「『サイコ』製作の顛末」ヒッチコック arakazuさんの映画レビュー(感想・評価)
『サイコ』製作の顛末
数あるヒッチコックの作品の中でも傑作の名高い『サイコ』製作の顛末。
この映画製作の顛末と並行して、ヒッチコックと妻アルマとの関係が描かれている。
『サイコ』鑑賞済みの観客にとっては、プリ・プロダクションからポスト・プロダクションの段階までの裏話としてなかなか興味深い。
ネタ探しから、脚本のリライト、キャスティング、監督が高熱で倒れれば撮影現場を仕切り、試写での評判は悪ければ、編集のやり直しと、妻アルマは監督以上に作品にコミットしていると言ってもいいくらいなのだが、作品が成功すれば、賞賛は“天才ヒッチコック”へ向けられる。アルマは、世界中の誰よりも夫の才能と作品を評価していただろうが、内心はかなり複雑だったことは想像に難くない。この夫婦の関係もまた興味深い。
実在の人物の伝記ものの場合、何処に焦点を当てるかは重要だが、この作品は少し欲張り過ぎてしまったのかもしれない。
いっそ製作の顛末かアルマ側から描く夫婦の関係かどちらに思い切って絞ってしまった方が良かったのではないかと思う。
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