劇場公開日 2013年4月5日

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「興味深く、とても面白い、バックステージ・ストーリーだ。」ヒッチコック 岡崎仁さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0興味深く、とても面白い、バックステージ・ストーリーだ。

2025年4月19日
PCから投稿

名作サスペンス映画『サイコ』(1960年)の制作秘話であると同時に、アルフレッド・ヒッチコック監督と脚本家・編集者・スクリプターでもあったアルマ・レヴィルの夫婦愛を描いた伝記映画だ。

映画では、『サイコ』のモチーフとなった殺人犯が、フラッシュバック的に描写される。映画会社が出資に否定的で、私財を投じて映画化を目指す一方、プライドが高いが人間味もある人物として、ヒッチコックを描いている。

シャワー中の殺害シーンや、トイレの映像など、当時の倫理観に照らし合わせて、映倫との論争に発展するのが面白い。その一方、『サイコ』の制作に夢中になるあまり、妻との軋轢を生み、彼女の浮気まで疑うようになる。

アンソニー・ホプキンス、ヘレン・ミレン、スカーレット・ヨハンソン、ジェシカ・ビール、トニ・コレットなど、俳優陣の素晴らしいパフォーマンスを堪能できる。

特に個人的には、人間的な強さと弱さの狭間で、大胆かつ繊細な演技を見せたヘレン・ミレンが、強く印象に残った。深みにハマらず、俳優陣の好演を見ているのが楽しい。興味深く見れて、とても面白い、バックステージ・ストーリーだ。

岡崎仁