劇場公開日 2008年3月1日

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「観ている間はずっと笑顔でいることが出来る、ファンタジックなフランス映画。」地上5センチの恋心 ジョルジュ・トーニオさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0観ている間はずっと笑顔でいることが出来る、ファンタジックなフランス映画。

2008年4月12日

笑える

楽しい

幸せ

<ストーリー>
オデットは作家バルザンの大ファン。近所の書店で彼のサイン会があり、初めて会うことが出来たのだが、緊張のあまり自分の名前さえまともに言えなかった。どうしても彼の本によって、自分が救われたことを伝えたくて、彼女は彼にファンレターを送る。

<個人的戯言>
ここ最近で、観ていてこれほど幸せな気分になれる映画があったでしょうか?中年女性がこんなに素敵に可愛く見えるなんて、仏映画でしかありえません!生きていくのは大変だけど、幸せに生きる方法を知っている中年女性を、日本ではよく使われる慣用句の映像化や、1930年代のジャズ歌手のジョセフィン・ベイカーの音楽、ちょっとファンタジックな効果音等で、まるで天使のように見せてくれる、観てる間中笑顔でいさせてくれる作品です。

とにかくこの中年女性がとても可愛い!もちろん皺もある、子供は一癖も二癖もある、既に夫は他界等、生活は楽しいことばかりではありません。でも小さなことにも幸せを感じるようにしている、そのきっかけを作ってくれたのが大好きな作家なのです。この彼女の幸せな気分が高まる時に使われる映像、音楽、効果音が、こちらまで笑顔にしてくれる表現方法です。表現はベタといえばベタ。でもとても可愛らしい。これが中年女性というところがまた意外性もあっていいんです。もちろん主演女優の、カトリーヌ・フロのキュートな演技によるところも大きいと思います。ほんと年齢を忘れて(失礼)見せてくれる仕草やダンスは、ちょっとぎこちなさを感じるところがまたいいんです。

また最初はただの憧れの人だった作家が、自分にも近付ける機会が来ても、ファンレターを書くことによって心を整理出来た彼女は、もはや自分を失うことはありません。時にそれは、随分弱気になった作家より、よほど凛としています。そこは長い人生を生きてきた女性、ただの夢見る人ではありません。いやだからこそ一つ一つの幸せをしっかり噛み締めようとしているのでしょう。ラストは、個人的には、ラスト前のエピソードで終わったほうがよかった気もしますが、再び「彼女が待ち望むもの」が続けられるという意味ではよかったのかも。

ほんと観ている間、自分が笑顔になっているのがわかる映画なんてそうないです。ファンタジックな表現への寛容さがあれば、絶対あなたも幸せな気持ちになれます・・・peut-etre(仏語で「たぶん」)。

ジョルジュ・トーニオ