに置いてあったけど確実にサスペンスじゃないからがっかり感もあった。
天才の妻への愛と女優へのフェティズム、映画への狂気
ヒッチコックがサイコ制作に至るまでの苦悩と執拗なこだわりを描いた本作。ストーリーに内包される「実は妻が献身的にサポートしていた」的な部分とヒッチコックの狂気と苦悩が描かれていたことから爆笑問題の太田が絶賛したことが頷ける。
燻った承認欲求が環境の変化を機に不協和音の切欠に。
良かった。 夫妻共に溢れる才能を持つが故の栄光と苦悩。 お互いを十二分に認めつつもどこかで相手に対して劣等感を抱いてている。 互いの存在が自己の否定に繋がり承認欲求が燻る。 環境の変化がトリガーとなり歯車が狂い始め不協和音が。 世間に対する承認欲求、身近な人に対する承認欲求。 偉大な映画監督の話にも関わらず映画を観る中で共感を覚えることで不思議な感覚に。 また作品としての映画「サイコ」を別角度から見ることが出来たのも面白い体験でした。 前評判程アンソニー・ホプキンスはヒッチコックに容姿が似ていませんでしたが。 雰囲気は非常に似ている。 「雰囲気ヒッチコック」としては非常に良かったです。 全体通して楽しんだのですが。 …惜しむらくはエンドロール後、30秒の暗転が無かったこと。 ヒッチコックの作品紹介動画と映画「サイコ」を観た上で本作を鑑賞するとより楽しめると思われます。 オススメです。
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